私は守護霊
ご覧いただきありがとうございます。
日常系のお話です。
現在、他作品に注力中のため、更新は遅めになる見込みです。
それでもよろしい方でしたら、気長にお待ちいただければ幸いです。
どうも皆さん、こんにちは。
突然ですが、皆さんは『守護霊』というものをご存知ですか?
この世界には沢山の宗教というものがあるそうですが、そういうのに関係なく、どんな人にも実は『守護霊』は憑いています。
そう。憑くんですよね。
元人間だったり、元動物だったり、時には神様だったり……。
様々なご縁で『守護霊』は人間に憑きます。
実はかくいう『私』も、守護霊なんです。
これは、とある少女の守護霊となった『私』ことーーミツバが、大切な彼女に知覚されなくとも、その成長を見守るそんなお話。
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「あれ? 確か、机の上に置いてたはずなんだけどな……」
「どこ行ったー?」と学習机の下にしゃがみこみ、念入りに探す後ろ姿。
(ああ! もうなんて可愛いんでしょう!)
今年の春から高校一年生になり、隣町の高校に通うようになってから早一ヶ月。
真新しい制服に袖を通した少女は、こうしてかれこれ五分ほど捜し物をしている。
「お捜しの筆箱なら、先ほど実乃莉ちゃんがご自身で通学用の鞄に入れておりましたよ!」
私が寝台の上に置かれている通学用鞄を指差すも、少女は変わらず机の下や本棚の間を丁寧に捜している。
こういうときほど歯痒いことはない。
心の声は勿論のこと、私の声は、この少女ーー豊城実乃莉ちゃんには一切届かないのだ。
なぜなら、私は彼女の『守護霊』だから。
(せめて、姿を視てくれれば、場所を指差せるのに……っ)
自分自身の無力さを、こうした小さな瞬間に自覚する。
「あっ、やば! もうこんな時間じゃん! バス行っちゃうっ」
筆箱の捜索を中断し、鞄に手を伸ばして慌ただしく自室を後にする実乃莉ちゃん。
確かに。現在の時刻は午前七時三十五分。
四十五分発のバスに乗るには、少々急がなければならない。
バス通学の実乃莉ちゃんは、自宅から徒歩五分のバス停から隣町の駅前までをバスで乗り、そこから歩いて高校に向かう。
玄関の扉が開く音と、ご家族へ向けて放たれる実乃莉ちゃんの「行ってきます」の言葉。
(それでは、私も行きますか!)
今日も彼女の日常を見守りましょう。
ここまでご覧いただきありがとうございます。
ちまちま執筆しておりますので、気長にお待ちください。
それでは、次回。