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他人事
ぐるぐると円を描いて、ぐるぐるという動作を嫌う君。君は薄桃色の唇で円を綺麗に描きたいのと言って、白い自分の手で描かれた歪んだ円が許せない。だから練習しないし、描かない。君は君の技量に見切りをつけて逃げているのかな。僕が、何がしたいのとこちらが問うても知らんぷり。折れそうな腕でクレヨンを床に放り投げた。鮮やかな赤いクレヨンが少しだけ床についたね。それはまるで血のようで、君が円から逃げ出した印なんだ。
後悔しても、知らないよ。
他人事
(だってどうせ)(関係ないし)
大衆社会の生み出した産物