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怖い話をしませんか?  作者: 返歌分式
それぞれのさいご
26/27

『塗りこまれた死体』

 空が青く澄み渡っていた。

 学校の帰り道、私は歌を歌って家に帰る。



「えーんえんらー、えんえんらー、ゆらゆらゆれーてえんえんらー、おひとつわたしにくださいなー」



 ももたろさんの替え歌を歌い、上機嫌に鞄を揺らして身体を揺する。

 今日は私の横に彼はいない。彼は照れ屋なのだ。

 私はそんな彼のいじらしさにふふふと笑い、「分かっていますよー」と声をあげた。

 極度の照れ屋で、ちょっと怖がりで、不器用で、不器用すぎて照れ隠しに友達を使って私を邪険に扱うのだ。

 でも、分かってる。本当は私のことが大好きだってことを!



「知っていますよ」



 私はあまり可愛くは無い。

 私より可愛い子なんてクラスを見渡せばそこら中にいる。

 けども彼は私を選んでくれた。彼は私の落としたペンを拾ってくれて、私に優しい声をかけてくれた。彼は私を選んでくれたのだ。


 ぴり、と怪我した頬が痛んだ。

 私はそれに顔を顰めて頬に手をやる。

 その手にも、ぺたぺたと何枚も絆創膏が貼られており、自分でも結構痛々しいなと思えた。


 これは彼の友達が私を殴った時についたものだ。

 彼の友達は彼に嫉妬しているんだろう。それか、彼のことを取ろうとしている私に嫉妬しているのか。

 どっちなんだろう。

 彼に私が取られるのが嫌なのか、私に彼を取られるのが嫌なのか。


 んんー、と考えて、どうでもいいですね、と言った。

 笑った顔に傷は容赦してくれなかった。

 私はあいたたたと笑い、もう一つ違う歌を歌う。



「えーんえんらー、えんえんらー、籠の中のえんえんらー、いーつーいーつー見ーやぁーる……」



 今日も晴れているのなら、明日も晴れているだろう。

 明日晴れたら、夜、彼の元に行ってみよう。私はそう考えて、煙々羅に似ている雲を見て笑った。












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