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異星より来冠者と国際連盟宇宙開発局尋常外対策部隊 その14

 安達がレオンを射殺しようとした直前、彼に一発の魔弾を撃ち込んだ。うるさいし、下品な拳銃だが狙ったものを絶対に撃ち抜いてくれる点では楽だった。


 弾丸は一瞬にして安達の右手を吹き飛ばして急カーブをすると腹部も貫いた。拳銃が床に転がり落ちて、噴水みたく真っ赤な血が噴き出した。悠然としていた彼は一瞬にして苦痛の表情を浮かべ、うめき声を押し殺してしゃがみ込む。


「何のつもりですか。ルカ、それともフレミアさんですか? 任務の邪魔をするのであれば……能力が発動しない?」


 彼は右手を押さえながら、じろりとこちらを睥睨した。淡々とした言葉を投げ掛けてくるが、明らかに苛立った様子だった。普通なら痛みで喋れないはずだが、訓練されている? でも僕には関係ない。……さて、どこから何を言えばいいのだろうか。


(ルカちゃん。まずこういうときは決めポーズと同時に相手がドヤ顔で言ったことを言い返すのが常識ですぅ)


「了解しました。フレミア様! ……ゴホン、安達宗真、貴様は詰めが甘い。物の時間を巻き戻す能力で治癒できるからって警戒を怠っただろう? 僕が与えた能力なんだ。いつでも没収できるし、消されたなら与え直すこともできる」


 僕は口うるさい拳銃をクルクルと回して、決めポーズっぽい所作をした。恥ずかしいのですぐに止めてポーカーフェイスで固めたが。


『おい! オレっちじゃなかったら今の出間違いなく誤射してるぜ! フィクションじゃねえんだ! 拳銃をクルクル回して格好つけんな!』


 拳銃がギャーギャーと喚くのを無視して、すぐに変異体能力を――適正があるものを変異体にする力で瀕死のレオンに彼に力を与える。次の瞬間バチバチと稲妻が走り、尋常ではない生命力が彼を瀕死から呼び戻した。これで問題は解決しただろう。


(ちょっと喋らせてもらいますぅ)


(はいどうぞ! フレミア様、もうどんどん僕の体を酷使してください。何をしても構いません!)


 フレミア様は僕の肉体の中に入り共生してくれている。神のような奇跡をくれた宇宙生命体。その本当の姿は幻想的な黒い粒子の集合体だ。それは今、僕の体を満たしている。


「安達さぁん。申し訳ないと思うんですがぁ、レオン・ガルシアは私のお気に入り第三位なんですぅ。一位は仁君でぇ、二位がルカちゃん。なので殺させるわけにはいかないんですよぉ?」


 フレミア様曰く、安達は命令に従う機械らしい。血が出てる以上、本当に機械ってわけじゃないと思うが、彼自身に動機がないとか。命令だから従うってだけ。


 それでフレミア様は彼のことがあまり好きじゃない。というか嫌っている。神にも等しい彼女に嫌われるなんて、本当に可哀想な奴だと思う。


「でもでもぉ、私は優しいので死なないようにはしてあげますよぉ? 命令が無いところで生きてみることをオススメしますぅ」


 パチンと軽快に指を鳴らすと、玄関扉が目の前に現れた。それの心は読めないが、言葉は分かるし呼べば来る。レーシャが助けを求めたときも真っ先に向かうようなやつだ。


 僕は多量の出血で倒れてしまった安達を引っ張って、扉に寄り掛からせた。ガチャリと、彼の姿が一瞬にして消える。


「レオン君はぁどうしますぅ? 帰宅するなら扉を開ければいいですよぉ」


 僕はフレミア様の力に従ってレオンに手を伸ばしてあげた。彼は感謝よりもなんでオレを? みたいなすっとぼけ顔を浮かべるばかり。不敬だ。


「HAHAHA……。オレはあんたが蜂女に刺されたとき、死んだんじゃねえかって本当に期待したんだ。そんな奴を助けるのか? 今オレがあんたを殺そうとするかもしれないのに」


「その感情が好きなんですよぉ? 仁君を殴ったときの罪悪感をぉ家族のためだから仕方ないって言い聞かせたりぃ、でもそのくせにサボタージュしたりぃ」


 それのどこが好きになる要素なんだ。ムッとして心が苛立った。けどまぁ、手を掴み引っ張ってやってやると、レオンはよろけながら立ち上がった。コロコロと、貫通したはずの弾丸が床を転がっていく。出血も止まっていた。


「命の恩人か? いや、そもそもドジって隕石落とした宇宙生物が悪いな。礼は言わない。扉も結構だ。裏切ったからには徹底的に裏切りたい」


「な……!? 僕たちは無視することだってできたんだぞ! なのに……くっふっふ。だったら急いだほうがいいですぅ。なにせもうすぐぅ――――」


 僕の発言を遮ったフレミア様の言葉も、頭上に展開された藍色の魔方陣と翡翠の光、そして怒気の篭った詠唱によってかき消された。


「愛と屈辱の対価を払え! 我が正義に跪け! 【殲滅重激ホログラビオン】!!」


 爆撃のごとき轟音と衝撃が艦体を軋ませ、落ちるんじゃないかってぐらいに揺らした。白い金属製の天井がベキベキと板切れみたいにへし折れて、空へと突き上げる。そのチートじみたパワーは甲板にまで届いて、廊下に太陽の光が差し込むほどの大穴を開けたのだ。


『警告。当艦は甚大な被害を受けております。自動修復システム作動にあたり、一部システムを停止致します』


 けたたましいアラートが赤い警告光と共に走る。レオンはあいた口が塞がらない様子でその圧倒的な損害に呆れていた。


「ほぉら、今のうちに甲板に出ますよぉ。外は晴れてて、風もあって気持ちいいですぅ」

ルーカス・フォン・フロイデンベグル


能力:隕石の効果で変異体になることが出来るであろう人や物をすぐさま変異体に変える。また、変異体にしたソレを正常な状態に戻す。及び能力を付与した対象の位置をつねに把握する。


 彼は変異体としての素質がある生物、物が視界にいた際、能動的に対象を変異体化させることができる。素質の基準は不確定であり、ただ本能的な直感によって理解することができる。対象を変異体にした際、その能力がどのようなものかも把握できる。また、能力者にした対象を元に戻す。つまりは変異体ではない存在にすることもできる。

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