お家騒動。
断罪かな?
私は盗賊(仮)の首級を並べる。
「これらは、私達を襲った『盗賊』です。」
「……ワルガ、何故、ワルガが首となって此処に並んでいるのよ!」
「言った筈です。私達を襲った『盗賊』だと。」
「嘘です。ワルガがその様な事をする訳が無いわ。」
「では逆にお伺いしますが、私達とこの首との接点は? 私達の足跡はきちんと調べれば辿る事が出来ます。
その上で、私達は初めてこの都市に来ました。いえ、その周辺すら初めてです。それでどうやって、この首の男と接点が出来るというのですか?
貴女の息子だという首の男は、6日以上音信不通だったのですか?
それではこの場に来た、本来の目的を果たしたいと思います。私達を襲ったこの『盗賊』の1人。
貴女がワルガと呼んだ、この首の男は、『マルータ=ジビエ=プレジール』の命令で私達を襲ったと言いました。それについての説明をお願いします。」
「嘘です。この女の言った事は全て出鱈目です!」
「なら、このワルガと呼ばれた首の男と他の首の男との関係は?
そして、仮にも伯爵家に連なる者が『盗賊』をしていた理由は?」
「そうだね。姉上。私には彼女の説明は理論的に聞こえた。ならば、姉上も否定の言葉だけではなく、理論的な反論をして欲しい。誇りある伯爵家の者としてね。」
「う、あ、そ、その……」
「オルエラン様。この様に問うているのに答えられないのは、裏で何か有る証左です。」
「そうだね。……姉上、私は非常に残念です。ラボル!」
「はい。オルエラン様。」
「後は任せる。ひと通り、調べておいてくれ。」
「畏まりました。」
「さて、サラさんと……」
「アークだ。」
「リンですわ。」
「サラさんとアーク君とリンさんは、私に付いて来て欲しい。」
私達はオルエランに付いて行き、途中ですれ違ったメイドにお茶と軽食を指示して、また先程の応接室に戻った。
私達とオルエランは、応接室でメイドが持って来たお茶と軽食を置き終わった後、メイドには退出して貰い、お茶と軽食を頂きながら、オルエランは手紙の内容を話し始めた。
「実は、手紙の内容が正に、姉上が裏で違法の薬物を取り扱っていたという事が書かれていてね、王族や宰相の連名で此方の方でも調べて欲しいと書かれていました。」
「なるほどね。その手紙の内容が何処かで漏れて、こっちに連絡が入り、私達を亡き者にしようとしたのね。」
「そうだと思うよ。」
「それでは、オルエラン様には手紙の返事を書いて頂き、私達は王都に帰りたいと思います。と言いたい所なのですが、駄目なのですよね。」
「悪いけどそうだね。此処まで来た以上は取り調べて、ある一定以上の事を記した書類を書かないといけないからね。」
「それでは、オルエラン様。書類が出来上がるまでは、この都市に居ますので、何処か宿を紹介して頂けますか?」
「そうだね。とりあえず、今日はこの領主館に泊まって頂いて、明日までに宿を用意しておくよ。勿論、代金は当家が持つ。」
「分かりました。それでは宜しくお願いします。」
「誰か。」
「はい。オルエラン様。」
「この方達は今日、お客様として歓迎するから、部屋に案内するように。」
「部屋は同じで結構です。」
「畏まりました。どうぞ。此方です。」
私達は歓待用の豪華な4人部屋に通された。
「それでは、この部屋で御寛ぎください。何かご用件がございましたら、この2階の廊下の隅に待機している者が居ますので、その者にお伝えください。」
「分かったわ。」
「それでは失礼します。」
「……アーク。行った?」
「ああ。行ったみたいだぞ。」
「私のスキルにも反応無し。……ああ、しんどかったー!」
「サラ様、お疲れ様ですわ。」
「全くよ。幾ら王族からの手紙だからといって届けるだけで、何故、こんなにしんどいのよ!」
「まあまあ。」
「向こうに帰って宰相に返事の手紙を渡す時に、絶対に追加報酬を出させてみせるわ!」
「まあ、頑張れ。」
愚痴も終わり、静かにのんびりしていると、昼食の時間が来たようで私達を呼びに来た。
「サラ様。アーク様。リン様。昼食の準備が整いましたので、お越しください。」
「分かったわ。」
「分かった。」
「分かりましたわ。」
私達はメイドさんの案内で食堂に着いた。
既にオルエランは席に着いていた。
「お待たせして申し訳ありません。」
「いや、いいんだよ。むしろ、待たせる訳にはいかないから、私が先に来ていただけだからね。」
「ご配慮ありがとうございます。」
「さて、固い挨拶は無しだ。昼食を頂こう。」
私達もオルエランも昼食を食べ終わった時に、オルエランが私達に提案してきた。
「もし、良ければ、この後に散策に出掛けては如何ですか?」
「……散策ですか?」
「我が都市もそれなりの発展をしている。どうだろうか?」
「分かりました。この後、散策したいと思います。」
(渡りに船だわ。息苦しい貴族の屋敷に居なくてすむわ。)
こうして、私達は都市プレジールの散策に乗り出した。
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