表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終わらない  作者: 遠星
8/8

強制

昔、坑道を掘るとき有毒なガスが出てないか確認するため、わざとカナリアを放したそうです。

毒味というか罠の囮というか。

道化としては失格だが、私は慌ててドアを開け放つ。

待機組も皆、怯えながらもドアの向こうを窺うが、照明に慣れた目では全く見通せない。

状況がわからない。


「クソっ!!」


私は携帯電話のライトをつけ、暗闇に踏み入った。どうやらここは通路のようだ。

待機組の男達も私の後ろから同じようにして入ってくる。

弱々しい光でも、目が闇に慣れてきたこともあってやっと様子が見えてきた。

ドアから15Mもいかないところに、しゃがんでいるらしい4つと壁際に1つの影がある。

直ぐに会話も聞き取れた。


「オイ!しっかりしろ!」

「っっひどい、骨が見えてる…」

「痛い、いてえよぉぉ…」

「う、ぅぅぅ」


まず、頭を抱え蹲っている中年を発見。

次に確認できたのは短気オヤジと鉄オタ。しゃがみこみ慌てた様子でもう一人に声をかけている。

若夫婦(旦那)は、金属製の甲冑と一緒に床に転がり、ひたすら呻いていた。

なぜ甲冑?と思うが、壁際の影はなんと金属製の甲冑だった。

通路右側に複数飾られている。まるで舞台の大道具のようだが、

今はそんなことを気にしている暇はない。

倒れてきた甲冑一つに巻き込まれて、右腕と右足を折ったようだ。

残りの一人。眼鏡青年は、尻餅を付いていつまでも呆然としていた。


待機班が手伝い、怪我人を玄関ホールに運び出す。

眼鏡青年、中年も回収され、私も含め全員が一旦ホールに戻った。

明るいところで見ると若夫婦(旦那)の怪我の酷さがはっきりとわかる。

特に腕は、皮膚から折れた白い骨が突き出ていて、出血も酷い。

足も膝関節が砕かれたのか、ありえない方向に曲がっている。

扉が開かなくなったよりさらに騒然とした空気の中、

ソファーに寝かせてテーブルクロスや鎮痛剤やらで応急措置をしている。

私はそのあまりに無惨な様子に、呆然とするしかなかった。


「カナリアが必要だ!!」


私と同じように呆然としていた眼鏡青年が、突然叫んだ。

皆何事かと彼を見つめる。


「玄関の扉は開かず、治療が必要な怪我人もいる!!早急に脱出方法を探さねばならない!!


お前が先頭を歩くんだ!」


血走った目でにじり寄ってきた眼鏡青年に、私はガクガクと頷くことしか出来なかった。

「若夫婦(旦那)」はモヤシーな感じのする「眼鏡青年」を舐めてまして

お前が出張ってんじゃねーよ!と思ってたので、探検時先頭は旦那でした。

眼鏡青年は、微妙なテンションだし頼りにはされてません。


今回の事故は「罠じゃナイヨ、超常現象だヨ」というところ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ