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転生?チートからの世界征服  作者: ash
少年期
4/21

3 同化した俺たち


評価、ブクマを頂きまして本当にありがとうございます。

本当にうれしく励みになります。



暖かい日差しと小鳥のさえずりに

武丸映画を見終えた俺は目を覚ました。

特に体に異常はないが、

なんかフラフラする感覚。


 「これで俺たちは同化できたのかな?」


俺はふと考える。

俺の中には武丸本人がいるはず…

いや、すでに俺も武丸の一部なのだが

心の奥底に武丸がいるという感覚はない。

つまりは同化したって考え方が

一番しっくりくる。

武丸の思いも知識も自分の記憶のように

そこに存在するし、

俺の記憶もそこに存在する。


 「二人がひとつになる…か…

  記憶が一つにまとまっただけで

  俺が俺であることに違和感はない。

  でもきっとそれも変わってるんだろう。

  武丸の心も俺と同化したはず。

  直接会話なんてしてないけど

  きっと影響を受けているんだろうな。

  こうなると、そうであってほしい。

  彼の何かは俺の中にあって

  でもそれは俺…そんな曖昧だけど、

  そうであってほしいな。

  まぁなんにせよ、今から新しい武丸だ」


新生武丸となった俺は呟いた。


--------------------------


 「っても知らない天井…じゃないな」


気持ちもなんとなく落ち着いて

目を開いた俺の第一声である。


もちろん全く見られない天井ではない。

武丸の記憶ではここは武丸の部屋だ。


 「旦那様、士津様~

  武丸様が目を覚まされましたぁ~」


使用人と思われる声が響いた。。


   《横にいたのかよ…》


俺がそんな風に考えていると


 「武丸」


父が慌てて部屋に入ってきた。

だいぶ心配した表情が解る。


 「大丈夫か?いつも鍛錬をやらないから

  貧弱になるんだ

  しばらく休んだら、鍛錬を怠らないように。。

  10歳といえば、

  もういっぱしの剣技も扱える者もいるが、

  俺と士津の子なんだ。

  今からでも十分間に合うんだからな」


表情と言動が合っていない。

   《なんだ?ツンデレか?

    かわいいな父上。》

そんな風にも思ったが

こういう時に俺が発する言葉は決まっている


 「はい。父上。がんばります」


しかし、俺がそう言うと

父上は「うむ」と頷くも

なぜか不思議そうな表情で出て行った。

まるで「あれ?いつもと違う?」的な

印象を受けたような感じだ。


そんな俺も「あれ??」と、

不思議な感覚だった。


父はすごい子煩悩な感じだったぞ。

まぁ領主の威厳を残してるような言い方だけど。

  《父が変わったのか??》

いや違うな。ビビり武丸の心かぁ。。

こいつ、どんだけ父親にビビってたんだろ。

同じ言い方でも相手のビビり加減で

こんなに印象が変わるのか。


そう思っていると今度は母親が入ってきた。

武丸にとって母親はやさしい印象を持っていた。

か弱く、やさしい微笑みをくれる母親のようだ。

だが、俺の印象は違った。

士津の目は、俺を我が子を心配する目ではなかった。

口では、やさしい言葉をかけながら

蔑むような目は、恐ろしささえ感じさせた。

まるで、汚物でも見ているような

見下した笑っていない笑顔だった。


 「しっかり養生しなさいね」


という士津の言葉に俺は、

死ねばよかったのと言われている様な錯覚さえ

芽生えてしまった。

  《イマイチよくわからんな。

   持っていた感情や記憶と

   今、受けた印象が違いすぎるな…》

俺が少し困惑していると

士津がなぜか他の使用人も連れて退出した。

俺に気を使って人払いをしたように見せかけて

毒でも盛られるのかと想像してしまう。

もしかしたら、

正妻の士津にとって長男の俺は大事だが

出来が悪すぎるのなら死んだ方ががマシっていう

考え方もあるのかと飛躍した想像さえしてしまう。

  《まぁ考えてもしかたないか。

   俺たちは交じり合った分、

   今までとは印象も違うだろう。

   つまりは俺の心象も変わってくるか…

   少し、気をつけないといけないかもな。》

なんだか堅苦しい環境だが、

今は考えてもしかたないと決めた俺は

再び眠りについた。


--------------------------


実は俺も武丸も知らなかったのだが

蘆名にとって、今は大切な時期に瀕していた。

東北全域を領土とする蟹崎。

関東方面から中部半分を領土とする蘆名。

中部から近畿かけてを領土とする木曽。

挟まれてる蘆名は両者からの

攻撃にさらされる事になる。


旭の国の中心はやはり、京都のであり

そこには、もちろん皇族が存在していて

旭皇として私兵なども持つことのできない

国の象徴となっていた。

これを御しているのは木曽家で

旭の国の主権は現在、木曽家が握っている。

木曽が狙うのは豊穣な蘆名の関東の土地。

蘆名家が旭皇に献上する物資の

横流しだけでは飽き足らず、

その領地自体をも欲しているようだ。


しかし、蘆名にとっては

蟹崎の方がが目の上のこぶとなっている。

中央主権の奪取が目的の蘆名にとって

対木曽は打倒したい相手でもあるが、

蟹崎に対しては現状、防衛のみだ。

もちろん、攻撃する事もできるのだが、

逆に攻め入るといっても

関東近郊の豊かな土地を持つ蘆名にとって

未開拓の地が多い東北方面は

現状、無価値なものでしかないし、

その領土もあまりに広大だ。

蘆名家の全勢力を以て戦わなければ

平定することは難しい。

中途半端に戦って、

物資や兵を無駄に浪費するよりも

防御一択の方が被害が少ない。

土地開発がほぼなされていない東北は

山林が多く、たとえ占領しても

こちらの被害に対して

メリットが少なすぎるというのが理由だ。


幸いに両国の領地の仕切りには

軍行不可能と言われる魔の森と山脈が

覆っていて、侵攻可能ルートは一つだけ。

そしてそこには蘆名により

鉄壁の砦が築かれていた。


とはいえ、大規模ではないが

頻繁に攻め入ってくる蟹崎の尖兵隊は

蘆名にとって、煩わしいものだったし、

突破させると一気に蘆名の首都でもある東都に

攻め入られてしまう。

そんな理由から

木曽側よりも多くの兵力が蟹崎側に

集中しているのが蘆名の現状だ。



大切な時期というのは、

蟹崎に加え、木曽にも蘆名攻略の動きがあるという

情報があるからなのだ。

蟹崎防衛に60%近い戦力を割く蘆名は

文字通り、木曽側に対する戦力が薄い。

ここで、木曽に大規模な戦力で攻め立てられると

完全に挟撃されてしまう。

まだ、動きはないが

蘆名にとって存亡の危機に直面するのは

時間の問題かもしれない。

だからこそ蘆名の存亡を考える…


--------------------------


いやいやいや

それは重要だけど

10歳の俺にとってその事こそ

どーでもいい。今はね。

そうなんだよ。今は、

俺こと武丸の事を考えなくては…


再び目覚めた俺は

周囲に誰もいないのを確認すると

その思考に没頭する。


まずは親子関係の修復?違うな。

確かに近い将来考えなくてはいけないが

最優先は自分自身の事だろ。

まず、この垂れ流しの魔力を

何とかしないと…


旧式の武丸。

こいつも色々と足掻いたのだろなぁ。

こいつの中には知識だけはいっぱいだ。

でも、残念なことに

どーしようもなかったってのが

実情ってわけだ。


武丸の体には異常な魔力がある。

そして、これを垂れ流しているのだが

武丸は、いっぱいになった魔力を

垂れ流していたのではない。


今この瞬間でさえ、

体内にある魔力を常に全力で

放出しているのだ。


それでも完全に枯渇はしなように

体が無意識に調節している。

ちょっとしたご都合主義な体?

とも言える。


とはいえ、

常に魔力枯渇の倦怠感と頭痛が

武丸には付きまとっている。

だから武丸には体力もないし

走ることもままならない。

まず、この魔力の放出を止めるのが

最優先事項なのは間違いなく

そうじゃないと鍛錬もできん。



とりあえず、

俺は自分の手のひらを眺めた。

しばらくするとなんか曇ったような

なにかが見えるようになった。

きっとこれが魔力だと思った俺は

それを操れないかと考える。

旧式の武丸には、

残念なことにこの魔力が見えなかったようだ


なぜ、俺には見えるのだろう。

一瞬俺は悩んだ。

でもそんな細かいことは考えないようにした。

小説とはご都合主義があってもいいんだ。


1時間ほど魔力で遊んでいると

ある程度は、意のままに

魔力が動かせるようになった。

だから俺は

それを体に纏われるようにイメージした。


そーすると体が魔力で包まれた。

ような気がする。

   《これは有名な身体強化?

    違うかぁ。

    ただ、覆っているだけか》

まぁだからってなんも変わらない。


あいかわらず垂れ流しだし、

魔力を纏ったところで、

今の所、なんにも変わらない。


 「そーだよなぁ。

  結果この垂れ流しを止めないと]


わかっていたよ。

どちらにしてもね。

この垂れ流しを止めないとなんだよね。

俺は、改めて

体内に魔力を留めるイメージで

魔力を操作していった。


操作する練習をしたのが幸いしたのか

体内の魔力を留めることに成功した。


どんどんと俺の中の体力が回復していく。

1時間後、倦怠感も頭痛もなくなった。


 「魔力ってこんな簡単に回復するのか」


俺はそんなことを考える。

ただ、今だって気を抜くと

魔力が一気に放出をはじめる。


 「どうしたもんかな」


俺はそう呟くと

自室で、俺は悶々と魔力を弄くった。



それからさらに5時間が経過した。

今は深夜の2時。

魔力を留めることに成功した俺は

魔力満タンにしてやると

意地になっていた俺に転機が訪れた。


 「「体内魔力が40%を超えました

  自動放出を中止しますか?」」


え??

頭の中で鮮明に聞こえる機械的な声と共に

視線の中心左側に

なぜかチュートリアルが現れた。

なんなんだこれ?

ゲームなのか?

こんなの俺の知識や記憶を総動員しても

初めての現象だ。

なんかよくわからないが

「「はいorいいえ」」 となっているので

俺は迷わず、はい と意識した。


 「「魔力の自動放出を停止します」」


さらに声が聞こえる。

なんだ????

そして音声はそこで消えた。

そのあと、どんなに念じても

何を言っても、その声は出てこない。

意味不明だ。

俺が知らない俺の特殊能力なのか?

ステータスとか見れたらいいのになぁ。


俺はそれから

「鑑定」やら「設定」「ステータス」

色んなキーワードを念じるが

残念ながらその願いは叶えられなかった。

ただ、魔力の流出はそれから止まった。


意識しなくても

魔力が流れ出ることはないし

意識すれば、魔力が出ることも確認できた。


なんだかよくわからないが

どうしようもないので

とりあえず俺は眠りについた。





ここまで読んでくださってありがとうございます。

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