プロローグ
もしも、この世界に人以外のものがいたらどうだろう。それはきっと面白い世界になるのではないだろうか。
なぜこんなことを考えるのかと言うと、僕が今この時にある種の虚無感のようなものを感じているからだと思う。
面白くないんだ。
友達との会話も、親との関係も、どこか虚無感を感じずにはいられない。
まるでこの場所が、僕の居るべき場所ではないかのような疎外感と違和感。
そしていつからだろうか、死にたいと思うことが多くなったのは。
でも、もし死んだとしても、それでこの違和感を拭い去る事はできない気がする。そもそも、死にたいという衝動と共に、生きたいという強い願望もある。
どうしたいんだろうな、僕は。
わからない。
自分がわからない。
「ならば、死ねェッ!」
意識が、現実に引き戻される。
僕は今、何をしているんだ。
ただひたすらに走って、走って、走って。
何かから逃げている。
いや、何かじゃない。得体の知れないものじゃなく、明らかに人の形をしたもの。でもそれと同じくらい明らかなことがある。
僕を追いかけているのは、人間ではない、という事。
人通りの多い場所に逃げ込もうにも、普段は人であふれている交差点に誰一人として人がいない。
空には、不気味なほど青く澄んだ月。
「なんで、何で僕がこんな目に!!」
日頃の行いが悪かった? いや、そんなことはないはずだ。喧嘩などしたことないし、ましてや犯罪行為などやった覚えもない。
しいて言うなら自転車の無灯火くらいだけど、その程度警察も取り合わない。
ただ今は余計なことを考えたくない。逃げなきゃいけない。
走って、走って、どこまでも走る。
車もない、バスもない。電車も動いてない。それどころか、街灯も突然消える。
「お前の命を寄越せぇッ!!」
「ひっ!?」
鋭い切っ先が僕の首を狙う。
まずい。こんなスピード、人間が反応できる速度じゃない。
僕は、ここで死ぬのか。
そんなの……イヤだ!!




