四話 待つ人は
うわー、キますねぇ。
白目の部分が赤いって、充血だったんですかねー。
……わ、「そうかもな」って……。桐沢先輩って結構ノリいいほうなんですか?
あ、はーい。分かりましたよー。そんな怒った顔しないで下さいっ! ちゃんと話しますからぁー。
それじゃあ話を始めますね。
私の友達にはレズの子がいるんですけど、そのレズの子が体験したお話です。
本名出すのもあれだからRちゃんって言いますね。
そのRちゃんはですね、インターネットのチャットをしてる子なんです。
あんま関係無い話ですけど、私も一緒にやらないかって誘われたんですよ。んでも私タイピングが出来ないんで断っちゃいました。それにメンドクサそうですしー。私は相手の顔見て話す方が好きです。
で、ある日Rちゃんがいつものようにチャットをしててその中で知り合った、あれチャット仲間って言うんですかね? にー、直接会おうって誘われたんですって。
Rちゃんは最初は渋ってたんだけど、その人、あぁもうこっちも名前つけちゃおっ。Tちゃんでいいや。Tちゃんはやたらめったらしつこくてどうしようかって困っちゃって、Tちゃんをドン引きさせるためについ自分はレズなんだぁーってことを言っちゃったみたいなんですよ。
そしたらですね、なんとTちゃんが私もですって告白してきたんです! RちゃんはTちゃんに携帯のメルアドを教えてたみたいで、告白した後に写メが送られてきたんです。
その写メに写ってるのが、もう、ちょーかわいい子で! Rちゃん面食いだから即オッケーしちゃったみたいなんですよー!
私も写メに写ってるのがカッコイイ人だったら即オッケーしちゃいますね! Rちゃんの気持ちすっごい分かります!
で、いついつ会おうか、何して遊ぼうかって盛り上がりながら待ち合わせ場所を決めたんです。後日待ち合わせ場所の公園に向かったRちゃんは、そこで待っているはずのTちゃんがいくら捜してもいないことにムッとしたんですね。
あ、なんでムッとしたかって言うとですね。Rちゃんわざと約束した時間から一時間経った後に来たんですよ。
そうですねぇ。石戸谷先輩の言うとおり、嫌な子なんですよぉRちゃんは。
それでRちゃんは一時間ぐらいで帰るなんて酷いじゃない! って逆切れしてTちゃんにメールをしたんだって。
待たせるのはいいけど待つのは大っ嫌いなRちゃんはメールした後、帰ろうとしてふと公園の中にいるデブっちょの男の人が携帯を開いてメールを確認してるのを見て、あっ! って思ったんだそうです。
念のためにRちゃんはもう一度メールを送ったんですね。そしたら偶然とは思えないタイミングでそのデブっちょの人の携帯が鳴った。
それを見てRちゃんは確信したんです。
そうですよ。Tちゃんなんて元からいなかったんです。
そのデブっちょの男の人が嘘を吐いて、Rちゃんに会おうとしてたんですよ! デブっちょのクセして生意気ですよねー!
Rちゃんは怒ってそのまま帰っちゃいました。まぁ当たり前ですよねぇ。だってありえないですもん。Rちゃんもそう思ってたみたいで、家に帰ってから「ありえない!」って私にメールしてきたんです。
その時に私はRちゃんがレズだったっていうことを知ったんですけどね?
もーホント、最初は驚きましたよぉ~。
あ、ちなみに言っておきますけど、Rちゃんは私のことを友達だとかしか思ってませんからね。
私とRちゃんは変な関係じゃないですよー!
あと私今フリーなんで八代先輩以外ですけど、どんどんコクっちゃって下さいね~?
もしかしたらこのかんわいいー! 私と付き合えちゃうかもしれませんよ! ってあー! もう! ちょっと何してんですか桐沢先輩ぃー! 蝋燭吹き消さないで下さいよぉー!
……話はもう終わりましたけどぉ。
酷いじゃないですかぁ。
……。
……。
ちょっと思ったんですけど、そのデブっちょの男の人ってRちゃんに会ってどうするつもりだったんでしょうねぇ。
「そりゃあデートするためだよ」って、八代先輩。デブですよデブ。Rちゃんから聞いたんですけど、デブ+ブサイクだったみたいです。
Rちゃんはめちゃくちゃかわいい子なんですよ? 吊りあいが取れないですってば!
……あのですねぇ。これは私の勝手な想像なんですけど、この頃出会い系サイトが問題になってるじゃないですかぁ。
いい年したオッサンと純情な中学生が現実で会って、暴行されたぁーなんて……。
そのデブっちょさんもその類だったんじゃないでしょうかね?
公園のどこかにそのデブの仲間がいて寄って集ってRちゃんを……、ひゃー!
もしそうだったとしたらRちゃんは危機一髪だったって話ですよ! 良かったぁRちゃん、無事で。
はい! じゃあこれにて私の話はここで終わります!
それでは城島さん、次お願いしまぁ~す!