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朽だら野の少年


 ()()は、何もない ただ果てしなく続く荒野だった。


 「初めまして」


俺の目の前には、ぽつりと立つ一人の少年。


年は俺と同じ7、8歳くらいだろうか?


ボサボサの黒い髪と、白茶けた簡素な着物。


まるで時代劇の中から出てきたような風貌だと思った。


「やっと人が来てくれて嬉しいよ」

「まあ、まだ試用の試用ってところなんだけどね」


しかし、その口調や顔つきは少年の姿に反してやけに世慣れているように感じられた。


「君達が、初めてここを見つけた」

「最初のプレイヤーだから、特別に一つだけ願いを叶えてあげようかな」


その口ぶりから、彼がこの世界ゲームの開発者的存在なのだろうということが何となく分かった。


「……うん? ああ、確かに名前がないのは不便だな。良ければ君が名づけてくれないか?」

「ク、ダラノ? 『朽野』と書くのか。確かにこの何もない世界にはぴったりかもしれない」


乾いた風が吹き、空は重苦しいだけのなまり色。


何もない薄暗く不穏な世界を、俺はぐるりと見回した。


「勿論できるさ。ここを、たくさんの人が楽しむ豊かで美しい世界に変えることだって可能だ。長い時間はかかるだろうけどね」

「木を植えたい? まあ別にいいけど」


この荒んだ世界の中で、最初に宿った生命は小さな小さな苗木だった。


「じゃあ、おまけでこのへんの土地は君にあげるよ」

「この木が大きくなるまで一緒にいてくれ」


クダラノの始まりの地。

そして、全てのプレイヤーを見守る世界樹の木。



 「クダラノには、大きな秘密と役割がある」



どうしてだろう。そんな懐かしい光景を、久しぶりに俺は夢に見たのだった。

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