17話 妖精族と謎の町
ティラノの背中に乗って2、3時間くらいだろう。ズンズン速いスピードで進むのでとても快適な旅に早変わりだ。一応古代種の魔物は珍しいらしく。それを支配?舎弟?にした俺はなかなか凄いやつだろ。
やはり俺様は最強だったのだ!
「はっははははは!!」
「ハルヤさん?頭おかしくなりましたか?」
「うるせぃ俺は今自分の最強さにまた気づいてしまったのだヨ!」
「・・・偶に思いますけど、それが残念なところですよね。」
メロリアが言ってることなんか気にしていない。ティラノはドンドン進んでいく。
「進めー!オラ敵を薙ぎ払え!世界征服しろ!!」
「目的がかわってません!?」
俺は今最高に気分がいい。あのスライムでさえ倒せなかったのだが、偶然最強の魔物を使役することができているのだ。滅茶苦茶たまらん。今ならユルにでも勝てる気分だ。
そうこうしていると、魔霧がだんだんと薄くなり、魔物の数もだいぶ減ってきたようだ。車レベルで走行するティラノはやはりものすごいのだろう。
何となく森の出口がティラノは分かっているのか、分かっていないのか?進む足を止めない。迷いなくドンドン突き進む。
「なぁメロリアこいつ勝手に進んでいるけど。ちゃんと出口に向かっているんだよなぁ?」
「さ、さぁ滅茶苦茶に走り回っているだけかもしれませんよ?」
「おい、それじゃあ意味ないじゃねえか、お前の力でなんか出口っぽい場所感じないのか?」
「そんな索敵呪文みたいなの使えませんよぉ」
と、グダグダ話をしていると。明りだろうか?どんどんまぶしく・・・。
「お、おい出口か?木々が開けて」
ガサァ!!!っと音を立てティラノが猪突猛進すると、そこには草原が広がっていた。森の中にずっといたので、目が慣れてなく眩しくて思わず俺は、太陽から目をそらす。
何となくメロリアの方を見ると目に涙を溜めていた。それが決壊したのだろう。俺を抱きしめすすり泣き始めた。俺はどうすればいいのか分からないので、とりあえず抱きしめ返すことはチキンすぎてできず、いやチキンじゃねーし紳士なだけな。
「やっと、やっと外の世界に出れました・・・ハルヤさんのおかげです。あの時迷わずハルヤさんについて行ってよかったですぅー」
「お、おうたりめーよ!俺様がいれば大丈夫に決まってんだろう。」
ティラノは俺たち二人を下すようにしゃがみ込む。俺たちは地面に足を踏みしめ・・・
「こいつどうしよう?」
「ど、どうしましょうね?使役解除みたいなのできないんですか?でもそしたら襲ってくるかもしれませんし・・・」
「おい!お前。どうしたいんだ!てかどうすればいいんだ!」
「ガルルッ!」
「わかんねぇ!!!」
俺がツッコミを入れると、役目を終えたようにティラノは森の中へ帰っていった。使役が解けたのだろうか?襲ってくることもなかった。
「・・・ここから歩きか。」
「まああの子は森に住んでいるのですから、帰るのが当たり前なんじゃないですか?」
「あわよくば近くの町とかまで運んでもらおうと思ったのに。」
「いやいや!大騒ぎになりますよ!!多分人族に魔族だと思われますよ!!」
そうかと俺は言うと、とりあえず歩き出す。それにつられてメロリアも歩き出した。
「近くに町があればいいんだけどなぁ。」
「私の聞いた話だとここウィーネの森は最東端です。魔族は最北端。人族は中央。西は知りませんね。」
「うーむ、それだけだとこの世界の地理がよくわからんわ」
「私も知りませんし、周りを見渡しても町みたいなのは・・・って向こうの方に何か見えませんか?
「どこだ?」
俺はメロリアが指をさす方向を見るとそこまで遠くない位置に壁に囲まれたなにかがあり、よく目を凝らしてみると町だろうか?そのような建物が見える。
「おい、メロリアお前。森の近くに町とか村はないって言ってなかったか?」
「なかったはずです!!ただ10年もたっていますからって肩を揺さぶるのはやめてください。デジャブです!でもなんか悪くない気分に。」
変に顔を赤くしたメロリアの方から手を放し、(すごい胸が揺れてた)俺は達はとりあえずそこに向かってみることにしたのだ。
近づいていくと、門のようなものが見え、そこにはゲームで出てくるような鎧と兜そして剣を背中にしょっている男二人組が守るように立っている。
俺達を男たちが見つけると、何やら微妙な顔をしている。
そして俺たちに声をかける。
「何者だ!!」
「何者だ!!」
「いやこっちが先にいったんだが・・・」
「いやだって、こちらこそお前ら何?って感じだし。」
俺と門番?の片割れは話が通じていない模様だ。そこにメロリアが間に入る。
「私は妖精族のメロリア・ルイーネと申します。ここはどこなんでしょうか?私たちはウィーネの森に10年住んでいましてそこからやってきたので・・・」
二人の男たちはメロリアの魅惑的なボディとそして顔にデレデレし始める。何となくむかついたので、俺は二人をせかす。
「おい、ここはどこだ。」
「お前凄く口が悪いやつだな。しかも恰好も怪しい。こちらのお嬢さんは保護対象にされている妖精族だからわかるが、お前ほんとにウィーネの森に住んでたのか?あそこは普通の人はいけないはずだ。」
「俺様はこの世界をすく、ムググ「は、はい!一緒に住んでいたんです!!だから私たち何も知らなくて。」
余計な事言わないでください!と小声でメロリアは伝えてくる。
「なるほど、まあ妖精族は魔力が高い森に住んで成長するのは知っている。本当はLSCがないとこの街には入れないが、妖精族は特別保護対象となっている。なので通すことを許可しよう。町でLSCを作ることだな。」
「おおーサンキュ!」
「お前はダメだ!」
もう一人の片割れが俺の首に剣を突き立てる。
「お、おいなんで俺はダメなんだよ!!」
「恰好が怪しすぎる、しかもお前人族だろう?なぜLSCを持っていない。」
「そうだな、魔族が化けている可能性も高い。お嬢さん騙されていませんか?」
「だぁーー!!んなわけねーだろ!普通の人だ!無害だ!めんどくせえ!大体この町は何なんだ!!」
俺はイライラし始める。ぶっ飛ばしてやろうか。ドードーと俺をなだめるメロリアが必死になっている。
「あの、この方本当に何でもないんで、害もないですし。そ、そ、それに私たちは恋人同士なんですっ!!」
「恋人!?」
俺が思わず突っ込んだ。いつの間にそんな関係になっていたのだ?
「お、お前!!!特別保護対象と恋人だと!?なんてバチあたりなことを!!!」
俺が反抗しようとする前に、メロリアが反抗した!
「さっきから特別保護対象ってなんですか?聞いたことありません、別に貴方たちには関係ないでしょう。」
メロリアが本気で怒っているのを意外と初めてみたかもしれないな。
「ぐっそうだが・・・この町では妖精族はそういう目で見られてもしょうがないぞ!」
「10年もたった間になにが起こっているかさっぱりわかりません。とにかくハルヤさんは普通の人なので私たちは通してもらいますからね!!」
グイっと無理やり俺の手を引っ張り門番の隙間から通り抜ける。それを門番二人が阻止しようとするが・・・
「スピニッ!」
初級風魔法であっさりと切り抜けた。なんだ、人族はそこまで強くないのかメロリアが強いのか?
二人の門番は短縮形魔法だと・・・とつぶやいてその場から固まってしまう。
「ハルヤさん!もう行きましょう!LSCを一緒に町で作りに行きましょう!」
「お、おう。」
俺も門番も呆気にとられながら無理やり町に侵入?した。なぜそこまで怒ってるのだメロリア。ちょっと怖いぞ・・・