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オモテナ師  作者: N旅人
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第6話 友人の影

第6話 友人の影

負人間の出現が頻発するようになってから、部員たちの疲労はピークに達していた。表の活動はほとんど停止。観光地でのパフォーマンスは中止になり、キャンパス内のチラシ配りさえままならない。笑顔でおもてなしする機会が減った分、隠師としての力も少しずつ弱まっている気がした。それでも、みんなは戦い続けた。負人間を倒すたび、浄化される人の姿を見て、少しの希望を抱く。そんなある日、陽菜のスマホにメッセージが入った。大学の同級生、宮川あかりからだ。あかりは陽菜と同じ文学部で、よく一緒に授業を受ける仲だった。負人間の事件以来、連絡が途絶えがちだったが、久しぶりのメッセージ。【陽菜、最近全然会えないね。ちょっと話したいことがあるんだけど、今日の夜、大学近くのカフェでいい?】陽菜は少し迷ったが、返事した。戦いのことばかりで、普通の友人との時間が恋しかった。夜、カフェで待っていたあかりは、どこか様子がおかしかった。笑顔は作っているのに、目が笑っていない。陽菜が席に着くと、すぐに切り出した。「陽菜、最近変なこと起きてるよね。大学とか観光地で、人が暴れる事件……」陽菜はどきりとする。「え、なにそれ?」「あれ、全部あなたたちに関係あるんでしょ?」あかりの声が低くなる。陽菜は言葉に詰まった。「どうしてそんな……」その瞬間、あかりの目が赤く光った。黒いオーラが薄く体を覆う。――負人間に、操られている。陽菜は立ち上がり、カフェの外へ誘導しようとした。「あかり、落ち着いて! 私、助けるから!」しかし、あかり――いや、負人間は笑った。「助ける? 遅いよ。もう、完全に私のものだ」あかりの体が変形し始め、負人間の本性が現れる。カフェの客が悲鳴を上げて逃げ出す。陽菜はすぐに変身し、戦闘態勢に。「みんな、来て!」緊急連絡を送り、部員たちが駆けつけるまで、陽菜は一人で時間を稼いだ。あかりの動きは速く、知能が高い。まるで陽菜の戦い方を熟知しているかのように、隙を突いてくる。「陽菜ちゃん、知ってるんだよね。私がこうなったの、全部あなたたちのせいだって」負人間の言葉が、陽菜の心を抉る。あかりの本心が混じっているのか、操られた言葉なのか、わからない。部員たちが到着。五十鈴先輩が指揮を執る。「陽菜、下がって! 私たちで抑える!」翔子が突進し、涼子が遠距離攻撃。美咲が結界を張り、凪が撹乱。しかし、敵は強い。あかりの体を知り尽くしているかのように、みんなの連携を乱す。「こいつ……私たちの戦い方を知ってる!」翔子の叫び。涼子が前に出る。「私が隙を作る! みんな、総攻撃の準備を!」涼子は冷静に敵の動きを読み、強力な光の矢を放つ。負人間がよろめいた隙に、みんなが攻撃を集中。しかし、その瞬間――負人間の爪が涼子を捉えた。「涼子!」陽菜の悲鳴。涼子の体が吹き飛び、壁に叩きつけられる。血が飛び散り、彼女は動かなくなる。重傷だった。負人間は笑い、黒いオーラを強める。「一人減ったね。次は誰?」怒りと絶望が部員たちを包む。翔子が暴走気味に突っ込むが、逆に押される。陽菜は涼子を抱きかかえ、撤退を決断。「みんな、逃げて! 今は勝てない!」なんとか負人間から離れ、先生の援護でその場を切り抜けた。病院に運ばれた涼子は、意識不明の重体。負のオーラの侵食が深く、回復の見込みが薄いと医師に言われた。部室に戻った部員たちは、誰も言葉を発しない。陽菜は拳を握り、震えていた。「私の友達を……あかりを、救えなかった」五十鈴先輩が静かに言う。「あなたのせいじゃない。でも、敵は私たちを狙ってる。知り合いを利用して、心を乱す作戦よ」美咲が泣き崩れる。「もう、嫌だ……。みんな傷ついて、誰も救えないなんて」翔子は壁を叩き、凪でさえ笑顔を失っていた。陽菜の胸に、無力感が広がる。――仲間を救えない。リーダーなのに、何もできない。その夜、陽菜は一人で病院の屋上に出た。涼子の顔を思い出す。あかりの歪んだ笑顔。「ごめん……ごめんね」涙が止まらない。チームは疲弊し、絆が揺らぎ始めていた。敵の策略が、確実に効いている。負の将の影が、すぐそこまで迫っていることを、みんなが感じていた。でも、まだ誰も、それがどれほど深い闇かを知らない。

(第6話 終わり)

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