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灰色
まだ、何も見えやしない。光も、闇も無い灰色の世界しか僕の瞳に映らないのだ。木と草と花の若い緑も、みずみずしい花弁の十色も映らない。唯、僕の瞳には薄く汚れた灰色しか、映らない。
それはもうゆっくりと僕は目を開けるが、やっぱり世界は汚れた灰色なのだ。そう思って、僕は泣く泣く目を閉じる。そうすれば赤の他人と同じで何も見えやしない。でも、そう思っているのは僕だけだ。今のように日の当たる方を向いて目を閉じれば赤い、赤い血管が見えるはずじゃあないか。そのはずじゃあないか。
閉じた瞼に 何を見る。
(頬をつたう涙は知らないふりをした。)
少年は盲目ではないのです。それが余計に少年を悩ませるのですが。