表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白銀の剣と黄金の世界  作者: カブヤン
第一章 白銀の剣
5/104

第5話 報告

 砦には何もなかった。砦すらも。


 その事実を目にし、集合場所へ戻る二人の後ろには依然として仰々しく砦が建っていた。


 理解することを二人は放棄し、集合場所につき報告をする。


「あそこにある砦は無いというのかね」


「はい」


「ううむ……やっぱりか」


 精霊騎士第10位のグラーフは丘の上から砦を見てそうつぶやいた。


 後ろに立っていたゼインとミラルダも神妙な顔持ちで砦を見ている。


「やはりというのは?」


「いや……ジョシュア君たちには悪いんだが、もうすでに中には入ってたんだ。私たち三人で。先の任務内容も私たちの任務内容そのままなんだ。任務内容は救出ではなく制圧なんだけどね」


「そうだ。俺達リンドール隊はルード神国へ和平交渉へ行くところだったんだ。前回の和平交渉時に捕まったロンドベリアの代表を奪還してな。んで壁をよじ登って入ったんだが……」


「誰もいなかったんすか?」


「そうだダンフィル君。しかし見てみろ。砦は依然とあそこにあるんだ」


 ジョシュアとダンフィルは砦を観た。警備の人員はいないが、建物はそこにあるのだ。


 2人、いやここにいる5人にはその状況が理解できなかった。


「精霊の石は人の力に反応して炎を強めたり、固定したりできる。でもさすがに砦一つを一瞬隠すようなことはできないんだよ。私も精霊騎士とはいえまだまだ修行が足りない身だが、1人でルードの軍勢をほぼ壊滅させてしまった第2位の人でさえあそこまではきないだろう」


 そのままグラーフは無言になった。彼はルクメリアの中でも随一の剣士であり、頭脳明晰で有名であったが、彼はこのことに答えを出すことができないでいた。


「ジョシュアよぉ。なんか面倒な感じになっちまったなァ」


「ああ……そうだな。ところでリンドール卿、一つ聞きたいことがあるのですが」


「何かな?」


「俺達2人はこのままリンドール卿の部隊へという感じでいいのですか?」


「おっと、そうだった言い忘れてたね。そうだ君たちはこのまま私の部隊へ来てもらうことになる。まぁ僕は、いや私は前線組という感じではないので実戦はなかなかないかもしれないが、一人一人の強さが大事になるんだ」


「マジすかいきなり精霊騎士の部隊っすか。」


「騎士の塔での卒業者が今年は少なかったからね。しかも情報によるとジョシュア君とダンフィル君、二人ともちょっと面白いやり方で卒業試験を通ったそうじゃないか。堅苦しい騎士団の中でそういうのは貴重だし大事なんだよ。ゼイン君は騎士団の剣技大会に毎年出てるし、ミラルダ君は僕に一刀あびせた猛者だ。個人技は申し分なしさ」


「猛者かぁ。やっぱなぁ」


「何?」


「何でもないっす……」


「考えてもしかたないな。いってみるか。ルードの神殿に。何かわかるかもしれない。皆離れててくれ」


 そういうとグラーフは腰に下げていた黒い石を取り出した。そしてもう一つ。


 両手に持った石をカチッと叩き付けると小さな火花が起こった。石は火打石だ。


 瞬間、火が大きくなった。そしてそこから現れる二頭の馬のような甲冑。


「急ごう。私が馬を操作するからゼイン君たちは馬車へ」


「はい、おうお前ら乗れ。ルードは狭いからすぐ着くぜ。ミラルダは先頭だ。先入れよ」


 現れた馬の甲冑に中身はなかった。赤い甲冑、不思議なことに甲冑の中は見えないが実態がある。


 精霊の石は属性にそったものを物質化する能力を持っていた。火打石で出した炎は出た瞬間に精霊の石によって物質になった。


「全員乗ったかな?ではいくぞルードの首都へ」


 炎の甲冑が動く、馬車を引いていく。神殿のある街へ駆けていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ