8話 魔法干渉力の差
私はは青山先生の言う通り放課後職員室にやってきたが。
「芹沢さんここではなんですからと、第二校舎の3階空き教室に連れてこられた。
なんで私がと思いつつも、ハルの事を考えたらまあしょうがないかなと思いながらついていったのだ。
この学園には様々な部活や同好会があり、その拠点は第二校舎なのだ。
しかしこの学園の素晴らしいクオリティ。教室は腐るほど余っている。
因みに私たちがいる(先生含めて)がいる空き教室には普通の教室の二分の一しかなく多分普段から使われていないのだろう。誇りまみれた嫌な場所だ。周りを見渡しても机が二三個、暖房器具が二つほど置いてあった。
窓も一つしかなく四月とはいえ蒸し暑い。
青山先生は私を見つめてニヤリと笑みを浮かべた。
「僕はねとても寒がりなんだよ…」
といい暖房器具を付ける、いくらなんでも少し様子がおかしいと感じた私はじりじりと先生のそばを離れた。が離れることができない。
「芹沢さんイスを持ってきてくれないか」
私はしぶしぶイスを一個持ってくると、何をやらされるのか不安を感じながらも準備をした。
その時だった
私はまるでイスに吸い込まれるように強制的に座らせてられてしまったのだ。
何が起こったのか私にはよくわからないパニック状態だ。
「せ、先生これに何の意味が…」
「まあまあもう少し待ちなさい」
私は言われた通りに待っている、10分ほどたっただろうか、ついに暑くて私は上着を脱ぎ始めた。
「あ、あの、暑くて意識が朦朧とするんですが!そ、それに立てません!」
私と椅子は磁石のようになってしまったように動くことができない。
もしかして私やばいのかもしれない、焦りと緊張で汗が止まらない。
先生は暑くないのだろうか…その時先生の手に黒いミサンガがキラリと光るのが見えた。
「芹沢月羽ちゃん、動けないだろうね?そう、今まさに君は僕のテリトリーに入ったからなんだよ」
と言いながら先生は私の後ろに回り込む。
「後ろ向いたら、有坂は退学だからねぇ」
「ちょっとなんでですか!!」
「こっちをむくなぁ!!!!!」
先生は私を怒鳴り散らした、動けないし先生は全然汗一つかいていない。
私は恐怖で身動きが取れなかった、(現に取れないが)
その時、パシャリと音がした。
いくら何でも私でもわかる、写真を撮られているのだ。
「ちょ、っとほんとにやめてください」
「いいからいいから。有坂を退学にしますよ」
「…っ」
「なんであんなクズを庇うんですかねぇ?」
現に私は庇うことよりも何とかしなければという考えしかもう浮かんでいなかった。
先生がにたぁっと笑ったような気がする。
「ワイシャツから君の下着が透けているねぇ可愛いのつけてるじゃないか」
「ご、ごめんなさい。本当にやめてください。何でもしますから。というかほかの人に言いますよ!」
私は必死に先生に頼むが、それは通らない」
先生はまたニヤニヤ笑う。
「だから言ったろう、ここの部屋はもう僕のテリトリーだってそれにいいんだよ、この写真をばらまいたって、というか君ねぇ僕の権利で彼を簡単に退学にすることはできるはずはないだろう。少し考えればわかることだと思うけどなぁ」
確かにそんなことも私は考えたが、もしもがあっては遅いそれに高良君まで巻き込みそうになった(現にハルが悪いが)
私は精一杯後ろを向き先生を睨みつけるが、何も効果はなしだ。
「何が目的なの?」
「おっとと、とうとう敬語が消えてしまったよ。これは仲が深まったと思っていいのかな?」
先生は愉快そうに笑う、私はすごく不愉快だが。
「目的なんて、決まっているだろう。君の事が最初から目当てだったんだよぉ!!!」
先生はポケットから数十枚の写真をばらまいた。
それには沢山の私の写真が写っていた、下校時や登校中、部活そして私服の姿まで。
そして数か所ハサミで切ったのだろうか?数か所穴が開いているものがある。
「これは僕の愛情さ。そこに切り取られている物があるだろう?そこには全部有坂のクズが写っていたんだよ!!」
また青山の腕が黒く染まると私の肩を固定して顔を近づける。
「ちょっと…本当にやめてください、本当にお願いしますから・
私はとうとう涙を流した。勝気な性格とまでは言わないが、普段から弱い一面を見せない私はそれほどまでのショックを受けているのだろう。
「というか頼んだはずの生徒たちから写真がきませんねぇ」
あ、あの時の写真を撮っていた人たちはこの先生とグルだったのかと、少しばかりもうどうでもいいことを考える。
「さて君は僕のものだ」
い、いやだだれか…
「誰か!!たすけて…」
その時ガシャンとガラスを割る音が聞こえた。
「呼んだ?それともお邪魔でしたか?ツキ」
窓からハルが突っ込んできたのだ、この時ばかりはハルがとても頼もしく見えた。
「ハル!!邪魔、じゃないわ!ってかどこからよじ登ってきたの!?とにかく助けて!!お願い」
「アイアイサー!から揚げの分な!
言葉は適当だが私の姿を見てハルの顔つきが変わってるのが分かる。
先生は驚きハルに怒鳴り散らした。
「お前!!!どこから!!とにかくくらえ!!!」
先生の腕が光るが何も起きない。
陽哉が磁石を取り出した。
「はいはい。SとNね簡単なことさ」
「お前はそのミサンガの力でイスをN、ツキをしたんだろ?」
さらにもう一人窓から軽やかに登場したのは理事長。
「私もいますわよ。もう、魔道具を雑な扱いしないで頂戴な」
先生は二人をみて焦る、な、なぜ効かないお前たちを磁石に変えたはずだ!動けないはず!
「簡単ですわ。貴方にその魔道具が使いこなせてないのですわ」
理事長は続けて言う。
「さらに干渉先を広げれば、もっと効果が薄くなりますし、現に芹沢さんも動けているはずですわ」
私は理事長の言う通りいつの間にか立っていた。
「魔力の差そして、使い方ですわ」
理事長とハルはニヤリと笑う。
「さて今日をもって貴方はクビ、ジエンドですわ」
理事長は可愛らしく笑った。
私は驚きを隠せず、ハルに迫った。
先生は膝から崩れ落ちている。
「なんでハルはその、魔法?が聞かなかったの?」
ハルはニヤリと笑う。
自慢げに語りだした。
「簡単さ、俺がS極とN極の強力な磁石を持っていただけだよ。床をSにされたなら俺は下に向けてSを放つそれだけのことさ」
「でも磁石だけでそんなこと…」
理事長が妖艶に笑う。
「それが魔法というものですわ」
と言いながら、先生の腕からミサンガを取り上げ、ハルがけり上げた。
「なぁユルこれ使っていい?」
と勝手にユルから取り上げ…こ、こら!と怒られながら。
磁力+パンチと叫びながらハルは先生を吹き飛ばした。
「腕がいてぇええぇえええ」
先生は何もできず気絶した。
理事長はそれを見て本当に馬鹿ですわと呟いた。
「そりゃあパンチ+魔道具でスピード上げてますもの威力倍増するでしょう」
とにもかくにも私は助かったようだった。