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「ご名答。つまり、おじさんもおばさんも寿命をはるかに超えて長生きしてるんだよ。今は元気に見えてるかもしれないけど、いつポックリいくかはわからないんだからね。心配してるんだよ、僕は」


「ある種の優しさなの、か……?」


 ずけずけと言うポールに、さすがのトールも戸惑っているようすだ。


「はるかには言いすぎでしょ」サラは小声で反論した。


 平均寿命の算出にはあらゆる階層が含まれているのだろう。公爵やサラよりも生活環境が悪い者は多い。


(でも離婚したら、わたくしは平民なのだわ)


 健康で文化的で幸福な暮らしなど望めないかもしれない。

 サラの父が死んだときに爵位は返上された。離婚したらサラには肩書がなくなる。元公爵夫人という、過去の栄華にすがった呼ばれ方もうっとうしい。


(いつまでも上流婦人気分でいるのは、ガイから見たら滑稽なことでしょうね)

(……ガイにどう見られるか。おかしいわね。それが気になるなんて)


「心配には及ばん。アシュリーに息子が生まれたら公爵家は安泰だ」


「……まだ子供の性別なんてわからないでしょ。それに荘園の経営はサラおばさんが切り盛りしていたんだから。おじさんで大丈夫なの?」


「いままでなんとかなってきたんだから、なんとかなるさ」


 公爵以外の全員が溜息をついた。いい意味でも悪い意味でも、公爵は苦労知らずなのだ。


「危機感がなさすぎるとでも言いたげな顔だな、諸君。だがな、土地を売るのはいいが、金が入るのはそのとき一度だろう。その後、どうしたらいいんだ」


「ああ、そのことですがね──」


「その後のことは──」


 トールとポールが同時にしゃべった。なにか考えがあるらしい。目を合わせて、互いに牽制をする。トールが威圧するような顔つきでガイを睨むと、ガイも負けずに目を剥いて対抗した。


「あー、でも、土地の話は明日僕の知り合いが来てからにしましょうよ。疲れたので今夜はもう──」


 そう言ってポールが主導権を主張したとき、思わぬ方向から声がかかった。


「ねえ、ノース、いつまで起きてるの」


 アシュリーだ。扉にもたれかかり、不愉快そうな顔で部屋を眺めまわしている。


「わしにはかまわなくていい。ゆっくり休みなさい」


「それなんだけど、部屋を別に用意してもらえない? つわりがひどくて、ノースの安眠を妨げそうなの」


「わしのことは気にしなくていい」


「ううん、私が気を使ってしまって、心が休まらないのよ」


「ああ、そうか、うん。おい、カーン、アシュリーにゲストルームを用意しなさい」


「みなさんももう休まれてはいかが。平均寿命をはるかに超えている人たちを労わってあげ……」


 一同を見回したアシュリーは、ある人物に目をやると、息を飲んだ。


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