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オレの一念、岩をも通す!?  作者: 喜世
第六章

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(03)菫

 その日の昼すぎ、事件解決に繋がる手掛かりになり得そうな免許証が出て来た。


 被害者の物か、加害者の物か……


 会議室に写真が貼り出された。


「『関口蔵之介』31歳 男性」


 免許証の顔写真は間違いなく関口看護師だった。


「えっ……」


 あの仏を殺ったのか?

 つばさは隣で見ていた井上と顔を見合わせた。


 刑事達は色々言っている。


「これ、三宅班のとこのマルタイじゃなかったか?」

「本庁の二課から引き取ってたやつか?」

「一課にもっていかれるかね?」


 井上に指示された。


「……与晴と西谷を至急呼び戻してもらえるかね?」


「……分かりました」


 つばさはローラー作戦に手伝いに行っている西谷に電話を掛けた。


「お疲れ様。今どこ?」


『与と急いで署に戻ってます』


 やばいと思い自主的に戻ったようだ。


「くれぐれも気を付けて」


『了解です』




 井上が独断で捜査を全面的に取り、捜査本部は解散となった。

幸か不幸かこれで堂々と関口の調査ができる。


 飛んで帰ってきた三宅に引き継ぎを終えると直ぐに班員全員での会議が始まった。


「まずは状況整理」


・池辺優希(塩谷探偵事務所)に情報提供依頼。成果無し。打切り。

・槇葵(湊警察病院医師)に情報提供依頼、成果無し。

・秋山長晃(ITOUケミカル勤務、岩井家空巣容疑者)家と職場の往復のみで目立った動きなしにつき毎日の朝夕の監視を先週解除。

・永井あすか(岩井警視正三女)より勤務先の情報提供有。

・通勤退勤時の姿を西谷が先週までに3回確認。不審な行動は見られず。

・勤務先情報を山崎あすかを介して小平花菜ジャーナリストへ提供。


 つばさは最後のことについて三宅に注意され、口論に発展した。


「妹に危害が及んだらどうする気だ? 岩井警視正に止められたんじゃないのか?」


「報告はしていません。独断でやりました」


「危険なことはするな。どこからボロが出るか分からん。普段より慎重にやれ」


「慎重にしすぎたせいで関口に逃げられたんじゃないですか。永井さんの情報提供がなかったら、我々はなにもできませんでしたよ?」


 うんうんと賛同する西谷。

彼女を三宅はギロリと睨んだが、なにも言わなかった。

 自分の及び腰を認めたようだ。


「……絶対に身バレだけはするな」


「わかっています」


 三宅は気を取り直して班員に指示を出した。


「玄さんと西谷は関口の勤務先と住居へ確認に行ってください。

吉田と茂山は秋山のここ数日の動向、関口との接触状況確認。

小野と佐藤は、遺体発見現場周辺の防カメ確認と小平関口接触状況を確認、情報取りまとめ。お願いします」


 皆それぞれ自分の仕事へと散った。

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