プロローグ2
近所の公園は思っていたよりずっと近くにあったが、その道のりは私にとって知らない道といってもいいくらいに記憶と違っていた。
公園自体もどことなく違う雰囲気だ。
促されるまま座ったベンチは丸太の一部を削ったデザインだ。
私の記憶上では背もたれがある、横長の木の板を何枚も貼り付けたタイプだったが、取り替えたのだろうか。
そういえば、鉄棒が随分とカラフルになっている。
滑り台もデザイン性の高いものだ。
そんな中、ブランコだけが私の知るものと変わっていない。
そのことに少しだけ安堵する。
二年は来ていないのだから色々変更していてもおかしくはない。と、一応の答えを出した。
けれど私の胸の奥はざわざわと漣を立てている。
そんな私をよそにケースケとショウが自己紹介をしてくれた。
二人は高校三年生で、バイクでツーリングの最中、事故で死んだのだという。
「へー、そうなんですか」
心ここに在らずの私は一度はそう答えたが、数秒後大声を出し、ベンチから勢いよく立ち上がった。
「し、死んだ!?
それ、じゃ…ゆ、ゆううううう、幽霊!?」
幽霊が怖いわけではない。どちらかといえば信じていないタイプで、ホラー映画も作り物として割り切って楽しむタイプである。
だからこそ驚きならが、ケースケとショウの顔を交互に見た。次いで足元を見る。
幸い、といっていいのか微妙なところだが、二人にはしっかりとした足がついていたし、地面から浮いているなんてこともなかった。
「ぷっ、はははははっ」
「くっくっくっ…」
少年たちは二者二様に笑い出す。
「な、何がおかしいんですか!?
…はっ!もしかしてからかったんですね!?
ひどいっ!!!」
私は力の限り二人を睨みつける。
それでもケースケは笑いがおさまらず腹を抱えている。ショウは笑いを堪え、ごめんごめん、と謝罪を繰り返すがとても許す気にはなれなかった。
「もうっ」
膨れた頬に半目状態で二人を見て、何でこんな人たちに付いてきてしまったんだろうと後悔する。
もう家に帰ろうと思い二人に背を向けた。
だが、ようやく笑いをおさめたケースケの言葉は私の足を体を凍りつかせるのに充分なものだった。
そして、先程二人を幽霊扱いした時の比ではない驚きに、ほんの一滴の恐怖が混じる。
「おまえだって死んだから、ここにいるんだろ?」
その言葉にはどこか説得力があって、私は言葉を失った。
次回、ケースケとショウの死因が判明