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誰
其の唇は林檎の様に鮮やかに赤く熟れていた。また、其の色はまるで、新鮮な血の様でもあった。そう、これを鮮血というのだろうとすら思った。
俺は其の赤い唇に指を近づけて、触れる少し前でぴたりと、前触れも無く止めた。そうして少しだけ息を止めてから、俺は「誰だ。」と、問うた。返事は無い。静寂と、闇でも光でもない灰色が俺と赤い唇を持つ人を包む。
いつまでも、そこは静かだった。
なんか、幽霊とかみたいに中途半端な存在をそれ以外の言葉で表したかったのです^^
あと、余韻を楽しんでいただけたら嬉しいです!!