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もう出てこないで!

森のゴブリン、人族の盗賊、台所のアレ、冒険者ギルドの……

「どういう意味かしら?」

「言ったままの意味だ。」

「私達はきちんと手続きをした上で目的地に向かい、目標のモンスターを討伐してきたわ。」

「なら、何でそのモンスターが居ねえんだ?」

「こんな所に出したら後の処理が面倒くさいからに決まっているじゃない。」

「やってもいない事の言い訳は見苦しいぜ。」

「受付嬢さん。どうして此所の冒険者ギルドはあんな馬鹿を認めたのよ。」

「申し訳ありません。採用規定に頭のデキは項目に入っていませんので。」

「そうよね。もうあんな馬鹿を無視して、解体場に行きましょう。」

「そうですね。ご案内します。」

「逃げようたって、そうはいかないぜ!」

「邪魔!」

「なら、認めろよ。口先だけで依頼を達成させようとしましたとな!」

「受付嬢さん。この馬鹿は此所の冒険者ギルドも馬鹿にしているわよ。」

「そうですね。」

「だから、逃げんなって言っているだろうが!」


 無理矢理にでも、持って行くか。


「本当に馬鹿よね。こんな時間に居るという事は、長いだけで低ランクで、受付嬢以外は女性に1度でも名前で呼ばれた事がなくて、モテた事もなく、親友も居ない、短足で足が臭くて、気が利かなくて、頭も当然弱くて、勿論、冒険者としても弱くて、アレもゴブリン以下で、オークの雌にも嫌われているのでしょうね。」

「こ、ころ、殺してやる~!」


 はい。武器を抜いたわ。


「はい。武器を抜いたわ。悪いけど、アーク。」

「……おう。」


 アークにあっさり拘束された馬鹿が叫ぶ。


「僕にこんな事をしても良いのか?」

「どういう事かしら?」

「僕のパパはこの都市の領主だぞ。」

「本当に?」

「ええ。非常に残念な事、この上ないのですが本当です。この都市の領主様も奥様も素晴らしい方々なのですが、どうしてこんなのがと思うと残念でなりません。」

「コレ、長男? それ以外?」

「それ以外です。」

「アーク、しっかり縛っていて。後、受付嬢さん。確認したら付き合って欲しい所があるの。良いかしら?」

「問題ありません。」


 私達は解体場に行き、依頼のモンスターを出して確認して貰い、馬鹿の所に行く。


「受付嬢さん。馬車を用意してくださる。馬車の使用料は領主様に払って頂きますから。」

「分かりました。」


 5分後


「馬車の用意が出来ました。」



 私達は荷台に馬鹿を固定して、私達は馬車に乗って領主館に向かう。


「止まれ。此所はこの都市の領主館である。用の無い者は近付かないように。」

「事前の約束は無いけど、荷台のアレについて話たいのだけど。」


 門番が荷台を見ると、此所の領主の三男の「バスラ=アスコ=エフィシェンテ」が縛られていた。

 普通なら、領主様のご子息になんて事を! となるのだけど、門番は顔色を青くして中に入っていった。


 6分程で、門番が帰って来て領主からは、私達と会ってくれるという。

 私達は後から来た執事さんに案内されて、応接室に入ると既に領主と思える男性が座っていた。


「パパ!」

「この馬鹿が!」

「パパぁ。」

(うち)の愚息がご迷惑おかけしました。それで、今回はどの様な事を?」

「外見で侮り、片寄った小さな知識だけで判断し、冒険者ギルドへの暴言に、殺人予告と殺人未遂よ。」

「……本当ですか?」

「本当です。」


 領主と思える男性が私に聞いた後に、受付嬢さんに確認を取る。

 その後、暫く(うつむ)いていたけど、姿勢を正し真剣な表情で私を見据える。


「お嬢さん。我が愚息がご迷惑をお掛けした事を謝罪する。そして、この都市の領主セベロ=アスコ=エフィシェンテは、バスラ=アスコ=エフィシェンテを除籍してこの都市より追放する!」

「パパ!? 嘘だよ、ね?」

「……」

「嘘だと言ってよ!」

「最後の親としての情けだ。今日、明日で準備をするが良い。明後日にはこの都市から出る様に!」

「パパ、待ってよ。こんな奴らの事を信じるの?」

「おい。誰か! この者を連れて行け!」

「はっ!」

「パパ、パパぁ!」


 私達の前に居た馬鹿は何処かに連れて行かれたけど、思い切った判断をしたわね。

 まあ、立場を考えれば当然かな。


「後、これは違う意味で言い辛いのですが、あの馬鹿を運ぶのにギルドの馬車を使ってしまったので支払いをお願いします。」

「それは当然、此方が支払います。」

「今までに様々な葛藤が有った事でしょう。心中察します。」

「ありがとう、お嬢さん。」

「それでは長居は無用と思いますので、これで失礼します。」

「待って頂きたい。時間的にお昼はまだですか?」

「ええ。」

「それなら、お詫びを兼ねて招待したいのだが、どうだろうか?」

「受付嬢さん。どうする?」

「私の方は問題ありません。」

「分かりました。ご招待をお受けします。」

「それは良かった。部屋を用意するので時間が来るまで寛いで居て欲しい。」

「分かりました。」


 こうして、私達と受付嬢さんは用意された部屋で時間が来るまで待つ事になったわ。


「しかし、領主様も思い切った判断をしたわね。」

「正直に申せば、遂にかという感想です。」

「そうなのね。」

「まあ、ああいうのが権力を振るう側に居るのは良くないしな。」

「そうですわ。」

「そうよね。」

 《お腹空いたー。お肉ー。》



 ノックの後、メイドさんが入って来て準備が出来た事を伝えてきた。


「どうぞ。」

「失礼します。お昼のご用意が整いました。ご案内します。」





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