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親の無関心?!【パパママ発表会】を開こう!

「……ねえ、先生。僕、今日、パパに手紙書いたんだ。訓練で出来るようになった、魔法の花火。おうちで見てくれるかなぁ……?」

赤竜のリオは、小さな手で握りしめた手紙を、不安そうに見つめていた。

その瞳には、期待と不安が入り混じった光が揺れていた。


ギータは、リオの言葉に胸が締め付けられるような感覚を覚えた。

その様子を見ていた他の幼竜たちも、どこか上の空で、訓練に身が入らない様子だった。


「……うちのパパ、仕事忙しいからなあ。見てって言っても見てくれないよ」

「ママは、いつも『強い竜になれ』って言うだけで、僕がどんな魔法を使えるかなんて、興味ないんだ」

「僕、頑張って練習したのに……」


幼竜たちの言葉には、親への切ない願いと、諦めが入り混じっていた。

ギータは、彼らの言葉から、親たちの育児への無関心を痛感した。


(お迎えの時だって、ろくに顔も見ないで、幼竜たちを連れて帰るだけ。まるで、荷物でも運ぶみたいに……。たまに顔を出しても、挨拶もそこそこに、幼竜たちの訓練の成果を尋ねるだけ。まるで、品評会に来ているみたいに……)


ギータは、幼竜たちの親たちの態度に、強い憤りを感じた。

「……許せない。こんなの、絶対におかしい!」

ギータは、ドラコに詰め寄った。


「ドラコ先生! 竜人族の親御さんたちは、どうしてこんなに無関心なんですか!? 子どもたちは、こんなに寂しがっているのに!」

ドラコは、少しばかり気まずそうに目を逸らした。


「……ああ。竜人族は、基本的に『強く育てばそれでいい』という考えだ。育児に興味を持つ親は、少ない。それに、親たちは、子どもたちに期待しているんだ。『強く、立派な戦士になれ』と。だから、余計な感情を見せることを、良しとしない。それは、親としての愛情の裏返しでもあるんだが……」


ドラコの言葉に、ギータは絶句した。


「愛情の裏返し……? でも、子どもたちは、親御さんに見てもらいたいと思っているはずです! 自分の頑張りを、認めてもらいたいと思っているはずです! それが、愛情じゃないんですか!?」

ギータが声を荒げると、ドラコは渋々といった様子で答えた。


「……まあ、そうかもしれんが……。親たちに言っても無駄だ。我らの文化は、そういうものなのだから」



「ならば、やるしかない!」

ギータは、力強く宣言した。



「親御さんたちが来ないなら、こちらから来てもらう! 『パパママ参観日』を開きましょう!」

ギータの提案に、ドラコは目を丸くした。




「パパママ参観日? そんなものが、お前の世界にはあるのか?」

「そうです!私たちが作るんです! 幼竜たちの成長した姿を、親御さんたちに見てもらうために!」


ギータの熱意に、ドラコは次第に心を動かされていった。

「……わかった。協力しよう。だが、何をするんだ?」

「そうですね……。せっかくなら、幼竜たちの魔法の力を披露する『魔法発表会』を開きましょう! みんなで協力して、壮大な花火を打ち上げるんです!」



ギータの提案に、ドラコは目を輝かせた。

「花火か。それは面白そうだ。今丁度火魔法を練習しているし丁度いい。幼竜たちの魔法制御の訓練にもなるだろう」


こうして、ギータ、ドラコ、そしてルーナも巻き込んで、魔法発表会の準備が始まった。


まずは、花火の魔法の制御訓練だ。

幼竜たちは、魔法の力を一点に集中させ、それを空高く打ち上げる練習を繰り返した。


「うわあ! 魔法がバラバラになっちゃう!」

「もっと集中するんだ! リオ! 力を一点に集中させるイメージだ!」

「うん! 頑張る! パパに見てもらうんだ!」


ドラコの厳しい指導の下、幼竜たちは、何度も失敗を繰り返しながら、次第に魔法の制御に慣れていった。

その瞳には、親に見てもらいたいという強い願いが宿っていた。


次に、衣装の準備だ。

ギータは、前世で使っていた保育園の衣装を参考に、幼竜たちに魔法使いの衣装を作った。



「先生、これ、かっこいい!」「僕、魔法使いみたい!」


「みんな、似合ってるよ! これを着て、かっこよく花火を打ち上げよう!」



ギータの言葉に、幼竜たちは目を輝かせ、衣装を着てポーズを取り合った。

その姿は、まるで舞台に立つ役者のようだった。



最後に、親御さんたちへの招待状の準備だ。

ギータは、ルーナに協力してもらい、魔法で美しい模様を描いた招待状を作成した。



「これで準備万端です! きっと、親御さんたちも喜んでくれるはず!」

ギータは、完成した招待状を手に、笑顔を見せた。




そして、ついに、魔法発表会の日がやってきた。

園庭には、色とりどりの飾り付けが施され、普段の訓練場とは思えないほど華やかな雰囲気に包まれていた。

親御さんたちまでもが、緊張した面持ちで席に着く中、舞台袖では幼竜たちが最後の衣装チェックをしていた。


「リオ、大丈夫か?緊張してないか?」

「ちょっとドキドキするけど、パパに見てもらうんだ!頑張る!」

幼竜たちは、互いに励まし合い、深呼吸をして舞台へと向かった。



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