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DQNがハッタリで異世界で魔道具回収で成り上がる!  作者: ムラサメ
第一章 現実世界に流れる魔道具
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6話 退学騒動

 前も言った通りだが、この扉ケ丘学園は優秀だ。

 授業態度はもちろんのこと、普段の生活態度や学力はこの近辺では随一の学校だ。

 入学式から一週間、新入生たちがお互いのポジションを牽制しながら生活するのも時間の問題。

 自分の立ち位置などが固まってきたころだろう。

 今現在授業中、皆が真剣に黒板とノートを必死に往復するなか、ハルは机に突っ伏して寝ていた。


「…ちょっとハル。起きなさいよ。折角学校に来たんだから、寝てんじゃないわよ」


 ハルの隣に座る私は、彼を起こそうとするが、全くと言っていいほど起きる気配はない。

 

(寝顔だけはまだまだ子供なのね…)


 っとそんなこと考えている場合ではない。

 ちゃんとコイツを起こしてあげなければ、進級できなくなってしまう。

 因みに、私がハルの隣の席なのは彼のお世話係だからである。

 なんとも不名誉な称号を貰ってしまったが致し方がない。

 進級してから、余りにもハルがだらしなく学校には来ないわ、他校も生徒と暴力事件は起こすわということで、クラスに悪い影響を与えてしまう。

 ということでお世話係をつけようとなったのだ。

 そこで私が幼馴染として、学級委員長として(学級委員はなぜか関君他もろもろの方々にすごく推薦された)任命されてしまったのだ。


 「ほら!起きなさいって。先生に見つかるわよ」


 私の呼びかけも空しくとうとう起きることはなかった。




------------------------------------------------------------------------------------




「貴方、このままだと退学ですわよ」


 昼休み、呼び出された俺たちは、理事長室に来ていた。

 ユルは淡々とした口調で俺に言った。


「分かったわーじゃあ辞めるわ。お疲れしたー」

「お疲れしたーじゃないわよ!!!」


 ツキが俺のことを殴る。

 なんでこいつこんなにも暴力的なんだ?誰の教育なんだよ。

 いつか犯してやろーか!ロリには興味ないが。


「貴方は、相変わらずですわね。別にやめてもらっても構いませんのよ」

「じゃー辞めるわ」

「話が進まない……」


 ツキは頭を抱えている。


「理事長、なぜこいつが退学なんですか」

「有坂陽哉。彼の生活態度を含めもろもろですわよ、学校側の意見ですわ」


 俺は一つ疑問に思った。


「なあ、ユル。なんでこいつまで呼んだんだ」

「だって、彼女は貴方のお世話係なのでしょう?」

「不名誉ながらそうですね」

「名誉なことだろう?」


 全然なんですけどーとツキは俺を睨みつけた。

 ユルはその光景をみてほほ笑んだ。

 そして俺に提案をした。


「そういえば、有坂陽哉。貴方、私の言うことは何でも聞くんですわよね」

「……そういえばそうだったな」


 俺は忌々しいミサンガを見た。

 風呂入った後、水を含んでこれ気持ち悪いんだよな。

 ツキは俺のミサンガを見て言う。


「そういえば、アンタそんなもの付けてなかったわよね」

「いろいろ事情があるんだよ」

「ふーん」


 ツキはそこまで興味がないようだ。

 それよりも、ユルのほうをみてツキは言った。


「理事長っていつから理事長なんですか?」

「……前からですわよ」


 ユルはにやりと妖艶な笑みを浮かべた。

 おおう、ロリに似合わず可愛いじゃねーか。

 下半身がフルバーストしそうだぜ。


「そこの童貞馬鹿ハル。ニヤニヤするな」

「だれが童貞じゃい!このクソガキ処女が」

「あらあら、野蛮ですわね」

「ケッどちらがだよ」


 ユルは俺に顔を向ける。

 そして条件を言い渡した。


「退学にならないように私が、仕向けることはできますわ。ただし私の言うことを聞くこと」

「別に退学でいいっての」

「そのミサンガ。ボンですわよ」


 ユルはにやりと笑った。

 ボンってなんだよ、こえーわ。


「とりあえず今日はこの辺で、また後日お呼びしますわ」


 俺たち二人は理事長室を後にした。




------------------------------------------------------------------------------------




「やはり、芹沢月羽。彼女も適正があるようですわね」


 私は、手に持ったティーカップを机の上に置いた。


「なるほど、彼女は()ですか。面白くなりそうですわ」

「しかし、有坂陽哉。彼は()()読めませんわね」


 私は、この学園を理事長室の窓から見渡す。

 扉ヶ丘学園…この学園の設立当初から調べる必要がありそうですわね。

 私は、シャッターを閉め再び席へと座りなおした。

 



------------------------------------------------------------------------------------



「陽哉全然起きないね」


 僕は彼を起こそうと体を揺するが、全然起きる気配がない。

 僕の名前は関高良。

 陽哉とは一年生のころから仲が良くなった、ごく普通のサッカー少年だ。

 彼と僕の性格は似ていないがなぜか波長が合うのか、専ら彼と行動することが多い。

 因みに僕は、他人から見てそこそこ良い顔をしているらしい、そこまで自分は自覚しているわけではないが、女の子から告白をよくされるので、そうなのだろう。

 でも全くと言っても僕には興味がない。

 なぜかというとご察しの通り、僕は芹沢月羽様を愛でようの会、ロリ親衛隊隊長だからである。

 因みにだが、二番隊隊長は野原充君だ。


「有坂君ー起きてーもう放課後だよ」


 彼を起こそうとクラスメイトの佐敷芽里(さしきめり)さんが陽哉の体を叩く。

 彼女は引っ込み思案な女の子で、前髪をパッツンと切り分け長めに伸ばし、他人から目を余り見られないようにしているのか、目の下まで伸ばしているのが印象的だ。

 その小さい声と小さい胸!!動物的な愛嬌さから、僕そしてはなかなか見どころある女の子だ。

 なぜか陽哉をたびたび構うところを見かけるが僕はその本意は知らない。

 そういえば、陽哉は問題児でヤンキー気質だが別に嫌われているわけでもなく、他クラスからは知らないが、意外と人気はなくはない。

 見ていて面白いし、素直だからね。

 言っていなかったが、この学園はクラス替えはない。


「と誰かに説明したところで、陽哉ーマジで帰るよ」


 僕が無理やり彼を起こそうとすると、起き上がりそれはもう鬼のような顔で。


「ぶっ飛ばすぞ…」


 と言い残し、また机に突っ伏した。

 クラスメイト達、佐敷さんを含め。鬼だ、悪魔だなどと呟く。

 確かに僕も怖い…。

 それを見ていた、月羽様が陽哉の横に立った。


「ほら!帰るわよ!!」

「芹沢さん!危ないよ」

「危険だ」


 などとクラスメイト達は言うが、月羽様はお構いなしだ。

 横から見ている茉里奈も興味がなさそうにこちらを見ている。

 それでも起きない陽哉にケリを入れた。

 流石の陽哉も起き上がる。


「テメェ!クソガキ。ぶん殴るぞ」

「ハル、私今日弁当二つ持ってきたのよねー。私お手製貴方大好きから揚げなんだけど」

「な…なんだと。よ、よこせツキ。いえツキ様」

「あーーら。これが欲しいなら。それ相応の誠意があるのではないかしら」


 流石、月羽様。

 だてに幼馴染やっていないよ。

 それをクラスメイト達は恐る恐る怖いもの見たさで、離れたところで見ている。

 佐敷さんも流石に教室のスミの方にサササッと隠れた。

 茉里奈は相変わらずポケーっとその光景を見ている。


「ツキ様ーー。僕にそれをくださいましーー」


 陽哉はジャンピング土下座をかまし、ワンワンと吠える。

 彼にプライドはないのだろうか、流石の僕もドン引きだよ…


「「「犬かよっ!!」」」


 とクラスメイト達が一斉に突っ込む。

 月羽様はそれを満足そうにうなずくと嬉しそうに、弁当を渡した。


「ツキの弁当くそうめーー!くそうめーー」


 その光景を見た佐敷さんがおずおずと月羽様に尋ねた。


「あ、あのお弁当って芹沢さんも手作り?」


「ん?そうよ。私料理好きだから、お母さんにも迷惑かけたくないし」


 流石ロリ神月羽様!!僕もおこぼれ頂きたいです。

 僕は彼女をみて拝んだ、ついでに何人かのクラスの男子も拝んだ。


「わ、私も明日から、弁当作ってこ、こよう」


 と言って佐敷さんは走って教室を後にした。

 月羽様は、頭に疑問を浮かべながら一心不乱にご飯を食べる陽哉を見てほほ笑んだ。


「青春ねぇー」


 それをみた、茉里奈が呟いて陽哉起きない騒動は終了を告げた。


 

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