第3話
「飛竜管制、実は俺も目指してるんだ」
食堂への道のり、アルフと共に専門の話をしながら歩く。
「幼馴染の1人が、あっ、これから待ち合わすんだけど、そいつがドラゴンライダーを目指してるんだ」
「なる〜。確かに管制官とドラゴンライダーとの関係は重要だよね〜。惚れた女のためなら俺は何にでもなるぜ〜って感じ?」
「なっ、はっ、何を言ってやがるんでいーっす。あいつとはただの幼馴染でありんして、っていうか性別言ってないのに何故わかる?エスパーなの?」
「いや、だってドラゴンライダーって女性にしかなれないっしょ?」
そのとおりだ。
理由はわかってないが、よく飼い馴らされた地竜であっても飛竜であっても何故か男性が乗ろうとすると物凄い拒絶反応を起こす。
それはオス、メスに関わらずだ。
「僕はね〜、本当はドラゴンライダーになりたかったんだよね〜。でも男の子だからその時点で無理だったんだよね〜。だからせめて竜の飛行をサポートできる管制官をやりたいんだよ〜」
男の子というより男の娘にしか見えないと思いつつトマースは、女装させればワンチャン竜達を騙せるんじゃね?・・・なんて考えていた。
管制官、それは軍人にしか資格が与えられない特殊な職種になる。
竜を管理するのが軍であることも関係するのだろうが、飛竜管制自体がかなり特殊な仕事であり、また通信魔法を入力した魔法石や、飛竜の位置情報を知るための電波魔法の反応を映し出す魔石版など高価な魔法具が多数必要となるため、まだ民間に普及させる程の準備が整わないのだ。
そういう理由もあり、飛竜管制という職種があるということ自体あまり知られていない。
「竜に関われるなら〜、飼育員でも良いと思ったんだよ。でもね、飼育員も大抵女性ばかりにしか懐いてくれないみたいなんだよね〜」
乗らなければ男子にもそこそこ懐いてくれるが、やっぱ女子には敵わない。
そういう事実もあるため飼育隊は女子ばかりを募集するのだ。
「アルフは何でそこまで竜にこだわってるんだい?」
「えっ? だってカッコいいから」
単純な理由だった。
「お待たせー。ちょっと遅くなっちゃった」
といっても、11時40分と対して待ってない。
「いや〜、ミキがさ猫ちゃんになっちゃってさ〜、やっぱモフりたいでしょ?そしたら結構時間経っちゃった」
サクラがどうでもいい言い訳を語るなか、となりのミキはちょいと放心状態。
そしてミキの腰辺りで、ミキを支えてるようで支えきれてない見慣れない幼女が・・・
「サクラ、この小等部の娘は?」
「小等部じゃないのです!私はちゃんと成人してるのです!メグ・チャリーといいます。宜しくお願いします!」
「あぁ、宜しくトマース・バーンだ」
「幼女相手ならコミュ症発動しないね(クスクス)」
「ふぇぇ? そ、そんなことないんよ」
「ちょとトマ〜ス、男子が『ふぇぇ』と言っても萌えないよ〜?」
アルフがトマースの脇腹を小突く。
それまで放心状態だったミキの目がカッと開いた。
「誰ニャ?! この美少女、トマースと仲良さげニョ! サクラー!」
「ちょっ、ちょっとトマース! あんた友達作ると言ってたけど、こんな可愛らしい女子と仲良くなれる程精神が成長したの?!」
「いや、待て! 彼女は、・・・って違う! 彼はれっきとした男子だ! 名前は・・・」
「アルフ・フラホといいます。ヨロシク〜」
ワザとやってるのか素でやってるのか知らないがアルフは両人差し指を自分の両頬に付きたて首を傾げて、いかにも女の子っぽく挨拶をしたのだった。