氷神狼フェンリル!
普通の森灰狼だと思っていたら……
私が助けた森灰狼は、なんと、地上では最強を誇る氷神狼だった!?
《人の子よ。改めて感謝する。我と我が仔の治療して貰い助かる事が出来た。》
「別にそれ程の事じゃないから、気にする必要は無いわ。それよりも、モンスターの中の四足獣では最高にして最強の筈の氷神狼が、どうして、揃って怪我をするのよ?」
《2日前に我が領域内に怪しげな者達が入って来た。
それで蹴散らし我が仔の成長にと一緒に行くと、其奴らは思っていた以上に手強く、我らは揃って怪我を負った上に其奴らを仕留め損なってしまい、怪我も深かった為に我らも巣に帰ったがどうやら毒を仕込まれていたようだ。》
「それで?」
《この毒も思っていた以上に強く、やっと解毒が出来た時には大分消耗してしまい、我も擬態が精一杯だった。
そこに、美味しそうな匂いがしたので、せめて、体力の回復を狙って行ってみた。》
「そこには、私達が居たと。」
《そうだ。最悪、誇りを捨て、食料だけでも奪おうか思っていたら》
「私が怪我を治して、食料を分けたと。」
《そうだ。》
「そして、自分の仔も治して貰おうと考えた訳ね。」
《そうだ。そして、その考え、いや、願いが叶った。
ならば、我らが誇り高き氷神狼はその恩を返さなければならぬ。》
「う~ん。そうは言っても欲しい物や、やって欲しい事は無いのよねぇ。」
《ならば、人の子よ。我が仔を連れていくが良い。》
「そんな引き裂く様な真似は出来ないわ。」
《大丈夫だ。この仔は独り立ちが近い。それにこの仔自身も共に歩む事を望んでいる。》
「え、治療する前より大きくなっていない!?」
《体力消耗を防ぐ為に小さくなっていた。》
治療する前は私が抱ける程小さかったのに、今は、私くらいなら3人くらい乗れそうな程、大きい!
《よろしく!》
私の前で、ハッハッハッとしながら、尻尾を左右にブンブン振っている。
アレって、あの一振りでゴブリン程度なら討伐出来るんじゃない?
《人の子よ。引き受けてくれぬか?》
「1つ確認するわ。」
《何だ?》
「私がこの仔を連れて行っても、種族的に問題無いわよね?
この仔が氷神狼族の最後の仔という訳じゃあないわよね?」
《心配は要らぬ。我は氷神狼族の中ではかなり若い部類に入る。いつもより、積極的に動いて「番」を作れば良いだけだからな。》
「……分かったわ。なら、この仔は連れて行くわね。
そういえば、まだ私達の自己紹介をしていなかったわ。」
《そうであったな。》
「私は冒険者で、召喚士の『サラディアナ=レイアース』よ。サラって呼んで。」
「サラの従魔、鬼人族のアークだ。」
「サラ様の従魔、不死鳥のリンですわ。」
「サラの従魔、覇天竜のセレスよ。」
《では、サラよ。我が仔に名を与えて欲しい。》
「え、無理だと思うわ。私にはもう3人も契約を交わしているわ。これ以上、契約が出来るとは思えないわ。」
《なにも、召喚士として契約をしろとは言っていない。
名を与える事で繋がりが出来る。ただそれだけだ。》
「分かったわ。……ちょっとその前に確認よ。この仔は、『雄』? それとも『雌』?」
《その仔は雌だ。》
「分かったわ。この仔の名は『アデラ』よ。」
《良い名だ。》
《ご主人様、名をありがとう。》
「ご主人様なんて呼ばないで。サラって呼んで。」
《なら、サラお姉ちゃん!》
「それで良いわ。」
《うん。》
「よろしくな。」
《よろしく、アークお兄ちゃん。》
「よろしくですわ。」
《よろしく、リンお姉ちゃん。》
「よろしくね。」
《よろしく、セレスお姉ちゃん。》
「仲良くやっていけそうだわ。」
《アデラを可愛がってくれ。》
「任せて。大事にするわ。そして、アデラを最強の氷神狼にしてみせるわ。」
《は、は、は。アデラに頼もしい姉が出来たな。》
「それじゃあ、アデラの独り立ち祝いよ。昼食が途中だから、食べるわよ。」
《先程の焼いた肉は旨かったぞ。》
《本当? 楽しみー!》
こうして、私達はアデラの独り立ちを祝った。
その後は、母親の氷神狼に案内され、私達が最初に昼食を食べていた場所に戻る。
《アデラよ、元気でな。氷神狼としての誇りを忘れるな!》
《うん。分かったー。》
《アデラ、サラ達よ、さらばだ。》
ウオオオーーーーーーン!!!
「さて、そろそろ私達も帰るわよ。」
「おう。」
「はいですわ。」
「分かったわ。」
《うん。》
それで帰る事になったけど、なかなか、王都行きの乗り合い馬車が通らず、痺れを切らしたアデラは、私達に乗るように言ってきた。
《早く、王都っていうのを見たいから、乗ってー!》
「え、良いの?」
《良いよー。》
「分かったわ。でも、流石に4人は難しいから、リンとセレスは良いかしら?」
「はいですわ。」
「分かったわ。」
リンとセレスは従魔用の異空間に入って貰い、私は前、アークは私を抱くような形で私の後ろに着く。
「はい。乗ったわよ。」
《しっかり掴まってて。行くよー!》
アデラが走り出した。
段々と速度が上がって行き、最後の方は横の景色が全て横線になっていたわ。
因みに、アークがしっかり支えてくるたお陰で、アデラから落ちずに済んだわ。
余りこのまま近付くと騒ぎになると思って徒歩30分辺り手前でアデラから降りた。
「此所からは歩いて行きましょう。リン、セレス。」
私は異空間からリンとセレスを喚んだ。
「結構な速さでしたわ。」
「空なら大したこないけど、地上だと違うわね。」
「アデラ。身体の大きさ変えれる?」
《出来るー。……このくらいー?》
「う~ん。森灰狼くらい。」
《分かったー。》
「そうそう。基本的には、その大きさでお願いね。後、アデラを森灰狼の亜種として、表向きは扱うからね。」
「おう。」
「はいですわ。」
「分かったわ。」
《うん。》
「さあ、王都に入るわよ。」
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