第10話 反撃の狼煙
第10話 反撃の狼煙
涼子の退院が決まった日、部室は久しぶりに明るい空気に包まれていた。まだ歩くのがやっとの涼子を、みんなで迎えに行った。病室から出てきた彼女は、少し痩せていたが、目はいつもの冷静さを取り戻していた。「みんな……ありがとう。待たせたね」涼子が微笑む。美咲が抱きつき、陽菜が手を握る。翔子がいないことが、胸に痛かったが、それでもみんなの絆は確実に強くなっていた。部室に戻り、涼子がノートを開く。「私が入院してる間に、みんな本音を話し合ったって聞いたよ。それで、私も一つ言う」彼女は少し照れくさそうに続けた。「私、いつも冷静ぶってたけど、本当はみんなに頼りたかった。分析ばっかりで、心を閉ざしてた部分があった」五十鈴先輩が頷く。「私たちみんな、同じだったわね」先生が静かに言う。「これで、君たちは本当の絆を手に入れた。おもてなしの力は、最大になるはずだ」作戦会議が始まった。涼子が地図とノートを広げる。「負人間の出現場所と、異界の入り口の痕跡を分析した。負の将の本拠地は、神国神社近くの古い森の奥……異界の歪みが一番強い場所よ」みんなが地図を囲む。「翔子ちゃんは、そこにいる」陽菜の決意。「今度こそ、絶対に救う。そして、負の将を倒す」準備は着々と進んだ。表の活動を少し再開し、観光客の笑顔からエネルギーを溜める。SNSで小さなパフォーマンス動画を上げ、応援メッセージを集めた。それが、隠師の力になる。決戦の日。神社近くの森。夕暮れ時、部員たちは変身し、異界の入り口に飛び込んだ。暗い空間。負のオーラが濃いが、前回とは違う。みんなの心が繋がっている。奥に、負の将が待っていた。翔子はまだその側に、赤い目で立っている。「また来たか。愚かな」負の将の声。しかし、陽菜たちは怯まない。五十鈴先輩が指揮を執る。「陣形を! 陽菜、サポート全開で!」戦いが始まった。負の将の黒い波動が襲うが、美咲が結界を張る。前回とは違い、結界は揺るがない。「私……怖くないよ! みんながいるから!」美咲の声に、力が宿る。彼女の結界が、負のオーラを弾く。凪が陽気な動きで敵の注意を散らし、涼子が冷静に弱点を分析。「将の左肩に、古傷のような亀裂がある! そこを狙って!」五十鈴先輩と翔子への呼びかけ。陽菜は全力でサポート。おもてなしのエネルギーをみんなに分け与え、絆を強化。翔子が動く。将の命令で、陽菜たちに向かう。「翔子ちゃん!」陽菜が前に出る。「私たち、翔子ちゃんの過去も全部受け止めたよ。一人で背負わなくていいんだよ!」翔子の動きが止まる。心の奥で、トラウマが揺らぐ。「みんな……」負の将が苛立って翔子を操ろうとするが、翔子の目から赤みが薄れる。「もう、お前の言いなりにならない!」翔子が将に向かって拳を放つ。将がよろめく。「今よ!」美咲が初めて自分の能力をフルに発揮した。結界を攻撃に転じ、負のオーラを押し返す。臆病だった彼女が、勇敢に前に出る。「みんなを守る!」結界が爆発的に広がり、負の将を包む。翔子が突進、五十鈴先輩が斬撃、涼子が光の矢、凪が弱体化。陽菜はみんなの絆を集中させ、最終の一撃をサポート。負の将が悲鳴を上げ、黒いオーラが崩壊する。「これは……まだ、終わりではない……真の黒幕は……他に……」負の将の最後の言葉。体が霧散し、異界が揺れる。翔子が解放され、みんなに抱きつかれた。「ごめん……みんな、心配かけて」涙の再会。勝利だった。元の世界に戻る。森は静かで、夜空に星が輝いていた。しかし、負の将の警告が残る。「真の黒幕は他にいる……?」涼子が静かに言う。「負の将は、ただの幹部だったのかもしれない。もっと上の存在が……」陽菜はみんなを見回す。「でも、今の私たちなら、怖くないよ」みんなが頷く。美咲の成長が、みんなの希望になった。新たな謎が提示された。戦いは、まだ続く。でも、反撃の狼煙は上がった。おもてなし部の絆は、折れなくなった。外では、優しい風が吹いていた。
(第10話 終わり)




