家庭訪問。
親が子の新居に顔を出すのは普通ですよね。
入った後の言動は別問題だけど。
私達とクリス達は屋敷に向かって歩いているのだけど、たまに通り過ぎた人達が、ヒソヒソと何かを話している。
特にどちらかというと、若い人よりも年配の人の方が反応が大きいのよね。
到着したら聞いてみよ。
暫く歩いていると、声を掛けられた。
「おや、珍しいですね。貴方達が揃って歩いているなんて。」
「なに。む……ムグー!」
「どうされました?」
「気にしなくて大丈夫ですよ。ちと、知り合いの娘に夕食に招待されまして、気分転換がてら歩いて行く途中なんですよ。」
「そうですか。では、失礼します。」
「無意味な形で、サラを目立たすな!」
「すまん。」
「クリス達と知り合いだと、何か良くないの?」
「ワタシ達は王都に店を持つ以外の理由でちょっとだけ有名人だからな。」
「そうなの?」
「ああ。だから、屋敷に到着したら話すよ。」
「分かったわ。」
途中、何回か声を掛けられたが、無難な回答して誤魔化し、私達の屋敷に到着した。
「お帰りなさいませ。サラ様。アーク様。」
「ただいま。此方の3名は私達の知り合いよ。夕食に招待したので、その予定でお願いするわ。」
「承知しました。」
私達はリビングに移動しようと思っていたら、最年少メイドのラールが声を掛けてきた。
「もしかして、英雄にして、Sランク冒険者のクリス様にファネス様、そして、レナード様ですか?」
「……そうだが。」
「嘘! 信じられない。サラ様、アーク様。どのようなご関係なのですか? わたしが幼少の頃によく父が話していたのですが。まさか、憧れの英雄に会えるなんて!」
「これ! ラール!」
「……ナシオナルさん!?」
「申し訳ございません。仕えるべき主と、その主が招待したお客様に対しての分を弁えぬ無作法。大変申し訳ございません!」
「申し訳ございません。」
「確か、サラの話では王家主体で厳しい審査が行われて選ばれたと聞いたのだがな。」
「返す言葉もございません。直ぐに替えのメイドを用意する為に使いを出し、この者は解雇致します!」
「ちょっと待って!」
「サラ様……。」
「誰にだって間違いや失敗は有るものよ。それに、メイドの責任は主の責任でもあるわ。だから、クリス、ファネス、レナード、家のメイドが粗相して申し訳ありません。」
「まあ、主たるサラが謝罪した以上はワタシ達もそのメイドの粗相を許すわ。」
「ありがとう。」
「サラ様、ありがとうございます。わたしが責任を持って再教育致します。」
「ナシオナルさん。程々にね。それよりも、私達はリビングでこの人達と話があるから、何か飲み物をお願い。」
「畏まりました。」
リビングに到着した私達は、飲み物と軽く摘まめる物を用意して貰い人払いをした。
「すっかり、この屋敷の女主人ね、サラ。」
「クリス、そんな事は無いわ。数ヵ月前まで私は只の里の中の娘の1人だったのよ。」
「充分に女主人だよ。」
「……ファネス。もう、それはもういいわよ。それよりも昔は、3人は『英雄』で『冒険者』の『Sランク』なのでしょう。その辺りを教えて欲しいわ。」
「分かった。分かったから、そう身を乗り出すでないわ。」
「分かったわ、レナード。それで。」
「儂等3人とサラの父レオンハールの4人が冒険者として、パーティーを組んでいたのじゃ。」
「あれ、お母さんは?」
「レオンハールとレイチェルとは5歳離れていたから、この時はまだレイチェルは里の中じゃ。」
「なるほど。」
「儂が『魔斧戦士』で、クリスが『魔槍騎士』で、ファネスが『魔導師』で、レオンハールが当然『召喚士』じゃ。」
「ふむふむ。」
「戦術としては、先ずはクリスが突撃して時間を稼ぎながら、儂が攻撃を重ね、ファネスが止めを刺す。」
「お父さんは?」
「その間は、レオンハールは後方の守りや、相手に由ってはクリスの位置をレオンハールの従魔が担当するという形じゃ。勿論、後顧の憂いが無ければ、レオンハールの従魔も戦いに参加している。」
「気も合う、息も合うで、気が付けば、『Aランク冒険者』の仲間入りになっていてね。ちょうど5年後にレイチェルがワタシ達のパーティーに加わったのよ。」
「クリス。1つのパーティーに召喚士2人ってバランスが悪くない?」
「そうなんだけど、レオンハールがね、パーティーに加えたい人がいるから、もし、5年以内にAランクに為ったら、パーティーに加えて欲しいといわれてね。」
「儂が、『5年以内にAランクに為ったら、パーティーに加えても良い。』と、約束したら本当に5年以内にAランクに為ったから約束通りにしたのじゃ。」
「レナード、気を付けてね。レナードはギャンブルで身を滅ぼすタイプよ。」
「サラ、良く気付いたわ。その通りだよ。」
「ファネス、黙っておれ。」
「話が脱線しているわよ。」
「クリス、続けて。」
「どうやら、レオンハールとレイチェルは幼馴染みで、約束していたみたいなのよ。」
「どんな?」
「レオンハールが里を出る時に、『レイチェル。5年後に必ず迎えに来るから待ってて。』だって。」
「文章だけなら、プロポーズの言葉よね。」
「レオンハールはそのつもりだったみたいよ。意外とね、レオンハールの腹は黒いのよ。上手い事乗せられて、信頼関係を築いた上でワタシ達のパーティーは、レイチェルと護衛みたいな感じになったわ。」
「まあ、レイチェルが本当に可愛かったから、わざとレオンハールとレイチェルの恋路を邪魔してやったよ。」
「……ファネス。」
「端で見たら、儂等3人がレイチェルの兄姉で、レイチェルがその可愛い妹。その妹を儂等から奪おうとしているレオンハールという構図だったのじゃ。」
「レイチェルの従魔が回復系に優れたお陰で儂等はより活躍した結果、遂に冒険者の最高峰の『Sランク』に為ったのじゃ。」
「そっか。やっぱり、お父さんもお母さんも凄かったのね。」
「そうして、数年過ぎたある日に、この王都に未曾有の危機が訪れたのよ。」
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