13話 最弱の魔物
「そういえば風呂はいりてーんだけど。」
「あ、ありますよ。ここの隣です。」
と案内された場所は(もちろんメロリアに肩を貸してもらってだが)キッチンのすぐ脇に扉がありそこのドアを開けてもらうと、木製のきれいな風呂があった。
「だけどダメです。せっかく塗った薬が落ちてしまいますし、まず、ケガをしているんですから無理ですよ
」
「じゃあ手伝ってくれ一緒に入ればいいだろ」
「な、なにを言っているんですか!!変態ですか!?ぜーったいに嫌です。嫌です!!!」
メロリアは顔を真っ赤にして全力で拒否をした。やはりからかうと面白いやつだ。
「あ、その顔絶対馬鹿にしてますね。ならいいですよ!一緒に入りましょうか!!」
メロリアはテンパっているのか急に服に手をかけた。
俺としてはとても美味しい状況だったが、急になんだか恥ずかしくなり、俺は必死に止めた。惜しいことをしたかもしれない。
「ちっ、しゃーねぇか。しばらくは我慢するか。それよりメロリアは風呂はいっていいぞ」
メロリアが俺をジト目で見つめる。
「どうせ覗くんでしょう?」
「の、のぞかねーわい!テメーみたいなガキの風呂覗いてもなんも嬉しくねーよ!」
「ちょっ、ガキって!失礼ですねっ!これでも着痩せするタイプなんですぅー!!貴方より年も上ですし、そちらのほうが子供じゃないですか!」
なるほど、着痩せするタイプか、というかその服装の上からでも豊満な肉付きの良い(決して太っているわけではない)身体が…
「誰が子供だ!!この野郎!」
「子供ですぅー。まあとにかくお姉さんはハルヤさんが寝てから入りますから!」
「急にお姉さんぶりやがって!このロリ巨乳が!」
「ろ、ろり?」
意味が分かっていないらしい。困惑しているようだ。面白いじゃねーか。
「てかお前、のベット俺が使ってるけどどこで寝るんだ?」
メロリアはテーブルの近くにある床を指さした。そして棚から毛布だろうか
「私はここで寝ますよ?」
普段俺は自分を中心に世界が回っていると考えている。一番自分が大事だからな。
だが、俺はメロリアに強く当たることは不可能に近い。流石に命の恩人を無下にすることはできないからな。
俺は男らしく言った。
「なぁ、おれがそっちで寝ようか?お前のベット借りるわけいかねーよ。」
「いえいえ、けが人はそっちで寝てくださいねー」
「いや、流石に…俺がお前のベットでなにするかわからないぞ」
「え!?なにをするんですか!?何を!一体何を!!」
顔を真っ赤にして抗議するエロ妖精は顔を真っ赤にしながら俺を見つめた。
「じゃあ一緒に寝るか?」
「い、や、で、す!!とっとと寝てください!!!」
流石にこれ以上、いっても無駄だとわかったので俺は切り上げた。
瞼が自然と閉じてくる。流石の俺も疲れてきたみたいだ。
それを見たメロリアはおやすみなさいとつぶやいた。
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そして三日後運命の時がやってきた。とうとう初の魔物退治だぜ!!どうせ楽勝だろう!
「しゃあ!!治った今日こそ魔物を見してもらおうか。」
この三日間メロリアには結構お世話になった。
この恩はいつか返してあげたいと思う。それは外に連れ出すことによって達成するだろう。
現在は朝。ちょうどおれがこのメロリアハウスに訪れて3日目不思議なことに俺の折れた骨はほぼ一日寝ただけで歩けるようなり、三日で完全に完治した。
因みにだが、時間の感覚は日本と同じ24時間だが、1年は400日。100単位で季節が変わるとされているらしいが、ここウィーネの森は四季というものがないらしい。一年中春のような気候だ。
「ええ、しっかりなおったみたいですね。わかりました。魔物と実践訓練を実施にいたしましょう。
」
流石に3日もたつと俺たちは打ちとけてきた俺の性格とメロリアの性格は正反対の性格をしているが、相性は悪くなかったみたいだ。しばしば俺がラッキースケベ(高良)から学んだ。をねらったがすべて失敗している。俺のズカズカと他人に図々しい性格がメロリアにとって遠慮しなくてもよい相手になったのだろう。
時々日本の話をメロリアにしてあげるとクスクスと笑いながら俺の話を楽しそうに聞いていた。一度行ってみたいなどという発言に対しいつか俺が連れて行ったやるよ。と伝えると楽しみにしています。と彼女は言っていた。
「今日は食料確保はいいのか?」
「いいえ、まだ保管してあるものがあるので今日は大丈夫です。今日は炎の神様もサンサンと照っていますので迷子になりにくいので、魔物狩りには絶好のコンディションですよー!
「あれは太陽だろ。」
妖精族?では太陽を炎の神と呼称するらしい。最も他の人と会ったことがないのでもしかしたら、妖精族ならではかもしれないが俺は知る由もない。
余談だが食料はメロリアハウスのすぐ横にある畑や、魔霧が薄い近くの森の中で狩りをしている。
メロリアが筒のようなものを取り出すと、動物のほうに向けるとあっという間に仕留めることができる。彼女に理由を聞いてもそういうものですとしか、答えなかった。彼女自身も仕組みをそこまで理解していないらしく魔道具の一種らしいが・・・両親の受け売りみたいだ。
もちろん何度か盗もうとしたが失敗に終わった。クソ
「そういえばメロリア。メシ上手いんだけどさ、米ないのか?」
「前にも言いましたが、聞いたことがないです。どんな食べ物なんですか?」
「白いやつ」
パンの中身も白いんでは?とメロリアは可愛く首を傾げる。
間もなく二人は外に出る準備をすると(勿論ミサンガを持った)メロリアが俺に問う。
「ハルヤさんその恰好で大丈夫なんですか?」
俺は扉ケ丘学園の制服で装甲もクソもない恰好をしている。それを心配そうにメロリアが心配そうに見つめるが・・・
「ん?なんでダメなんだ?」
「そんな恰好絶対危ないですよ!絶対にケガしますって」
「お前だってそこまで魔物狩りをするっていう恰好とは言えないが・・・」
「この服は妖精の羽衣といって、魔法耐性や物理耐性に優れている特殊装備なんですよ。妖精族はみんな使っているはずです。」
メロリアもそこまで装甲が厚そうな恰好をしていない。緑色の羽衣をまとい。胸を強調させたなんとも人を魅了させる服装だっぺって感じだ。
「大丈夫だろ。俺つえーし。瞬殺だわ。」
「はぁ・・・もういいです。ケガしても知りませんからねっ!」
メロリアはため息をついた。
お前もなかなか軽装備だよなとツッコミたいが、そういう世界だと理解するように俺は最近そうしている。
「じゃあ行きましょう。危なくなったら直ぐ逃げますからね!私も魔法をそこまで使えないので、まあ弱い魔物くらいなら倒せると思いますけど」
前俺はメロリアに魔法を見してもらった。風属性の魔法のみ使えるらしい。ただ一度見た限りだとユルがどんだけすごいのかよくわかってしまう。悔しいがあいつには俺でも勝てないかもしれないが、俺様のどんな戦いでも勝つ卑怯な手を使えばあるいは勝てるかもしれん。どんな手を使っても勝てば勝ちだ!
因みに魔法にもいろいろ種類があって妖精族は風魔法を主体とするらしい。
ユルは氷とかその辺なんだろう。魔道具かもしれないが・・・
メロリアはテーブルの横にある引き出しから本を取り出し、二人は家の外に出た。メロリアのハウスはちょうど森が開けた場所にあるので、太陽が出ているときはとても明るい。家の裏のほうに回ると井戸がありこの水が自動で組める術式が組んであるらしい。その隣先程言った畑があり家の外は半径30メートルくらいの柵で囲われている。
柵の外に出ると森の中の入り口(といってもメロリアハウスの周りは全部木々で生い茂っているが)
に到着した。
「ここからは気を付けてくださいね。一応魔霧が薄い場所を通りますが、油断はしちゃダメですよ。」
「んだよもっと、奥まで行こうぜ。弱いやつ見ても面白くねーよ」
「魔霧が濃い場所まで行ったら、私の力では迷子になりますのでぜーったいにダメです!」
まるで姉に注意されているようになった気分になった俺は年上も悪くねえなと思い始めた。というか俺自身メロリアには何故か逆らうことができない。不思議な気分だ。
森の中に入りだすと薄っすらと霧のようなものが出かかった直前、俺はメロリアの肩を引き、口元を抑えた。
「!?んーっ!?-っ!」
「おい、静かにしろなんかいるぞ。気配がする」
メロリアはコクコクとうなづくと落ち着きを取り戻し周りに目を凝らすが、何もいなかった。
俺の手を振りほどくと・
「ハルヤさんなにもいないんですけど・・・」
「ちょっとノリでやって・・・って痛えっ!叩くなってご、ごめんって!」
メロリアは顔を真っ赤にしながら
「今度ふざけたら許しませんからね!!」
と俺に告げた。ちょっとふざけただけなのに大袈裟で面白い。
俺はヒリヒリする頬を摩りながらメロリアと再び歩き出す。
森に入って10分くらいたっただろうか?俺たちは他愛もない話をしながら(最初はメロリアは激怒してた)話をしていると、目の前からズルズルっとなにか引きづるような音が聞こえてくる。
メロリアの顔を覗き込むと、近いです!!っといいながら説明してくれた。
「この音はスライムですね。最弱の魔物です。合体して大きくなると面倒ですが。稀なので・・・」
とメロリアが説明すると間もなく目の前にドロドロとした丸い形状の塊が二匹出てきた。
ド〇クエかよとおもいながら俺はその光景を見ていた。と同時にわくわくもする。
「スライムはですねってハルヤさん何を勝手に!?」
俺は咄嗟にスライムに近づきけりを入れるが、ズボっと音を立てて中に吸い込まれた。
痛みはないがなんとも気持ち悪い。うげぇこいつ意外とつええし。
その瞬間メロリアが風魔法スピニを唱えると風の刃が二匹のスライムを切りさいた。
そしてシューと音をたて消えていく、光の玉がメロリアのほうに吸い寄せられる。
「説明してるのに勝手に動かないでくださいよぉ。スライムは最弱ですが。物理耐性はそこそこあります。
ただのケリ一発じゃ飲み込まれるだけですよ。まあスライムは何故か服を溶かすだけで人体にはあまり影響はないですが・・・」
「なんだよそれ、俺のケリが聞かないのかよ。ありえねぇーマジ。」
「ちなみにですがこの光の玉は経験値というもので一応レベルみたいなのがあるらしいですけど、今は意味ないですね。なんせ森の外にでてギルドというものに登録しないと意味がないみたいです。私持ってませんし、ハルヤさんもないですし、狙うなら魔物の肉とかですかね?あとたまにアイテムがドロップしたり極稀に魔道具もドロップするらしいですよ。」
「ふーん。本当にゲームの世界みたいだな。」
「ゲーム?ハルヤさんってたまに変なこと言いますよね。。」
「前説明しただろ。」
そうですが・・・とつぶやくメロリアはなんとも理解できない表情をしていた。