『正門の怪』
僕は俺のことが好きじゃない。
だって俺はいつだって父さんと母さんに嫌われる。
僕だって愛されたいんだ。なのにいつも俺がそれを邪魔する。
だから無くなってしまえばいいのに。俺なんて、なくなってしまえばいい。
俺は人の過去を盗み見る。
その人が歩んできた道を見てしまう。
それは僕は望んでいないのに、俺が勝手にそれを見る。
僕は父さんと母さんに愛されたいんだよ。俺なんてどっかに行っちまえばいいんだ。
俺のせいで父さんと母さんが死んだんだ。
俺のせいで親戚のおじさんも僕を嫌うんだ。
俺のせいで僕のことを皆が変なものを見る目で見るんだ。
なんでだよ。全部全部俺のせいじゃないか。僕のせいじゃない。僕のせいじゃないのに、なんで僕が嫌われなくちゃいけないんだ。
目が、色んな目が、同じ色で僕を見る。
その目が嫌いだ。全部違う目なのに同じ目が嫌いだ。
あぁあぁぁああぁ、僕のせいじゃない俺のせいじゃない。
悪いことをするお前らが悪いのに、俺はただそれを言っただけなのに、父さんと母さんは悪いことをしたら謝らなくちゃいけないよと言っていたのに、僕はそれを信じて俺はお前らのワルイコトを言うのに、謝れって言うのに、なんで、なんでなんでなんで僕だけが悪者なんだ。
お前らなんてしんじまえよ。
僕は逃げる。
今日も『あの有名な』と言われたからだ。
僕は威勢を張って逃げる。
学校の門を、大きく笑う何かに向かって逃げるんだ。
あぁ、くそ。
藤谷のやつめ。
お前のことは心底むかつくけど、最大の逃げ場を教えてくれたお前に感謝するよ。




