年385 4/15
ヴィッタビア共和国はカラディア大陸の北西に位置する宗教国家だ。
領土のほとんどが深い雪に覆われており、エールやワイン、干し肉、塩などが主な交易品となっている。
宗教信仰の中心である首都ヴィット、大陸最大の港町であるコンコード、対海賊団防衛拠点があるトレイダルの3つの街と、7つの城、16の村を有している。
ヴィッタビア旧神教の大神官レイロックの統治の元、21名の諸侯がそれぞれ領地を任され、他国の侵略から守護している。
ヴィッタビアの軍隊はカラディアの中でも最高級の装備を有しており、優秀な歩兵と弩兵が特徴だ。
市民は皆、武器の扱い方、乗馬、読み書き、兵站などを教わっており、その武術訓練は他に類を見ない。
訓練生たちは適正に応じてそれぞれの師団に配属される。
適正と認識力が者はクロスボウの訓練を受けることとなり、体力に優れる者は重い鎧を纏い、剣、槍、騎士のそれぞれの部門に配属される。
また、諸侯のみが従軍させる事を許される貴族兵たちは、それぞれ信仰する宗教によって漆黒の鎧を纏った黒騎士と鋼鉄の鎧を纏った弩弓徒騎士に分かれる。
これだけ見ると強力な国家であると思えるが、その信仰する“宗教”に関して問題が起こっているらしい。
現在国内では従来信じられていた旧神教と、その教えに真っ向から反する新神教とで二分され始めているているようだ。
旧神教は強さや野心、狡猾さ、そして闘争など武人としての価値観に重きを置いており、レイロックはじめ国内の貴族の大半はこの教えに賛同している。総じて戦争好きな諸侯が多い。
一方新神教は精神力や平等性、慈悲深さ、博愛など誇り高き騎士道精神こそ美徳であると説いている。主にレイロックによる軍事力主導の国家運営に反対する者に支持されており、一部の諸侯もこの教えを信仰している。
旧神教の信者達は新神教徒を臆病者や弱者と見なしている。
逆に新神教の信者たちは旧神教徒を常に争いを引き起こす野蛮人だと思っている。
この思想の対立が少しづつ国を壊し始めているのだ。
とはいえレイロックは現状そこまで大規模に抑圧はしていないようだ。
新神教の最高司祭であるスカイローン王子が王位を主張し、旧神教を完全排除しようとしているからだ。
常に戦争の火種が燻っているこの大陸で、内部から崩壊することは何としても避けたい、と言ったところだろう。
少々複雑な国家模様だ。傭兵として仕えるなら申し分ないかもしれないが、諸侯として仕えるには前途多難かもしれない。
そもそも、どちらの宗教にも属していない私が果たして諸侯として迎え入れられる機会があるかもわからない。
何はともあれ、結論を出すには早い。選択肢はまだまだある。
肝心の兵集めの方だが、街の訓練官や周囲の村々からいくらか募ることができた。
堅苦しい軍の規律から解放されたいと思う者や、貧しさから脱却し、一旗揚げたいと思う者がこの国に限らず、一定数いるようだ。
ひとまず新兵が中心ではあるが15名ほどが集まってくれた。訓練等は追々していくことにする。
次はヴィッタビアと国境を接するラオヒール族の島へ行ってみようと思う。
まだまだこの大陸を旅するには心配な人数だ。引き続きそちらでも兵を募ることにしよう。
Topic:王位簒奪者
カラディア大陸では6ヶ国6人の王位主張者がいる。現国王の統治に異議を唱えている者や、先代国王の子息であるにもかかわらず追放された者など、それぞれが自らの正当性を主張し協力者を集めている。
彼らは各地を転々とし追手をかわしつつ、時には軍を率いて国家への妨害行為を行うこともある。