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異星より来冠者と国際連盟宇宙開発局尋常外対策部隊 その12

 【異星より来冠者と国際連盟宇宙開発局尋常外対策部隊 その8】




 空を飛ぶ巡洋艦。甲板に立つと晴天の青空がすぐ隣にあった。武装も組み変わっており、純白のレールガンにフレア。何機ものミサイル発射装置。私達の星で最近できたばかりの物質消去レーザーまでついている。


 高はそんな兵器を背もたれにして、空から見える中国大陸をジッと眺めていた。とは言っても、彼は偽物だが。


「あはぁ? 仁君とムプレちゃんだけ回収に失敗しましたかぁ?」


「私が偽物だと分かっていて発言していると受け取りますよ。今本体と連絡取りますので少し待ってくださいね」


 偽物のくせに本物みたいな仕草と鉄面皮を保ちながら、それは艦橋、指令室にいる彼へ無線を取った。


『ええ失敗してしまいました。せっかくトニーを出し抜いて、改めて三体も捕獲したのにこれでは無意味だ。レーシャもやられてしまったみたいですね。私の分身もたった今殺されましたよ。これでは転移装置を切っても無意味かもしれない』


 彼は冷静に現状を語った。偽物の高が僅かに苦渋の影を見せる。心が読めない以上、心なんてソレにはないのだろうけど、反応は一丁前だ。


「くっふっふぅ。けど、あと五分守り切ればあなたの勝ちですねぇ。もし無事でいられたらデートでもしてあげましょうか? 初めて私を見たとき、ルカちゃんほどじゃないですけど、ドキっとしたの、分かってますぅ」


『レーシャも、前のあなたも美人でしたからね。しかし遠慮しましょう。私にはやらなければならないことがあるので』


 彼の心は硬い。理解しがたいくらいの懐疑と愛国心。相反する二つが彼を動かしている。ただ命令に忠実なだけの安達や、家族最優先だからこそ命令に従っていたレオンとはまた違う、輝かしい使命感だ。


『我が国は変わらなくてはならない。真実報道者の存在が特に揺れ動かすでしょう。そうなったとき、皆が新たに手を伸ばせる開拓地が必要なんですよ。そして常識を覆せるような力がいる』


 断固とした態度が無線越しから耳を伝う。けれども不安が上回っていた。あと五分。誰に女神が傾くか見物だ。騒ぎを大きくしたから帰星したときには怒られるだろうし、どうせなら楽しみたい。


 ガチャリと扉を開けた。もうすぐ決着がつくだろう所へと飛ぶことにする。




 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

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