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DQNがハッタリで異世界で魔道具回収で成り上がる!  作者: ムラサメ
第一章 現実世界に流れる魔道具
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9話 紅の秘密


 私は助かった。

 ハルと理事長のおかげで、汚れなくてすんだのだ。

 手がいてぇーーと叫ぶハルにふと目をやり、私は苦笑した。

そして理事長のほうへ向く。


「あの、理事長?ユルさん?助けて下さってありがとうございました。」

「あら、礼ならば陽哉に言えばいいですわ。私は貴方のためだけにここの壁を無理やりよじ登ったりしませんもの」


 そうだそうだとヤジをとばすハルを見てこの時ばかりは、何も言えなかった。

 頬を伝っていた涙を拭うと私はハルの方を向いた。


「今回の件は、助かった。ありがとうハル。でもこうなったのも貴方の授業態度のせいだからね」

「ふん別に俺は弁当の仮を返しただけだ。それよりもこの黒いミサンガ使えるぞ!俺様は最強になったのだ!」


 大笑いするハルの腕からミサンガをすっと理事長ユルさん以下ユルさんとする。が奪った。


「お、おいそれは俺のもんだ返せよ!!」

「私に従う約束忘れていませんよね?」


 ユルさんは上目遣いにハルの顔をつつくどうやらハルの扱い?に慣れているらしい。


「しゃ、しゃーねーなぁ。俺は約束を守る男だからなぁ~」


 ハルは少し顔を赤らめながらユルさんに従った。


「ちょ、チョロすぎますわ…逆に心配になってきました。この男は何を考えてるのか私でもさっぱりですわ…」


 その光景を見て私は少し落ち着きを取り戻したようだ。


「ふん!デレデレして情けないハル!」

「で、デレデレなんてするか!!こんなクソガキに!」


 緊迫した状況も束の間、ハルのアホかげんに私もいつもの調子を取り戻したが…


「う、うがぁあ」


 突然気を取り戻した青山先生がスタンガンを手に持ちハルにあてつけた。

 ハルは気を失い床に崩れ落ちた。

 すかさず青山はハルの体を引き吊り窓から落とした。

 とっさの行動に私もユルさんも反応することが遅れてしまったのだ。


「は、ハル!!」


 私の顔が青ざめていくのが分かるここは四階助かるはずがない。


「だめぇぇぇぇ!!」


 その瞬間微量に私の手が不思議な光を灯したが、気づいたのはユルさんだけだった。


「グフフフ確実に奴は死んだ!邪魔者はもういないぞ…う、うわぁぁぁぁぁぁ!」


 青山先生の体がピキピキと音を立てながら固まっていく音が聞こえる。

 それと同時にユルさんの髪の色が白から鮮やかな瑠璃色に変化していく。

 私はその光景を横目に窓に駆け寄り下の様子をうかがったが、驚いたことにハルの姿が見当たらなかった。


「ど、どうして?」


 私がユルさんの方に振り返ると見事な氷の彫刻(人)だが、完成されていた。


「やってしまいましたわ。まあ、青山先生も生きてるでしょうし、陽哉も生きているでしょう。」


 ユルさんは掲げた腕を下ろすと、同時に私に近づく。


「理事長?ユルさん?」


「ユルでいいですわ。貴方が聞きたいことは分かります。陽哉がどこに行ったのかと私が本当は理事長ではないということでしょう」


 私はコクリとうなづく

 ユルさんは続けた。


「彼は私たちの世界に転移されたのでしょう貴方の力によって、まあ後々そのつもりでしたけれども早まっただけですわ。」


 驚きの発言だったが何となく私は状況を要領よく理解することにした。

 そうしなければ、頭がおかしくなってしまう。


「ユルさんが使ったのは魔法か何かなんですか?」


 ユルさんは得意そうに私に近づく。


「そんなものですわね。さてと私はこの件の事後処理と青山先生の待遇について然るべき行動をとらなければいけませんわ。とにかく。陽哉は生きている。それだけは安心していいですわ。」

 

 彼が退学にならないように手を打たないとと呟くユルさんを見つめたが、これ以上の質問は無粋だと思いこれ以上聞くことはやめた。


「なぜここまで私たちにしてくれるんですか」


 無粋だと思いつつ私はユルさんに向けて呟いた。

 私はまだ本気でユルさんを信じているわけではなかったが、助けてくれたことを感謝している。わざわざここまでするのだろうか。


「私はこの学園の理事長ですわ。生徒を助けるのは当たり前です。それに、()()があるお二人を贔屓するのも当たり前なことなのです。特にあなた芹沢さん。貴方はこの世界でも優秀な魔術をお持ちのようですし、その髪色紅の髪を見ればわかります。」

「あの、なんのことだか…」


 ユルさんはそれを言うと教室から出ようとする。


「ユルさん!私は貴方を信じていいんですよね…」


 ユルさんは見た目相応な笑顔を浮かべ語る。


「そんなこと本人に聞くものではないですわよ。でも大丈夫。陽哉は生きてますし。私の目的を彼なら達成してくれるでしょう。」


 ミサンガをユルさんは見つめながら、そういった。


「こんなものがこの世界に流れてくることが異常事態なんですわ。私は元の場所へ。彼はその流している犯人突き止めること、そして私たちの世界を変えてくれる。と私は信じていますわ」


 少しばかりアホですけど、と呟き教室から出て行った。

 私は数分氷の彫刻を眺めゾッとし、その場を後にした。

 ユルさんにもっと詳しく聞かなければならない。



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 私ユルは思う。


「彼女芹沢さんの紅の力もこの世界では重要なはず、ですが彼女にも協力してもらうようですわね」

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