(05-7)
つばさが職場に着いたのは三時近くになっていた。
休めば良かったと三宅に言われたが、調査や記録しておきたいこともある。
「お疲れ様。ごめん遅れて……」
相棒に謝ると、彼は何食わぬ顔で言った。
「いえ。お疲れ様です。早速ですみませんが……」
当然仕事の話だろうと思ったつばさ。
「報告書修正終わった?」
「写真撮っていいですか?」
その言葉に一瞬戸惑った。彼は既にスマホを手にしている。
「は? なに撮るの?」
意味が分からない。
「先輩です。お願いします!」
見れば、彼の顔には雄翼の私服が見れた!という喜びが出てしまっていた。
「別にいいけど…… あ、連写はやめようねー、佐藤くん」
時すでに遅し。撮り終わっていた。
「ありがとうございます!」
嬉しそうに写真をチェックする彼をまたも叱れなかった。
ため息混じりに彼に聞く。
「……それ撮ってさ、どうするの?」
彼のスマホの中には自分の制服姿、スーツ姿、つい先日の結婚式の仕事の時の写真が収まっているはずだ。
「先輩の今後のコーデの参考にします」
嘘か誠か。知る由もない。
「あ、そう…… よろしくお願いしまーす……」
しかし、つばさは疑い始めた。
相棒は今の自分の雰囲気がお兄さんに似てると言ったが、実は見た目も似ているのではないかと。
「小野さんのって、与のコーデ?」
西谷が与晴に聞く。
「服は選んだ。でもこの組み合わせは先輩が自分で。良いよね!」
「うん。すごくいい!ねえ、わたしの彼氏のもやってくれない? 超絶ダサくて。ご飯驕るから!」
「いいよ。後で彼氏の写真送って」
「わかった」
つばさは二人のやり取りを見て、やはり単なる趣味なのかもしれないと、思い直した。
「病院にいました? あの男」
急に仕事に切り替えた与晴。つばさも頭を切り替える。
「今日はいなかった。でも代わりに気になる人間を見つけたから、ちょっと調べようと思う」
「了解です」
つばさは関口看護師と、彼とITOUの繋がりが無いか、調査を始めた。




