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オモテナ師  作者: N旅人
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第14話 手がかり

第14話 手がかり

神紀2025年、春。おもてなし部が事実上解散してから、3ヶ月近くが過ぎていた。宇治陽菜と山田翔子は大学四年生になり、就職活動に追われる毎日を送っていた。文学部のゼミで論文を書き、アルバイトで生活費を稼ぐ。神国の街は表面的には復興が進み、観光客も少しずつ戻っていたが、心にはぽっかりと穴が空いたままだった。

ある日、大学の図書館で新聞をめくっていると、一つの記事が目に飛び込んきた。『メディア大手・黒影通信社、神国観光低迷の原因を「おもてなし部」の無駄遣いに指摘 国会でも議論に』記事には、かつてのおもてなし部の活動写真が小さく載っていた。巫女風の衣装で笑顔を振りまくみんなの姿。でも、キャプションは冷たい。「税金の無駄遣いか? 被害復興が進まぬ中、アイドル活動に予算を注いだ大学サークル」陽菜の胸がざわついた。黒影通信社――全国規模の新聞・テレビ・ネットメディアを牛耳る巨大企業。負人間事件以降、復興の遅れや財政難を執拗に報道し、世論を「緊縮」へと導いていたのは、この会社だった。

家に帰り、陽菜はパソコンを開く。過去の記事を検索する。・おもてなし部の予算は「不要」

・観光PRに税金を使うな ・大学サークルの贅沢が財政を圧迫 すべて、黒影通信社の関連メディアから発信されていた。――これ、意図的だ。陽菜は、かつての部員たちに連絡を取った。久しぶりのグループチャット。陽菜:「みんな、この記事見た? 黒影通信社、私たちを標的にしてるみたい」翔子:「見たよ! ムカつく! あいつら、私たちのこと何も知らないくせに!」涼子:「調べてみた。黒影通信社の株主に、国からの補助金を受けている企業が多い。でも、なぜかおもてなし部だけを攻撃してる」美咲:「怖い……。また、負の感情が広がっちゃうよ」五十鈴先輩:「これは、偶然じゃないわ。負の将が言ってた『真の黒幕』……もしかして」陽菜の背筋が冷える。負の将の最後の言葉――「真の黒幕は他にいる」負人間を操り、負のエネルギーを生み出していた存在。もし、それが黒影通信社なら。

メディアを通じて世論を操作し、財政支援を絶ち、おもてなし部を潰した。負の感情を煽り、負人間を増殖させる――二重の策略。陽菜は岩淵先生に連絡した。先生は、静かに言った。

「君たちの勘は、正しいかもしれない。黒影通信社は、昔からおもてなし部関連の予算に批判的だった。だが、ここまで執拗なのは異常だ」陽菜は決意した。「先生、私……調べます。みんなを、もう一度集めたい」先生は少し間を置いて、答えた。「いいだろう。だが、今の君たちは、隠師の力も弱まっている。慎重に」夜、陽菜は一人でパソコンに向かう。かつての仲間たちにメッセージを送った。「みんな、もう一度、集まろう。私たち、おもてなし部を……隠師を、取り戻すために」返事は、少し遅れて来た。翔子:「もちろん! いつでも行くよ!」涼子:「データ集めます。待ってて」美咲:「怖いけど……みんながいれば」凪:「面白そう! 参加するよ」五十鈴先輩:「私も、参加するわ」陽菜は、画面を見つめ、微笑んだ。力は弱まっている。組織はない。お金もない。でも、絆は残っている。闇の報道の向こうに、真の黒幕がいる。VS黒幕編が、静かに始まろうとしていた。外では、春の風が冷たく吹いていた。でも、陽菜の胸に、小さな火が灯った。

(第14話 終わり)



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