11話 異世界へ
自然豊かに草木が生い茂り、木々の隙間から暖かい太陽の光がサンサンと彼を照らす。
それは暑いというわけではなく、春の日差しのような心地よさを感じさせる。昼寝をするには最適というような天気である。
周りには草木が生い茂り、見たこともない小動物達が鬼ごっこをするように、はしゃいでいる。
そんな光景に似合わない一人の男が寝そべっていた。身体は傷だらけで、足は曲がってはいけない方向に曲がってしまっている。
そう彼陽哉は気絶していたのだ。
このまま夜を迎えてしまうと猛獣たちのうごきが活発になりいつ襲われるかわからない無抵抗な状態だ。
流石の陽哉も人間相手ならまだしも、猛獣や魔物相手には怪我した状態で逃げることは不可能だろう。
そんな中一人の少女が森の中から現れ、陽哉を見つめている。
何かブツブツと唱えるような仕草をすると彼女は陽哉を背中に抱え、(絵面的にすごくつらそう)また森の中に消えていった。
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ゴリゴリとゴマをするような音がする。
その音で俺はふと目を覚ました。
周りを見渡すと俺の記憶にはまったくない光景が広がっていた。
現在は夜なのか?周りは普通の家と比べて真っ暗でランプのようなものが机の近くを照らしている。
その奥のソファだろうか、やはりゴリゴリという音が聞こえる。
俺食われんのこれ?逃げたほうがいいの俺?
全体的に木でできたロッジを連想させるような間取りをしており、暖炉のようなものもある。
俺は布団に寝っ転が差れているのに気づき、身体を起こした。
「なんじゃこりぁ!!でもいったくねぇ!!」
俺は自分の足を見るとものすごくはれ上がっているのに気づく。
その晴れ具合の気持ち悪さに吐き気を催したが、ぐっと腹に力を込めて俺は戻した。
誰がきたねえじゃこら
しかも痛くねえといったらどうなっているんだこれは?
もしかして俺は異世界に来たのか?
「あっダメですよ!まだ起きては横になってください!足の骨が折れていますから」
ゴリゴリという音が止み、代わりに少女の声が聞こえた。
少女は俺に近づく。そして優しく俺の身体をまた優しく倒す。
「なんだ!俺の貞操を奪う気か!!」
「そそそ、そんなことしませんよ!!!」
うむ顔を赤らめて可愛い。今までにないタイプじゃ。
ツキにユルにあいつらもこのくらいの反応をしてほしいわ。
「まだ寝ててくださいね」
少女は天使のような笑顔を浮かべ、俺が寝ていたベットの横にイスを持ち込み座り込んだ。
てか羽が生えてる。ゲームで見たような淡い黄緑色を纏ったその妖精のような羽は、とてもすごくきれいだ。
ランプの陰から薄っすらと顔を俺は見ると、とても美しい顔立ちをしていた少女だった。
多分身長は俺の肩のあたりくらいだろう。深い緑色の髪の毛をロングに伸ばし、パッチリとした薄いピンクの瞳
極めつけには透き通るような白い肌が申し訳程度に頬が赤く染まっている。
そして胸がでかい。
そして胸がでかい。
そして胸がでかい。
貧乳地獄からやっと解放されたのだ!俺様は。
俺は少女の警告を無視しダメですと言われるが無視してつづけた。
「なぁここどこだよ。てかお前なんで羽生えているんだ。」
俺はグイッと顔を少女に近づける。
少女は顔を赤く染めた。
男に慣れてないのか、俺様のイケメン具合にやられたのか。(一応イケメンである)
「人族の貴方がここまでどうやって来たんですか?」
「いや人族って人しかいねえよ。やっぱりここは現実というか別世界なのねハイハイ。ユルの思惑通りだ
」
少女はそういえば変な服着てるなどブツブツ呟いている。
俺は少女の肩を掴んだ。
「今までの経緯をすべて教えろここはどこだよ!てめえはだれだよ!足いてえよ!」
「一気に質問しないでください~…」
あたふたする少女を無視し、そして巨乳をチラ見し(ここ大事)無理やり答えさせた。
「や、野蛮ですねぇ。私一応恩人なんですけど…てかまず貴方こそ人族の貴方がなんで森でボロボロになっているんですか!びっくりしましたよ」
「だから!ここはどこだって教えろって、俺は別の世界から多分飛ばされてきたんだ!ってこれ言っていいのか?」
「野蛮です!答えますから肩を離してくださいってぇーー」
少女の野蛮ですぅーという言葉が」響き渡った。
そもそもコイツの服装もゲーム時見ているというか妖精のような格好をしているな。
全体的に緑色に統一した薄い羽衣のようなものを纏い結構きわどいラインだ。
保養保養うむうむ。
「コホン、で貴方は別の世界から来たというんですね」
「そうだ」
「記憶喪失ですか大変です…って信じますからその肩を揺さぶるのやめてくださいよ!」
「お前に言っていいのか知らんが、俺はこの世界を助けるらしい。勇者だ。そして俺の世界に魔道具を流している犯人を捕まえるという目標も一応ある。退学にならないためにな」
「た、たいがく?ってのはよくわからないですけど。私自身この森から出たことないので、魔道具の存在こそ知ってても、世界がどういう状況だか知りませんよ」
うーむ使えん。こいつどういう存在なんだろうか。
「まあ一応質問に答えますと、そして貴方の話を信じますとここはウェーネの森この世界の遥か西に存在する。そこそこ大きな森です。近くに村や町などはありません。で、私が一番驚いたのはこの森は魔霧によって、普通の人族のひとだと迷子になってしまうのですよ。あのまま放置されていたら。魔物に殺されていましたよ。感謝してください!」
ふんすふんすとする彼女を見て俺は思った。
なぜ助けた?
「なんで俺を助けたんだ」
「ええと、何と言いますか。顔まあまあいいし変な頭してますけど」
「してねえわ!!!おしゃれだわ」
「まあ本当は数年間人、いいえ私たち妖精族を含めて誰とも接触せず一人で生きてきたからです」
「なんだお前人間じゃないのか」
「妖精族です!妖精族は魔力な豊富な森で子供を産むためにこのウェーネの森が適しているんです」
つづけてこの森には沢山の強力な魔物がいるとか、妖精族は育つにつれ魔力が増幅しこの森からでれるとか、更に妖精族は魔力や知能がとても高くおまけに女の子はとても美人なので不当な輩が生まれたての妖精族の子供を狙うこともしばしばあるらしい。
俺は疑問に思った。
「てかお前の名前はなんだよ、俺様の名前は有坂陽哉様だ。よろしく」
「な、なんでそんな偉そうなんですかぁ…私の名前はメロリア。妖精族のメロリア・ルイーネと言います。」
「妖精?お前妖精なのか?妖精と言ったらもっと小さいイメージが」
「なんのイメージか知りませんが、さっき話したじゃないですか!!もう忘れたんですか!」
「冗談だ」
「そんな冗談いりません!!!」
俺はコイツからからかいがいがあるぞと、新しいおもちゃを見つけたような気分だ。可愛いし。
「妖精族は世界中の森を拠点とし生活しているのです。妖精族は先ほど言ったように魔力の高い森で生まれて10年間同じ森で生活し、初めて両親と外の世界に出れるんです」
力がついたときにねとメロリアは続けた。
なるほどだからコイツはまだ森に住んでるのか。
「ほー、お前見た目ガキだしな、俺様のこと敬えよ。もうちっとだけ成長してくれれば許容範囲なんだが、胸はともかく」
「セクハラです!!!!し、失礼ですね本当に、私命の恩人なんですけど!私は18です!!妖精族は若干ですが、女性の見た目が幼いだけです」
なるほどなロリ巨乳の完成ってわけか。
というか!
「げっ!一つ年上かよ!!まじか!無理だお前を年上としてみれねぇ!」
「ふん!貴方よりお姉さんなんだからそっちこそ敬ってください!というか、もっと感謝してほしいんですけど…私一応貴方の事助けたんですが~」
メロリアは俺をジト目で見つめる。
確かに足がものすごくはれ上がっている割には骨折の痛みほど痛みがない。これなら2.3日もすれば自由に動かせそうだ。
「妖精の秘薬を使っているんです!直ぐになおりますよちなみにこの世界では妖精の秘薬なんてとても貴重なレアアイテムなんですからね!」
一応別世界から来たと信じてもらえたようだ。
てか塗るだけで骨まで浸透するのだろうか。
まあユルの魔法を思い出した時点で考えるのをやめた。
「なあ、それって高いのか?」
「それはもちろん高価ですよ…って痛い痛いなんで肩を掴むんですか」
「それをよこせ!!」
「ちょっとあげませんからやめて下さい!あげませんから!!やめてぇー!!」
しばらくして俺はあきらめた。
「くそ金持ちになれたかもしれんのに」
「あなた本当は人族じゃありませんね!!野蛮族です!野蛮族!」
メロリアの声が家中に響き渡った。