不変的な何か
人間の持つ不変的な何か
♪ 新商品のご案内でぇす! 今月、新しく登場した、マグロカツオどんどん丼を記念してぇ、ご注文いただいたお客様、抽選で、マグロカツオのタレをプレゼントいたしまぁすぅ! ♪
ウィィン
店員「いらっしゃいませぇ」
男「・・・・・・ああ、濡れた、濡れた、」
店員「空いているお席でどうぞ」
男「・・・・・・・・」
ポチ ポチ ポチ ティリーン ♪ご注文をお受けしました♪
男「・・・・・・ああ、足元まで、水が来てるよ」
店員「お待たせしました、牛丼セットになります。」
男「・・・・・あの、お茶。温かい、お茶、ある?」
店員「ああ、はい。お持ちしますね。」
男「雨、止むかなぁ。」
女「止むんじゃない?」
男「天気予報は?」
女「知らない」
店員「お待たせしました、お茶です。」
男「あ、どうも。」
ティリリリン ティリリリン ガチャ
店員「お待たせしまた、牛丼の・・・・あ、お疲れ様。 え? バイトに来られない? え?困るよ? いや、俺に言われても。俺も、時間で、あがるし。 いや、そういのは俺じゃなくて、社員さんか、店長に言ってもらわないと? ああ、まぁ、じゃぁ、うぅぅん。うん、はい。 俺は時間で帰るから。じゃぁ、あとは、よろしく。お疲れ様。」ガチャン
男「ご馳走様でした。」
店員「お会計は一緒で?」
男「はい。」
店員「ポイントカードは?」
女「あ、はい。これ。」
店員「お会計は千三百円になります。お支払い方法は?」
男「あ、QRで。」
店員「はい。こちらで。」
男「はい。」
ピー ガガガガガガ
店員「ありがとうございました。」
男「ごちそうさま。」
女「行こ」
女「あれ?」
男「どうしたの?」
女「ドア、開かないんだけど?」
男「えぇ? ちょっと、あ、あ、ああああ、あ、ホントだ。すみませぇん」
店員「はい?」
男「ドア、開かないんですけど」
店員「・・・・・・・・はい。」
店員「お待たせしました。」
女「ドアが開かないんですよ」
店員「ちょっと待って下さい。うん、うん、うん、・・・・・ううん? 開かないですね?」
女「困るんだけど?」
男「次の用事もあるからなぁ」
店員「うん、うん、ちょっと、待って下さい、うん、うん?・・・・・・・ううん? やっぱり駄目ですね。開かない。」
女「いや、開かないって、困るんだけど?」
店員「でも、開かないものはどうしようもないですね。」
男「あ、ほら。水だよ、水。水で開かないんだよ、ドアが。」
店員「水?」
女「えぇ? どうでもいいけど、開かないと帰れないじゃない。困るんだけど。」
男「水圧だよ、水圧。」
店員「ちょっと待って下さい。」
女「・・・・ちょっと早くして」
トゥルルルルル トゥルルルルルルル トゥルル
店員「・・・・・電話が通じない」
男「あ」
女「あ」
男「あ」
店員「あ」
男「停電した」
女「消えた! 怖いぃ」
女「なんか水、増えてない?」
男「くるぶしまで、来ちゃったよ」
女「・・・・・警察、呼ぶ?」
男「ああ、こういう場合は、消防だよ」
女「なんばん?」
男「いや、わかんないけど」
女「もう、一一〇でいい?」
男「いいんじゃない?」
女「・・・・・・。・・・・・・・。・・・・・・・、出ないんだけど?」
男「え?」
女「困るんだけど」
男「いや、こっちだって困るよ」
男「すみません、」
店員「はい」
男「あの、お手拭き。お手拭き、切れちゃったんですけど」
店員「あ、はい。お持ちします」
店員「お待たせしました」
男「あ、どうも。」
女「すみません」
店員「はい」
女「まだ開かないんですか?」
店員「すみません。開かないですね」
女「困るんだけど」
男「どうにか開けてもらわないと」
店員「でも、開かないものは、開かないですから。」
女「困るんだけど」
『では次のニュースです。先日の記録的大災害による大雨の影響で、海抜ゼロメートル地帯の水没した地区にある、大手牛丼チェーン店から、遺体が発見されました。男女合わせて四名と確認されております。水没による水圧で内側からドアが開けられなくなり、避難が遅れたものとみられております。また、電源設備が地下に設置されていた為、電気設備の故障も非難が遅れた原因ではないかと推測されております。
では、続いてのニュースですが・・・・・・』




