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白魚
透明なのに光の反射だか屈折だかだとかで白っぽく見える白魚。それらは結局小魚の集まりだ。胡麻より小さな黒目を付けた小魚の、何十匹の集まりだ。
それを僕等は箸ですくって食べる。何十匹の命を、僕等は一口で食べるんだ。滑り落ちるちっぽけな白魚の一、二匹なんて気にやしないんだ。
一口足らずの何十匹の白魚はきらきらと白っぽく光るのだ。それは僕等の瞳を捉えて離さない。綺麗だ。ただ、何も理由が要らない綺麗さだ。
僕等は綺麗な命を食べる。
(そして僕等は生きるんだ)
ふと、私達は命を食べるんだなあって思いまして。