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フゴウ邸恨みによる不幸事件
とても深い傷を負った。この傷はどんな名医を使ったって綺麗には治らないだろう。自分のことだからよく分かるんだ。ね、見てごらんよ。背中に両翼のような赤い傷があるだろう。何時までたっても出血が止まらない傷さ。どくどくと流れる自分の血が、大理石の床を汚すのを横目に見て思うんだ。
(出血多量で死ぬなんて私らしくないじゃあないか。どうせなら老衰で死にたいんだ。)
フゴウ宅恨みによる不幸事件
(ああ、意識が薄れてゆく。)
どんな人も死ぬ時はあまり変わらないのだろう。