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喉
喉を鳴らして水を飲む。上下するその喉を僕は凝視する。白くて、柔らかな喉。そこには水が流れたのだ。血液が流れているのだ。真っ赤で綺麗な血を想像して、僕は唾を飲み込んだ。
「何してんの。」
僕が水を飲む白猫を凝視していると後ろから声をかけられた。近所の小学生で、髪が長い女の子だった。ハーフらしいその子のオリーブ色の瞳に僕の姿が映る。
「別に何もしてないよ。」
にっこりと笑うと、女の子はうそつきだねと喉を揺らして言った。
(私はあなたが猫を殺したのを知ってるんだからね。)
ほのかに残酷な話です。誰が見ても(いい意味での)不安になるような話は結構好きです。この話がそうなっているかどうかは分かりませんが…