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オレの一念、岩をも通す!?  作者: 喜世
第一章

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(03-4)

「……今日の設定は、歳下彼女と二回目のデート、フレンチの帰り、OK?」


 歩きながら手筈を再確認。


「……了解です」


 二人でいると絶対と言っていいほど、つばさが年下で部下だと間違えられる。

実際には年齢、経験、階級、全てつばさの方が上にもかかわらず。

 しかしつばさはそれをよく逆手に取る。今日もそのつもりだった。


「……わたし丁寧語、与タメ口。お互い呼び方は苗字。OK?」


「……了解」


「……リラックス。怖い顔しない」


「……はい」


 与晴は真面目すぎるのか緊張しいなのか、こういう仕事が苦手だった。

彼を鍛えるためというのも、つばさが彼を相手に選ぶ理由だった。

 手を変え品を変え彼を鍛えている。


 店の前に到着した。

 半地下の入り口までは階段になっている。

 逃げられた時が厄介だと考えながら歩いたせいか、はたまたヒールのせいか、つばさは躓きよろけた。


「あっ」


 咄嗟に隣の与晴が抱き止めた。


「大丈夫!? 足、怪我してない?」


「ありがとうございます。大丈夫です。……やればできるじゃん」


 与晴の顔から緊張は消え、微笑みが浮かんでいた。




「……現着しました。入ります」


 狭い店内。さっと見渡し、カウンターに座っている茂山と西谷にアイコンタクト。

 そして、同じくカウンター席で女と酒を飲むホシを目視確認。


 二人はソファ席に座った。

与晴が手慣れた素振りで注文する。


「ジントニックと、マティーニ」


 もちろん、二人とも一滴も飲みはしない。


 つばさの耳に三宅からの指示が届いた。


『ホシの連れてる女、余罪ありだ。全て茂山の指示通りに動け』




 しばらく与晴と話しながら待機する。カップルのフリをしながら。


「……今日はありがとうございました。ごちそうさまでした」


「こちらこそ。口に合ったようで安心した。今度はドライブがてら、イタリアンでもどう?」


「はい。ぜひ」


「夜景が綺麗なとこあるんだ」


 ものすごく自然な与晴に、つばさは内心驚いていた。

 前回は歳上彼女の設定にしたせいか、緊張でガチガチだった

 今日はなぜか余裕すら見える。

 慣れたのか、もしや……


 少しすると、ホシの女が席を立った。

途端、茂山から指示が出た。


『岩井、職質からの任意動向頼む』


 つばさは腰を上げた。


「……ちょっとお手洗いに行ってきます」

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