月曜大決戦・後編 ~名前~
高校生の頃、化学を本格的に習い始めた。当時の先生の教え方が良かったからか、どの瞬間かは分からないけど、化学が好きになっていた。だから好きになった明確な理由がなかった。ただ、なんとなくだ。そして、なんとなく好きになったから、大学では化学科を選んだ。
大学2年になり、授業内容が専門性を帯びるに連れて、僕はあることに気づいた。それは、化学は得意なだけで、好きではなかったことだ。長きに渡り、得意を好きと錯覚していただけだった。化学は点数を稼げる便利屋に過ぎなかったのだ。理解できないことがあれば自ら調べて解決する、という大学の不文律に寄り添えるほど、興味は持ち合わせていなかったらしい。元々やる気や情熱の乏しい人間だったが、なけなしのそれらもほぼ消失し、早くも惰性で勉強してしまっている。これから先の日々は、最下位が決まった後の消化試合と同じだ。
そもそも化学というのは反応や現象の理由を探求する学問だから、あいまいに、なんとなくで生きてきた僕には向いていなかったのだ。高校時代に気づくこともできたはずだ。もっと真面目に考えればよかった。もっと真剣に悩めばよかった。
後悔は雪崩になって僕を覆い尽くす。苦しくて手足をバタつかせる。顔を出して新鮮な空気を吸いたい。しかし、もがくほど身体からは希望が失われ、代わりに諦めが合成される。
もう動かずにじっとしていよう。静かに、全身から力が抜けていくのを待とう。僕は僕という人間をこれ以上操縦したくない。誰かコックピットに入って、僕の代わりに僕を操縦してくれないか。それができないなら、僕はもう――――
と、考えたところで授業が終わった。ずっと頬杖を付いていた影響で左腕が痺れている。まるで暗い考えが蓄積しているようだ。それを落としたくて腕を振ると痺れはなくなった。しかし、暗い考えはなくならない。おそらく腕だけでなく、全身に転移してしまったのだろう。
「はぁ、行くか」
今日は越谷と勉強会がある。ため息を吐いたのは勉強会が嫌だからではない。一人きりになると余計なことばかり考え、人生に集中できない自分に疲れたからだ。
授業終了後の解放感に浸って学生たちは騒ぐ。黒森といるときは僕もその一族に所属して、でかい声ではしゃいでいる。しかし、今は一人。その中に僕はいないし、別にいたくもない。耳障りな声を上げる集団だな、と舌打ちしたい気分になる。孤独を愛する越谷の気持ちが分かる気がする。
早く行かないと越谷を待たせてしまうので、教室を出て小走りで廊下を進み、理学部棟を出た。今日こそは彼女を待とうと思って大通りを図書館へ向かって走る。勉強会の待ち合わせで越谷より速く着いたことは今まで一度もなく、いつも待たせてしまっている。彼女も同じ理学部棟内で授業を受けてるはずなのに、どういうわけか勝ったことがない。秘密の通路を知っているのか、瞬間移動しているのか、あるいは忍者の末裔か。まだまだ彼女について知らないことが多い。
大通りから、図書館前へと繋がる小路に左折する。入り口を見ると……すでに越谷が立っていた。結局この日も完敗だ。彼女の視線は斜め上、芸術作品のように静止している。図書館前で背筋を伸ばす時計を見ている。僕が何分遅れているのかを計っているのだろう。
僕には気づいてないらしく、図書館前の階段を全て上ったところでようやく目が合う。僕は乱れた呼吸を整えながら、
「ごめん、待った?」
今日は口にする予定ではなかった、お決まりの言葉を出した。
「全然」
越谷は小さく首を横に振った。相変わらず感情のない声だ。
「越谷って陸上部だっけ?」
彼女は質問の意味が分からない様子で首を傾げる。
「えーと、いつも僕より来るのが早いからさ、足が速いんだろうなと思って」
「私には無駄がないから時間が多い。だからいつも早く来れる」
「うーん、分かりそうで分からないや」
「授業が終わった後、吉朗はまず何をする?」
「身体を伸ばしたり、腰をひねったり、ため息吐いたりするかな」
「そういった無駄が私にはない。授業が終わるのと同時に立ち上がって歩く。吉朗が伸びてるときには理学部棟の外にいる」
「なるほど、勝てない訳が分かったよ。自分では急いでるつもりでも無駄が多いから遅れてたのか」
彼女はこくんと頷く。
不思議に見えても種を明かせば単純だったマジックのように、感心と残念が混じった気持ちになる。謎が1つなくなると、それを考える楽しさは10倍以上なくなる。謎は永遠に謎のままでもいいのかもしれない。
「行こう」
越谷はくるりと踵を返して図書館へ入った。僕も慌ててそれに続く。
図書館は2階建てで、1階は会議室が3つ、それと談話スペースが広がっている。2階では本の貸し出しをしている。基本的に学生は2階で勉強するのだが、一人で静かに勉強できる人専用のため、いつも1階の会議室を借りている。ここでなら話しながら勉強できるし、僕の馬鹿さを周囲に露呈しないですむ。
越谷は受付で鍵を借り、会議室のドアを開けた。中には『コ』の字型に並んだ長机、パイプイス6個、それとホワイトボードが置かれている。
僕と越谷は向い合わせに着席。
「ノート、写した?」
「あ、そうだった。ありがとう、助かったよ」
先週借りたノートを返す。彼女はノートを受け取って机の上に置き、効率の良い動きで鞄からクリアファイルを取り出す。
「これ」
ファイルを貰い、中に挟まっている2枚の紙を抜き取る。先輩から譲り受けた過去問ではなく、彼女が独自に作ったテストの予想問題だ。勉強会の度に作ってきているこれが彼女を天才たらしめている要素の1つで、問題の的中率はいつも9割を超え、勉強する範囲を最小限に抑えられる。いや、ここまでくれば天才というのは過小評価で、神様の方がふさわしいかもしれない。
「いつも凄いな。どうやって作ってるんだ」
「教授が熱心に教えた部分と、教科書の中で重要な内容を合わせてるだけ。そんなに難しくない」
「うーむ、僕には教授の教え方は単調にしか感じないし、どこが大事かも分からないよ」
「それは集中して授業を受けてないから。私は集中してる、その違いしかない」
「痛いところをつきますな。でも、越谷の観察力がありすぎるだけだと思うけど」
僕は苦笑いを浮かべる。彼女は自分の異常な才能に気づいてないらしい。僕よりも集中力があるくらいにしか思っていない。
「話はここまで。そろそろ始める」
「あ、ちょっと待って」
鞄から筆記用具を取り出す。
「まずは1枚目を45分以内に解くこと。それが終わったら解説する。名前と学籍番号も書くように」
「本番さながらにやれってことか」
「ヨーイ」
彼女は腕を左右に開き、
「ドン」
手をパチンと合わせた。この開始の合図は毎回やっていることで、越谷も人間なんだなと思える瞬間である。
問題は記述が5問、式の誘導が2問ある。まずは記述から取り掛かろう。エントロピー、標準生成エンタルピー、熱力学第二法則など記憶を辿りながら空白を埋める。書いては消し、また書いては消しを繰り返す。
顔を上げると、目の前の少女は文庫本を読んでいる。表紙は茶色のブックカバーで覆われ、何を読んでいるのかは分からない。自分は勉強しないとは、余裕の表れか。
「終わった?」
目線を本に向けたまま問うてきた。見ていたことがばれたらしい。
「すいません、まだです」
お前に余所見をする暇はあるのか、と威圧された気がして敬語になってしまった。
「そう」
敬語に違和感を覚えることもなく、彼女はページをめくる。
僕は再び問題と戦い始める。
「そこまで」
45分はあっという間に終わった。書けるだけのことは書いたが、合ってる気がしないし空白も多い。まだ染み込んでいない薄い知識じゃこの程度だろう。それでも疲れは一人前で、肘から先しか動かしてないのに息切れしそうなくらいだ。
「はぁ、物凄い点数を叩き出しそうだ」
「それは良かった」
「いやいや、悪い意味でだよ」
「分かってる。冗談」
プリントを越谷に渡すと、彼女はすぐさま赤ペンを走らせる。頭の中に模範解答があるらしく、僕の答案以外は何も見ていない。いつ見ても凄いパフォーマンスだ。
「終わった」
採点が終わり、いよいよ結果発表だ。返却されたプリントは、解説やら文章の修正で真っ赤に燃えている。そして、名前の横の点数欄に刻まれた数字は―――
「え、なにこれ、今回は何点満点なの?」
「100点満点」
「……」
口を開けたまま絶句した。覚えている範囲では過去最低、救いようのない点数を取ってしまった。僕個人の名誉のために具体的な数字を出すのは止めることにする。
「大丈夫、解説を聞けば分かる。吉朗ならできる」
「って言ってるけど目を逸らすのはなぜ?」
「大丈夫、解説を聞けば分かる。吉朗ならできる」
「2回同じ言葉を繰り返すのはなぜ?」
重厚な不安が押し寄せて、暑くもないのに汗が出てくる。ノートまで借りたのに、こんな点数という申し訳無さに下を向いていることしかできない。ああ、情けない。
暗い表情の越谷はイスを引くと、ホワイトボードの前でゆらりと立ち止まった。備え付けのマジックペンを握って腕を振り上げ、
「解説を始める」
勢いそのままに振り下ろしてペンの先端を僕に向けた。その動作で巻き起こった冷たい風が僕の顔に到達する。この風の成分、おそらく怒気100%だろう。
「越谷、聞くまでも無いかもしれないけど、完全に怒ってる?」
「ノートを出して。第1問から」
「ち、ちょっと待って」
マジックのキャップが外れる音を号令に解説が始まった。解いた時間よりも長くなりそうな予感がした。
1時間半に及んだ熱血解説がようやく終わった。なんとか理解できたとは思う。越谷は続けざまに問題を解かせようとする外道っぷりを発揮したが、僕の脳内では火花が散っていたので休憩を申し込んだ。彼女は了承すると、何事も無かったかのように本の続きを読み始めた。教える方が辛いと思うが、どうやら疲労の概念が無いらしい。
僕の方はふらふらとトイレに行き、用を足し終えたところだ。
「はぁ……」
手を洗いながら目の前の鏡を見ると、やつれた男がそこに居る。限界、無理、恐怖を訴える顔をしている。心がそのままの純度で表に出ている。確かに疲れはしたが、これしきのことでこんな顔をしてしまう自分が情けない。これから社会でやっていける気がしない。
もう少し気分転換しようと思い、トイレから出て図書館の外へと向かった。途中、見覚えのある後姿が談話スペースのイスに座っているのを見たが、人違いだと困るので声は掛けなかった。外はすっかり暗くなり、学生は数えるほどしか歩いていない。図書館前広場に一人寂しく立っている自動販売機に歩み寄る。仕事を依頼すると、スチール缶を2つ吐き出した。もう1つは越谷の分だが、
「ああ、失敗した」
何か飲みたい物があるか聞いとけばよかった。ココアが嫌いだったらどうするんだ。自分の気の利かなさが悲しい。こういうところがもてない原因なのかもしれない。
「はぁ……」
自動販売機にサヨナラの代わりにため息を吐き、明るい図書館の中に戻る。すると、目の前に一人の女子が立ちはだかった。彼女は眉を寄せてムッとした表情を作りながら、
「なんであんたがここにいるのよ」
昼に会ったときと同じようなことを言った。そう、何を隠そう仁志真実だ。さっき見た後姿は仁志真実で合ってたらしい。今までサークル以外では全く合わなかったのに、どうゆわけか本日二度目の邂逅だ。
「食堂だけじゃなく、図書館にもいる権利は無いと」
「当たり前じゃない。あんたと同じ空間にいると、ウチの髪の毛が一本残らず抜け落ちるのよ」
「僕は一体何の病原菌なんだろうか」
「で、ココア2つ持って何してるのよ」
「金曜日にテストあるからそれの勉強だよ。んで、これは一緒に勉強してる友達に差し入れ」
「友達って、今日食堂で会った彼?」
「いや、また別の人だけど、また成績優秀者だよ」
ニシマミは感心したように目を丸くする。
「へぇー、あんたって身分不相応に頭の良い友達が多いのね。あ、その友達の中にはもちろんウチも含めるわ。類は友を呼ぶっていうのは迷信のようね」
「確かにその通りだけど、ちゃっかり自分も入れるところが恥ずかしいよね」
「何が恥ずかしいのよ。謙遜の裏にはどうせ自信が隠れてるんだから、誇れることがあれば正直に誇ればいいのよ」
「それはニシマミにしかできないことだよ。誰にも真似できない」
「ま、そうよね。凡人には理解されない稀代にして孤高の天才少女、それが仁志真実よ」
「うーん、少女はもう辛い年齢なんじゃないかな」
「うるっさいわね!細かいこと気にしなくていいのよ!」
「吉朗、何してるの」
突然、冷気をまとった声がした。しかし、その声の発信者の姿は見えない。ニシマミも気づいたらしく、
「誰?」
と後ろを振り向く。彼女の後ろに居たのは、
「あ、ごめん、すっかり話し込んじゃって」
越谷だった。僕の帰りが遅いから探しに来たのだろう。
「休憩は終わり、続きを始める」
「誰なのよ、この高校生。あんたの妹?」
「違う違う、彼女は同期の越谷ミユ。さっき言った勉強に付き合ってくれてる友達だ」
紹介すると、越谷は小さく頷いた。それを見たニシマミも条件反射で頷き返す。
「へぇー、そしたらこの子が成績優秀者なのね。確かに頭良さそう……って女の子じゃない!」
今日一番の大声を張り上げて、彼女は越谷を指さした。
「いや、いくら化学科が男子の巣窟だからって、女子がいないわけじゃないよ。偏見、思い込みは良くない」
「そういうことを言ってるんじゃないわよ!」
「じゃあどうことだよ」
「そ、それは……」
ニシマミは黙って顔を伏せてしまった。なぜこのタイミングで顔を赤くして怒るのだろうか。再び顔を上げ、
「それは、女子と男子が二人っきりで密着して勉強するなんてハレンチだからよ!」
「い、いやいや、密着なんかしてないし、ハレンチてそんな古い言葉」
「それに」
ニシマミは振り返って越谷を指さす。それにしても、釣り上げたばかりの魚のようによく動く。
「あんたさっき名前で呼んでたわよね」
今度は腕を組む。そんな動のニシマミに対して、静の越谷は無言で頷く。
「ウチを差し置いて名前呼びするなんて、おこがましいにもほどがあるわよ」
「そういえばニシマミ、いっつも僕のこと『あんた』って呼ぶよね」
「あ、あんたは黙ってなさいよ」
また言われた。しかも牙が似合いそうな恐ろしい顔で睨んできた。よく分からないけど、自分なりの拘りがあるらしい。
越谷は小首を傾げ、
「ただ呼びやすいから、吉朗」
「ウチの中で名前呼びは特別な意味があるから、他の人にもして欲しくないのよ」
そういえば、ニシマミは丞子さんのことは名前で呼んでた。ということは特別な関係とは友達のことか。
「特別」
越谷は僕の方を見てきた。吸い込まれそうな黒い瞳をしている。
「分かった。吉朗は私の特別」
「え?」
時間が止まるほどの驚き。目で見てはいるが、脳の演算が追いつかない。この場で認識しているのは本人だけだろう。
越谷は音もなく僕に近づき、腕を組んできたのだ。
「こ、越谷?どうしたんだ、急に」
「ち、ち、ち、ち、ち」
少し早めに動く時計の秒針みたいな音を口から出しながら、ニシマミは全身を震わせている。
そんなことより、今は自分だ。落ち着かない。体温が急上昇し、鼓動が激しくなる。こめかみの辺りが脈打ち、視界が揺れてる気さえする。腕には見た目は慎ましやかだけどもしっかりと柔らかいものの感触が……いやいや何考えてるんだ。
「吉朗は嫌?」
「は、はい?」
「吉朗は私の特別じゃ、嫌?」
潤んだ瞳で僕を見上げた。
「い、いや別に嫌じゃないけど。その、この状況に身体が異常を訴えているというか、病は気からっていうか、流行り出してからじゃ予防接種は遅いっていうか」
僕は何を言っているのだろうか。支離滅裂、まともな思考ができない。
「ストォォォォーーーーーーーーーーッッップ!!!!!!!」
ずん、と重い衝撃が頭頂部を走った。首が折れそうになりふらつく。目の前では白と黄色の斑点が点滅している。遅れて鈍い痛みがやってきた。
「い、いっっってぇ!何が起こったんだ?」
僕は頭を抱えて辺りを見回す。越谷はいつの間にか離れていた。目の前ではニシマミが手刀を振り切って卍のようなポーズをしている。かなり疲れている様で肩で息をしている。どうやらその手刀で越谷と僕を断ち切り、さらには僕の頭蓋骨を叩き割ろうとしたらしい。なんて凶暴な生命体だろう。
深呼吸したニシマミは、髪をかき上げて立ち上がる。
「そこまで言うんだったらしょうがないわ。ウチも特別にあんたのことを、よ、よ、吉朗って呼んであげるわよ。感謝しなさいよね」
「うん、まぁ僕は何も言ってないし、友達だからそれは別にいいんだけど。もう僕には何がなんだか」
「吉朗は必要、そして特別で友達」
今更ながら名前呼びを宣言する前の人、独り言を呟く隣人、そして頭がふらついて状況が読み込めない僕。自由だ。何者にも拘束されない自由がここにある。
「ん?」
鼻の下と口が急に温かくなった。手で拭ったそれは、
「吉朗、鼻血出てるじゃないの!」
手全体が赤一色に染められて―――
「おはよう」
「おお、吉朗。大丈夫だったか」
「うん、なんとかね」
「それにしても驚いたな。昨日の朝起きたら、図書館で鼻血出して入院してるからノートは任せた、てメールが入ってるんだもん。最高の眠気覚ましになったよ」
「それは良かった」
「で、原因は何なんだ。女の子に興奮してたら、その姿を見た別の女の子に制裁鉄拳を喰らった、てところか?」
「それが記憶にもやがかかって思い出せないんだ。ニシマミと越谷と話してたことは覚えてるんだけど。頭にたんこぶできてたから殴られたのかと思ったけど、ニシマミは鼻血出して倒れた後で地面に頭ぶつけただけだって言うし、越谷はニシマミの言う通りの一点張りだし」
「ふーん、たんこぶはどの辺にできてたんだ?」
「ここら辺の頭頂部」
「倒れざまにそんなところ打つとは思えないな。普通は側頭部とか額とかだろ。頭から地面にダイブしたなら別だけど。記憶を失う前後で変わったことはなかったのか?」
「うーん、そうだな。あ、そういえばニシマミが僕のことを名前で呼ぶようになったよ」
「それだけか」
「うん」
「ヒントがそれだけじゃ何も見えてこないな。どんな名探偵もお手上げだ」
「疑う必要なんてないよ。彼女たちがそう言ってるんだから事実なんだよ、きっと。何が原因であろうと、僕が彼女たちに助けられたことに変わりはないわけだし」
「君がそう言うんだったらそれでいいけどさ」
「あ、おはよう越谷。月曜日はありがとう」
待ってくださっている方がいるかは分かりませんが、お待たせしました。にわかに忙しくなってきたため、更新周期が今後も遅くなるかもしれません。それでも絶対に完結させますので、最後までお付き合いいただければ幸いです。
三日ほど前のこと、今まで僕が恋した現実の女性及び平面界の女性に囲まれてる夢を見ました。夢の中が本当の世界だったらいいのに、と思う今日この頃です。
それではまた次回!