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DQNがハッタリで異世界で魔道具回収で成り上がる!  作者: ムラサメ
第一章 現実世界に流れる魔道具
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2話 腐った縁のハルヤさん

 道端に奇麗に咲いた桜の木を見つめながら私は笑みを浮かべた。

 今日から私は記念すべき高校二年生、去年とは心機一転いつも通っている通学路も新鮮に感じる。

 そう私に後輩ができる日なのだ。

 

「くふふ……」


 と思わず気持ちの悪い声が出てしまった。

 だけど今日の私はそんなことは気にならない。なんていったって、今日から後輩達が入学してくるのだ。月羽先輩!!月羽先輩!!とまだ見ぬ後輩たちが、私を呼んでいる声が聞こえる。ちょっと気持ち悪いかもしれないが許してほしい。

その妄想だけで、私の気分はとても麗らかになる。つい先ほどまでだが。

 ……そう、こいつさえいなければ。


「おいツキ。お前気持ち悪い笑み浮かべてどうした。身長でも伸びたのか?胸は成長してなさそうだし」


 よりによってこいつに見られるとは……

 学校の制服をだらしなく着こなした、金髪がトレードマーク(頂点だけ黒くなっていて非常に残念)の馬鹿が私をおちょくりに来たのだ。

 制服のボタンを全部あけ、めんどくさそうにダラダラと歩いている。さらに、一番ムカつくのが、顔だけはかっこいいところなのだ。


「う、うるさい!!身長と胸は関係ないでしょっ!!セクハラ!ヘンタイ!」


 私は全力で拳を握りしめ、このデリカシーのない男を殴ろうとしたが。ひらりと身をかわしいとも簡単によけられてしまう。


「おい、そんなに怒ることねーべよ。イッツジョークだって、幼馴染だろーよ。」


彼はヘラヘラとしながら私に言った。

私は地面にあった石を拾い……


「大体そんなへなちょこパンチ当たるわけねーだろ~運動神経抜群の陽哉様に……ってそれは反則だろ!石投げるなって、ちょ、ご、ごめんってば!」

「この!この!」

「い、痛い!む、息子だけはっ!そこはダメだー!」


 そう、この男。有坂陽哉は私、芹沢月羽(せりざわつきは)の幼馴染なのである。と、というか、別に身長とか体系とか気にしていないから!!マジで!


「ふん!どうせ使い道のない、アンタの下品な物は世の中のために消したほうがましでしょ!大体、アンタは適当すぎるのよ!だらしないし!馬鹿だし!ヤンキーだし!普段学校来ない癖に、よりによって……変な顔し…てる時に……限って現れるんだから!!!」

「だったらこの使い道のない物を、お前でピットインならぬベットインしてやろうかこのクソガキっ!!」

「キャー助けてー痴漢ですー。お巡りさんー。」


 私はちょうどよく見つけた警察官に駆け寄る。


「なににににーーー!!」


 陽哉は慌てて、私にスライディング土下座をかます。プライドのないはったり野郎なのだ。

 

「て、てか!そもそもお前が一人で気持ちの悪い顔をしているのが悪いだろ!今日学校にこいって無理やり俺に説教したのもお前だろーよ!」

「う、ううっるさい!!ほんと女の子に気持ち悪い顔とかデリカシーなさすぎ!だから顔だけとか、しゃべらなければイケメンとか、言われんのよ!!変な髪の色してるし!」


陽哉は髪の毛をカッコよく?したつもりらしいが、周りから見たら、頂点の染め残しが目立ちプリンみたいでダサい。


「うるせー!!ちょっと気にしてんだからやめろよ!!え?てか髪の色変?お、おいお前ちょっと。これ変?」


陽哉は前のめりになって全力で私にどーでもいいことを問うのだ。意外とこいつめんどくさいのよね。


「ふん!滅茶苦茶ダサいわよ!ほら、せっかく来たんだから学校いくわよ!」

「ちょ、月羽!!おい俺の髪の毛変なのか?どこが変なんだ?お、おい行くなよ!聞いてれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 私の通っている学校は、このあたりでは有名な進学高で、勉学にとても力を入れている。

部活もそこそこ盛んに行われており、吹奏楽部や、演劇部など文化部は全国レベルで有名なのだ。

 運動部ももちろんあるが、そこまで強くはない。勉強面の話に戻るが、もちろん私も勉強にはそこそこ自信がある。そういう子たちが入学してくるはずなのに……

 私の隣に歩いている陽哉は、教室のドアを勢いよく開けた。一応私のおかげで遅刻はせずに済んだのだ。


「ん?陽哉だ!久しぶり!ちゃんと学校来たんだね」


 という彼はスポーツ万能で有名なサッカー部の部長さん関高良(せきたから)君。彼からはイケメンオーラが常ににじみ出ている。

 それがあってか、女の子からはしょっちゅう告白をされているらしい。

 誰彼構わず、皆に優しく皆と仲が良いのだ。

 私自身彼を見てもかっこいいと思うが、誰とも噂になったことがない。


「おー誰かと思えば、弱小サッカー部のエースストライカーの高良君ではないか」

「……陽哉は相変わらずのようだね。月羽様もおはようございます」


 と高良君は私に深々とお辞儀した。なぜか出会った当初から彼は私に変な口調で話すのだ。

 私を何だと思っているのだろう。

 私の二つ目のコンプレックスツリ気味の目つきから気が強い印象を与えたりはしてしまう。

 だが、私…ちゅ、ち…中学……生みたいな、身長と、胸……を見たら……怖がるはずはない。と思う…


「とかいって、赤髪サイドテールといういかにも小学生みたいな髪型はグッジョブだぞ。って殴るな!鞄で殴るな!いくら世界最強の陽哉様でも痛みは感じるんだぞ!」


 本当にムカつく。私の事を馬鹿にするのがこいつの生きがいなのだ。

 私は、陽哉への攻撃の手を止め、関くんに顔を向けた。


「……あのさ、関君?いい加減その口調やめてくれないかな……凄い目でクラスの女の子達に見られているのだけれど……」


 と私が迷惑そうに言ったが、高良君は机から前のめりになって私の顔の近くまで顔を寄せた。

 ち、近い。


「そんなことはできません。ロリシ……月羽様にため口など聞けません!!!そんなこと死んでもしません!」

「ちょ、やめて、近い近い!!変なこと大声で叫ばないでよ!!」


 私は、彼を必死になだめた。ほら!周りの女の子たちがすごい目で見てる!!

これがあってか、偶に女の子たちに恨まれたりするのだ。

関くんは続けた。


「それより、僕こそ2人に聞きたいことがあるよ」


関君は陽哉にも言いたいことがあるようだ。


「なぜ、2人ともいつも喧嘩しているんだい?幼馴染なんでしょ?仲良くしなよ。」

「俺が、こいつをからかうのは一種の生きがいだね」

「滅茶苦茶迷惑なんですけど……このクソ童貞」

「ああーー言ってしまったね、ミルク臭いガキめ!てめーも新品だろうがよ!」


 横でなぜか関君が嬉しそうにしている。なぜだろうか?


「ふん、男と女じゃ価値が違うのよ、童貞君」


 そのやり取りを見ていた関君は困ったように言った。


「ごめんごめん、もう聞かないよ。」

「そうしてくれたまえ」

「なんでそんなに偉そうなんだか……」

「偉そうじゃない、偉いのだ」

 

 こいつの相手をしててもなんも進展がなさそうなので、私はシカトし自分の席につく。

 なぜか関君が嬉しそうにしているのは謎だが……純真無垢な穢れなき天使ってなに?

 私が席に着くと一人の少女がやってきた。


「おはようツキちゃん、今日も可愛いっ!」

「やめなさいよ。茉里奈思っていもいないことを、どうせ私は特殊性癖の持ち主にしか、そう思われないわよ」

「うん、なんだかんだ自分のこと可愛いって思ってそうで、相変わらずうざいね♡」

「あんたは二重人格なの!?」

 

ふんわりとした茶髪の女の子(もちろん太ってるわけではない)は大変笑顔で私に言った。

 彼女の名前は、牧原茉里奈(まきはらまりな)彼女は常に笑顔を絶やさず男女共に?人気がある。髪の毛にお嬢様みたいに、ウェーブをかけておりなんとしてもこの豊満な胸!!!はらたつ……少しは分けなさいよっ!


「ツキちゃん顔ものすごくブサイクだよ?」

「あんたは私のこと嫌いなの?ねえ、嫌いでしょ?」


 とにかくこの緩やかな制服から主張し続ける物は男の子たちには、魔性の武器です。私のは?やめてください。傷に塩を塗りたくらないでください。

 ちなみに、彼女の吐く毒はよくわからない。


「朝から、馬鹿ハルの相手をして、さらに私の知り合いを誰かに紹介した気分で疲れたわよ……」

「うん、10行前に私の紹介も丁寧にしてくれたみたいだしね。世界一の魔性の女茉里奈様って」

「そこまで言ってないわ!!」


 朝の心地よい気持ちを返してほしい。

 前言撤回、朝からそうでもないわ。

 早く後輩たちに先輩先輩と呼ばれたいわ。


「おー月羽先輩、今日も小さいですね?小学校はあっちですよー」


 とニヤニヤしながら馬鹿が私に近づいてきた。

 私は咄嗟に黒板の黒板消しを持ち…


「真っ白にくたばりなさい!!」


 全力で振りかぶった、だが、陽哉は軽々とよけ……


「おい、おばかさんか?こんな貧弱な攻撃が陽哉様にあたるわけ……あ、あらら?」

「ゲッ……」

「あらら?先生じゃないですか?おはようございます」


 茉里奈超冷静!!!

 そう黒板消しは陽哉の後ろに、丁度来た担任の鈴木先生の体を白く汚しているではないですか!

 ガタッと文芸部の佐藤さんが、鼻息荒く立ち上がったのはよくわからないけど。

 プルプルと青筋をたてて怒る先生を見て、私は咄嗟に。


「陽哉君です!!無理やり投げさせられました!!」

「テメェ!どんな状況じゃ!!投げさせるってそんなことあるわけないだろ!!嘘つくんじゃねえ!なぁセンセー?」


ごちゃごちゃと言い合いしている私たちに、先生は静かに告げた。


「…放課後残りないさい」

「「はい」」


 私たちも先生と同じくらい静かに返事をした。


「綺麗にオチができたねぇ!よかったねツキちゃん」


よくないわ!!!



 

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