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[完結]さらば泡沫で愛しき君よ  作者: 直流安定化電源
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1話:真鍋 冬馬の独白

この話、最初の方はあまり話が動かず退屈に感じてしまうかもしれません!ただ後半になるにつれどんどん面白くなっていってると思うのと文字数もあまり多い作品ではないので4話5話あたりまで読んでやってください!

 2月の始まり。11月ごろ下がり出した気温はとどまることを知らず、今日も今日とて寒さは僕らを包み込む。


 抗うようにマフラーに顔を埋めてやっとの思いで学校へと着く。教室に入れば、人の熱からか外よりは幾分マシな気温で僕を向かい入れる。


「よっす。冬馬」


「おはよう。秋人」


 教室に入る僕に軽い挨拶をするのは、僕の数少ない友人の高坂(こうさか) 秋人(あきと)だ。


 入り口で挨拶をしていると僕の後ろから誰かが入ってくる。振り返ってその顔を確認すると僕の心臓は少し高鳴る。


「あ、ごめんね。入り口で止まって」


「大丈夫。おはよう真鍋君。高坂君も」


「よっす、委員長」


「おはよう花宮さん」


 そう平然を装いにこやかに挨拶を返した相手は委員長という愛称で親しまれている、このクラスの委員長の花宮(はなみや) 春菜(はるな)さんだ。いかにも真面目と言う印象を与えるメガネの顔はとても整っている。性格も非常に穏やかで成績優秀な優等生だ。


 実を言うと、僕は彼女に片思いをしている。クラス替えの時、隣の席になった事でよく喋るようになったことがきっかけだ。席替えをして、席が離れてからも友人という距離感で彼女とよくいるうちに真面目で優しい彼女に惹かれたのだ。


「はぁ……お前、まだ言わねーの?もう年度も変わっちまうぞ。そうなりゃ受験だなんだってなって恋愛なんてしてる暇なくなっちまうぞ?」


「それはそうだけどさ……」


 僕がモジモジとした態度でそう返すと秋人はやれやれと言わんばかりの表情で返してきた。


「お前、顔も性格も悪くないんだからもっと自信持てよ」


 そう言われても全くピンと来ない。僕自身、自分の事は少し暗くて地味な人間としか思っていないからなかなかその一歩を踏み出すことができずにいる。


 そんなこんなで予鈴が鳴る。今日もいつもと変わらない学校が始まる。


 SHR中、僕の左斜め前の席に座る花宮さんの横顔が後ろから少し見えた。その横顔はどこか、浮かない顔をしているようにも見えた。


「花宮さん、なんかテンション低いね。何か悩み事でもあるの?」


 先程の表情が気になって思わず声をかけてしまった。変なこと聞いてしまったと後悔してももう遅いため、気持ちを切り替え彼女の言葉に耳を傾ける。


「え、急にどうしたの?そんなことないと思うけど……そんな顔してたかな?」


「いや、ごめんね変なこと言って。僕の気のせいみたい」


「そっか、それならいいの」


 彼女はいつも通りの柔らかい笑みを浮かべ席を立つ。


「春菜〜行こー」


 彼女を呼ぶのはクラスメイトの清水(しみず) 夏美(なつみ)さんだ。僕は彼女と深い交流はないが友人の友人的な立ち位置として捉えている。花宮さんは清水さんとよくいる事が多く彼女の1番の友達なのだろう。


 1時間目は科学で今日は実験なので移動教室だ。僕も準備をして教室を後にする。


 やっぱり、この気持ちを彼女に伝える勇気は出てこない。それでも、やっぱり言わずに終わるのも嫌だ。この矛盾をどう解消しよう……そんなことを考えながらも1日は始まる。

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