偉い人だった……。
この奥様は誰?
「さあ、遠慮は要らないわ。」
「貴女は……」
「その話は後にしましょう。」
「分かりました。」
メイドさん達の品格の高い手際と作業で、追加4人分をあっさりと用意されて、私達は美味しい昼食を頂き、今、食後のデザートを頂いている。
「カトリーヌ=サーヌ=メトリアヌさん。貴女はどのような立場ですか?」
「私は、元メトリアヌ公爵夫人よ。」
「え!? 公爵夫人?」
「元よ、元。今は息子に全部任せてのんびりしているお婆ちゃんよ。」
「いいえ。お婆ちゃんと呼ぶには若過ぎるかと思います。」
「サラさんもお上手ね。10年前に主人が息子に家督を譲ってからは、社交界からは引退して、たまに、友人達を招待してお茶会をしているだけよ。」
「……そうですか。」
(どうして、「元」とは言え、公爵の地位に居た人が1人歩きしているのよ。最初は王女。今回は公爵。次は侯爵か辺境伯か!?)
「どうしたの?」
「いえ、何でもありません。」
「そう。所で、サラさん達は冒険者なのよね。なら、私の専属にならない? まだ先の話だけど、私の専属が引退するのよ。どうかしら?」
「私達を信じ、買ってくださるのは嬉しいのですが、御断りします。」
「理由を聞いても良いかしら?」
「はい。私達はまだ幼く未熟です。それにもっと世界を見て廻りたいのです。」
(それに、憧れの大召喚師ローレライ様を超える様な召喚士になりたい。)
「……分かったわ。」
「折角のお話ですが。」
「なら、この王都に居を構えない? 『元』公爵夫人とはいえ、それなりに伝手が有るわ。サラさん達はまだ若いから宿屋暮らしじゃなくて。私の紹介状を使えば、良い家を安く買えるわよ。」
「すみません。折角の御厚意ですが御断りします。」
「どうしてなの?」
「実はもう私達の家が有るので。」
「あら、王都生まれかしら?」
「いえ、地方から来ました。」
「なら、何故かしら? 見た所、良くて冒険者ランク『E』じゃないかしら。」
「いえ、私達は『C』ランクです。」
「まあ、その若さで!?」
「はい。様々な幸運が重なり、今のランクになりました。」
「まだ若いとはいえ強いのね。それなら、どうやって住む家を手に入れたの?」
「はい。とある女性2人を助けたら、その女性達の家族の方々が是非にと、協力して住む所を用意してくださったのです。」
「それなら……」
「いえ、もう充分です。」
「そういう訳にはいかないわ。引退したとはいえ、その辺りをきちんとするのは貴族の矜持よ。……そうだわ!
サラさん達の装備品を新調しましょう。サラさんの装備品は今、補修に出しているのでしょう? だったら、新しい装備品の代金を私が持つわ。」
「いえ、補修と言っても念の為という意味合いで、その装備品も新調したばかりなんです。」
「う~。なら、何か要望はないかしら?」
「……あ!? それなら、マジックバッグをお願いします。」
「マジックバッグで良いのね。分かったわ。サラさん達4人分を用意しましょう。」
「お待ち下さい。カトリーヌさんのバッグを取り戻すお礼としてのマジックバッグ4人分は過剰です。1つで充分です。」
「……分かったわ。誰か!」
「はい。奥様。」
「聞いていたわね。マジックバッグの最高級を1つ用意しなさい。」
「畏まりました。」
「カトリーヌさん。何も最高級で無くとも良いのですが。」
「いいえ。これだけは譲れません。我が公爵家の矜持がそれを許しません。」
「……分かりました。」
お礼の内容が決まってからは、マジックバッグが準備出来るまで、私達の冒険の話をしたり、遊戯にふけていると、マジックバッグを用意する様に言われた人が入って来て、カトリーヌさんに耳打ちをする。
「サラさん。ごめんなさいね。どうやら、サラさん達に渡せるマジックバッグが今日中に用意出来ないみたいなのよ。だから、お礼する側としては言い難いのだけど、明日また此所に来て頂けるかしら? 勿論、迎えを寄越すわ。」
「やはり、そこまでして頂く訳には……」
「サラさん。お家は何処かしら?」
「サラ、諦めなさい。いずれはバレるわ。」
「分かったわ、セレス。カトリーヌさん。私達の家の住所は……です。」
「……え!? サラさん達の誰かが貴族なの?」
「いいえ。」
「それなら、不可能よ。あの辺りは必ず貴族が関わらないとどんなにお金が有っても購入出来ないわ。サラさん? 貴女達に家を、いいえ、屋敷を用意したのは誰かしら?」
「……すみません。人払いを。」
「分かったわ。」
カトリーヌさんがそういうと、指示を出す事無く、執事1人残して人払いは完了した。
残ったと言う事はあの人は大丈夫という事かな。
「これで話せるわね。」
「はい。」
「私相手に此所までさせるのだから余程なのね。それで誰なの?」
「私達に住む家、規模は屋敷ですが、用意したのは、この国の国王陛下と宰相です。助けた女性が第3王女エルセリア殿下と宰相の娘のマイヤさんです。」
「……なるほどね。あの子達を助けた冒険者とはサラさん達だったのね。」
「はい。後、一応、私達が助けた事は秘密でお願いします。」
「分かったわ。まあ、私相手とはいえ、一応という意味では人払いは必要だったわね。それなら、私もお礼を言わないとね。私の可愛い姪とその侍女を助けて頂いて感謝するわ。ありがとう。」
「いえ、たまたまですから。」
「それでもよ。」
「分かりました。それで、『姪』と言うのは?」
「ああ。私は今の国王の実の姉なのよ。」
「え!?」
「本来なら他国に嫁ぐ筈だったけど、主人が好きだったから、反対派と『お話』をしたら、主人との結婚の了承を貰えたのよ。それでね……」
「奥様。そろそろ次の予定の時間です。」
「あら、もうそんな時間? サラさん達を玄関に案内しなさい。」
「畏まりました。」
私達は執事さんの後を付いて歩いていると、
「奥様の旦那様との馴れ初めは長い上に止まらないのです。」
どうやら、仕える人の話を遮ったのは私達の為だった様ね。それなら、助かったわ。
その後、馬車で送られ、翌日の朝食が終わった時に、カトリーヌさんからの迎えの馬車が来た。
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