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フタシカなまま、ぼくたちは  作者: ばやし せいず
第3章 佐藤蒼紀
43/76

3-25 順位

 中間テストから一週間経ち、それぞれの科目の結果が全て出揃った。

 平均点を下回ったのは英語のみだ。

 自分としては、まあまあ良い結果が出せたと思う。野沢のおかげかもしれない。


「よーし。じゃあ荷物をまとめて教室の後ろに立って」


 テストの順位表を配りがてら、席替えをしてしまおうと担任の中松が言う。予告通り、テストの得点順の席の並びになるそうだ。


「ソーくんとまた近くなれたらなあ」

「それは順位次第だな」


 手に汗をかいてきた。

 中学での過ごし方は関係なく、純粋な学力のみの順位がこれでわかる。

 一位はまたきっと野沢(こころ)だろう。俺だけではなく、教室内のほとんどどの人間がそう思っているに違いない。


「ではさっそくここの席から発表してくよ」


 中松が廊下側の一番手前の席を指す。


「ここの席、つまり一位は木戸愛華(あいか)さん」


 教室中がざわつく。

 愛華の横顔をまじまじと眺めてしまった。彼女は嬉しそうな顔も、ほっとした顔もしていない。


「愛華、すげえ!」

「ビリから一位ってまじ?」

「騒がないの。名前呼ばれたらどんどん座って。木戸さんの次、野沢心さん」

「……はい」


 蚊の鳴くような声で野沢が返事をする。

 騒ぐなと注意されたクラスメイトたちは二人を見比べながら声を潜めおしゃべりを続行する。

 中松は愛華と野沢の二人にはとくにコメントせず、次々に名前を呼んでいく。


「……では、二列目の一番手前、佐藤蒼紀(そうき)くん」


 自分の名前を呼ばれ、小さくガッツポーズをしてしまった。

 なかなかの躍進だ。

 しかしそれ以上喜んでもいられない。新しい席の右隣にはダークホースの愛華が座り、彼女の後ろには首位に立つだろうと思われていた野沢心がいる。


 気まずかった。気まずいことこの上なかった。


 新しい席に着き、なるべく丁寧に荷物を片付けるふりをした。成果が出た喜びと、愛華が一位を取ったことへの衝撃に感情がごっちゃになっていた。そして、野沢の気持ちをおもんぱかると、どんな顔をしていたらいいのかわからなくなる。


「……席、また近くなったな」


 二人の順位のことなんて気にしていませんよという風を装って、俺の右隣に座る愛華に声を掛ける。

 彼女は控えめに、うんと頷いた。


「野沢も、よろしくな」

「ココちゃん、よろしくね」


 二人で振り向く。

 返事は無かった。

 野沢は机の上をただじぃっと見下ろしているばかりだった。


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