第6話
入学して早くも1週間が経つ。
サクラは起床時間よりも早くに目覚めた。
ミカとメグも起き出すところだった。
最初は時間に追われキツかったが1週間で慣れてしまった。
サクラ達だけでなく寮の学生のほとんどがこの生活に順応してきている。
今日の午後、先週行われた適性試験の結果が渡される。
この結果次第で選択できる専門学科が決まる。
アルトリア王国軍学校の課業の流れは、午前前段に座学、午前後段に体育や教練を行い、午後いっぱいは専門学科になる。
昨日までは、専門学科が決まってないこともあり、午前は座学、午後は体育であった。
今日の午後は適性試験の結果が渡されて、適性ある専門学科を決めていくことに費やす。
午前の授業が終わり、サクラ達5人は昼食のため食堂へ向かう。
午前の授業は共通なので、今後もサクラ達は昼食は一緒に食べれるだろう。
「先週の適性試験は意味わかんなかった。途中で眠たくなったけど、かなり解いたと思うわ!」
「たぶん、眠たくなったり集中力をなくすのが目的の試験だったんじゃないかな?それでも気合いれて解きまくれた奴が選ばれる的な」
「僕は〜、こう見えても〜、勉強はできるんです〜。適性試験は自信ありんだな〜」
「ニャーは、覚えてないニャ!」
「ミキさんは、もっとしっかりするのです」
なんだかんだで、賑やかな昼休みを過ごした。
入学して約1ヶ月が経った。
午後の授業が始まる。
サクラはドラゴンライダーの適性があり、希望通り専門学科に乗竜術を選ぶことが出来た。
1年生では、サクラをはじめ乗竜術を選ぶことができたのは、10人。
1年生は全部で約300人。
この中でドラゴンライダーに適性あるのが10人とは、かなり狭き門なのだが、10人に満たない年もあるそうだ。
昨日までは乗竜術に関する座学しか行われなかったが、今日からやっと竜達と触れ合う時間が設けられる。
「よいか! 実技は先輩学生と共同になる。失礼のないようにな!」
教官のレナが学生に注意をかける。
レナは去年までは飛竜隊に所属しており、ドラゴンライダーとして主にダンジョン探索とオーパーツ(旧世界の遺産)発掘で活躍した女性で、その経験と知識を見込まれ本年度から教官として軍学校に配属された。
レナの異動が決まった時は、かなり揉めたらしい。
それだけ飛竜隊にとってレナは必要な存在だったのだろう。
「飛竜にも限りがある。2人1組で実技は行われていく。ペアになるのは2年生だ。繰り返すが失礼ないように」
1年生同士のペアだと不足事態対処が出来ない恐れがあるための上級生とのペアになるのだろう。
竜牧場に到着すると、2年生が竜と戯れていた。
休憩時間なのだろう。
2年生からは午前から専門学科が行われる日もあり、ここにいる2年生は午前からやっているのだろう。
みんな、ライダースーツに身を包んでいる。
「お疲れさまです。レナ先輩!」
2年生担当教官のアイリスがレナを見つけると駆けてきた。
「アイリス、教官としてはお前の方が先輩だぞ」
どうやら教官達は学生時代からの知り合いらしい。
「全員せいれーつ!」
アイリスの掛け声で2年生達が一斉に整列する。
この動きは教練のたわものといえるだろう。
「ペアはあらかじめ決めてきた」
レナはファイルを開きペアになる者同士の名前を挙げていく。
「ダイン・エクスレイと、サクラ・オスカー」
名前を呼ばれてサクラは前に出る。
ペアになる、ダインも前に出る。
「よろしくね。サクラちゃん!」
「よ、宜しくお願いします」
とても優しそうで、女性であるサクラが見てもドキッとしてしまうほどの綺麗な先輩であった。