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オレの一念、岩をも通す!?  作者: 喜世
第四章

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(05)ほうれんそうのおひたし

 揉み消されて事件は終わった。意気消沈の三宅班。

 各々黙々と各自の仕事に専念する。


 つばさは早々に警護中の記録と報告を作り上げると、

久しぶりに自分の案件に取り掛かった。


 隣では与晴が一心不乱に私情を押し殺して揉み消し用の報告書を作っている。

 茂山は犯人を捕縛した際の状況報告書、西谷は警護と誘導の報告書の作成。

 吉田は潜入させてもらったブライダル会社に対する後始末。

 井上は関係各所との連絡と後始末。三宅は上層部に電話。


 忙しい時間が流れていった。


 病院に行かなければならなかったことを、つばさはようやく思い出し急いで葵に連絡を取り、スケジュールを調整した。

 そして三宅の電話の隙間を狙って、つばさは声を掛けた。


「急で申し訳ありませんが、明日午前、お休みを頂いてもよろしいでしょうか?

病院に行きたいのですが……」


「わかった。行ってきなさい」


「ありがとうございます」




 隣の与晴が報告書を書き上げたらしく、つばさに確認を頼んできた。


「他の仕事してて。すぐ見るから」


「よろしくお願いします」


 一通り読んでつばさは彼に助言と修正指示を与えた。


「修正は明日の昼までで大丈夫。明日朝、病院行くから」


「……了解です。送っていきましょうか?」


「いいよ。一人で行けるから、病人じゃないし」


 しかし、与晴はまだ心配らしい。


「……アレが心配なんです」


「あぁ。アレね……」


 ITOUケミカルの会社員とみられる男。


 ここ数日気にも留めておらず班内に報告もまだあげていない。

 つばさは少し考えた後自分の考えを述べた。


「……ひとりで行って様子見する。また居たら報告する」


「了解しました。なにかあればすぐ連絡ください」


「わかった」




 班員皆の仕事にキリがついた頃合いを見計らい、三宅が切り出した。


「そろそろ雄翼がうちの班に来て一月になる。諸々、報告をしてもらおうかな」


 三宅班だけの部屋では無い。聞かれたらまずい話も多数。

目配せすると、皆は会議室へ向かった。

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