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過剰供給。

武器屋までは入りきらんかった。

「はい。持って来たわよ。」

「ありがとう、クリス。」

「正直、今サラが身に付けている以上の服が無いわ。だけど、勝てないだけで、負けたというつもりは無いわ。」


 そう言って持って来た2着の服はどちらも普通の服ではなかった。

 2着の服は、両方とも「防刃」と「魔防」の効果を持っていて実用本位で有りながら、女性的な美しさも持っていた。

 総合的には今着ている防具兼用よりかは劣るけど、もし万が一が有った時の控えとして充分だと思えた。


「コレかなり高いけど、本当に良いの?」

「良いのよ。これくらいさせて頂戴。」

「分かったわ。」

「後、部屋着はコレよ!」

「わあ! 凄い可愛いし、肌触り最高ね。コレも本当に、本当に良いの?」

「勿論よ。言ったでしょう。お祝いも兼ねているって。」

「ありがとう、クリス。」

「良いのよ。次は防具ね。ワタシも一緒に行くわ。少しの間、店をお願いね。」

「分かりました。クリス店長。」

「さあ、行きましょう。」


 私は慌てて服3着を「倉庫」に仕舞い、私達はクリスの後を付いて行った。


「ファネスは居る? クリスよ!」

「そんなに大声出さなくても聞こえるわよ。

 今日はどうしたのよ?」

「お客様であり、ワタシ達にとって大切な『娘』よ。」

「お客様は分かるとして、そこに居る2人組の1人の事だと思うが『娘』とはどういう意味だ?」

「この()は、ワタシ達のレイチェルの『娘』だからよ。」

「レイチェルだって!?」

「ええ。そうよ。あの時の赤ん坊が成長して、見事、召喚士に為って、ワタシ達の前に来た、いえ、戻って来たのよ。」

「そうか。あの時の赤ん坊が……」

「そうよ。」

「なら、隣りに居る少年は誰だ?」

「レイチェルの娘サラディアナ=レイアースのパートナーよ。」

「初めまして。アークだ。」

「その少年は信用出来るのか?」

「大丈夫よ。なんたって、この少年は……」

「待ってクリス。きちんと自己紹介するわ。」

「分かったわ。」

「初めまして。レイチェルとレオンハールの娘で、名は『サラディアナ=レイアース』よ。サラって呼んでください。冒険者であり、新米の召喚士で、この隣りに居るのが従魔の『アーク』よ。」

「え!? 従魔なの?」

「ええ。」

「従魔とは思えない程、自然体ね。っと、わたしも自己紹介するわ。この防具屋の店主で、そこに居るクリスとレイチェルとパーティーを組んでいた、ハーフエルフのファネスよ。」

「お互いの自己紹介が終わった所で、サラの防具よ。」

「任せて。先ずはサラの現在の防具を見せてくれるかしら?」

「はい。」

「う~ん。召喚士の里から王都までの何処かで手に入れたと思うけど、えらく高品質ね。」

「そうなのよ。ワタシも悔しくって。」

「サラの年齢から召喚士や冒険者に成り立てだからギルドからの紹介だと思うけど。」

「ええ。冒険者ギルドからの紹介よ。」

「そうなると、わたし達の店はどちらかと云えば、初心者や新米から一人前くらいの品揃えだからね。これ程の品質の防具は『今』は置いて無い。クリスは何を出したんだい?」

「ワタシも今の服を越える物は『今』は出せないから、召喚士に為ったお祝いを兼ねて『現在』の最高級品を贈ったわ。」

「今、手元に無い様だけど、クリスの店に置いてきたのか?」

「いえ、私は『異空間収納(イベントリ)』が有るから。」

「そうなのか。まだ入るのか?」

「大丈夫よ。」

「なら、わたしも『今』出せる最高級品を贈るわ。」

「良いの?」

「良いのよ。クリスも言ったでしょう。お祝いよ。」

「ありがとう。ファネス。」


 ファネスが私の身体をひと通り確認した後、ぶつぶつ言いながら奥に行った。


 暫く経つと帰って来た。


「サラの今の服や防具をみると、戦闘中は従魔だけに任せず、サラ自身も動くのよね。」

「ええ。そうよ。」

「ならば、予備扱いになるけど、コレを贈るわ。」


 胸当てと手甲と足甲が私の前に置かれた。

 どれも軽いがしっかりとした作りに成っていて、実用本位で使い易いと思う。


「クリスの時もそうだけど、本当に良いの?」

「構わないわ。レイチェルの娘ならわたし達にとっても娘よ。だから、娘に贈るお祝いにケチを付ける気は無いわ。」

「ありがとう。ファネス。」

「サラ。レイチェルやオマケでレオンハールは元気か?」

「ファネス!」

「……お父さんとお母さんは流行り病で……」

「サラ、ごめん。」

「良いんです。」

「さて、服、防具が済んだわ。次は『武器』ね! 暫く店を空けるよ。」

「分かりました。ファネス店長。」

「さあ、移動しようか。」


 私はまた慌てて防具を「倉庫」に仕舞い、クリスの店を通り過ぎて武器屋に入る。


「いらっしゃい。って、どうしたんだ、2人共?」

「お客様であり、ワタシ達にとって大切な『娘』を連れて来たわよ。」

「お客様は分かるが『娘』とはどういう意味だ?」

「初めまして。レイチェルとレオンハールの娘、サラディアナ=レイアースよ。サラと呼んで。」

「レイチェルの!? そうか。あの小さな赤ん坊が、もうこんなに成長していたのか。レイチェルやレオンハールは元気か?」

「お父さんとお母さんは流行り病で……」

「分かった。最後まで言わなくて良い。そうか。只でさえ、先に逝くのにこんなに早く逝くとわな。」

「レナード……」

「さあ、湿ったいのは終わりだ。サラが居るという事は、召喚士に為れて、里を出たのだろう。そして、2人共居るという事は、サラが冒険者に為ってギルドの紹介だろ?」

「そうよ。だからワタシ達は『今』出せる最高級品を贈ったわよ。」

「分かった。儂も『今』出せる最高級品を贈ろう。サラ、今使っている武器を見せてくれ。」

「はい。」

「ふむ。サラの身に付けている服や防具を見ると、召喚士として戦うというよりかは、冒険者として状況に応じて戦う形だな?」

「ええ。そうよ。」

「少し待っていろ。」


 また暫く待っていると、奥からレナードが刀を1本持って来た。


「サラは戦士として戦う必要が無いから刀を選んだろう?」

「そうよ。」

「なら、ちょうど良かった。コレが儂からのお祝いだ。」


 レナードが出した刀は……


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