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彼女が宝探しをしたいと言い出してから数日が経つ。僕は気づけば彼女に引っ張られながら乗った船の上にいた。
今日はいい天気で、海風が気持ちいい。彼女は涼し気なワンピースを身にまとい、遠くの海を眺めていた。彼女は目を細め、うんと頷き僕に言った。
「もうすぐ実家島に着くよ」
彼女の言葉に続くように船長が僕らに言った。
「もうすぐ蛍島だよ、荷物の忘れ物は勘弁してくれや。」
蛍島というのは実家島の本当の名前で、夏の夜は蛍が綺麗だからとかいう昔の人の安直な考えでつけられた名前らしい。
僕は生まれも育ちも東京都内で、夜になっても騒がしく明るい街、鳴り止まないパトカーのサイレンの音を毎日聞きながら眠っている。蛍などいるはずもなく、蛍光灯に群がる蛾しか見たことが無かった。だから蛍島の蛍を見ることが楽しみだった。
実家島の船着場に着き船を見送ると彼女はまた僕の手を引っ張った。
「そんなに手を引っ張らなくても僕は逃げたりなんかしないぞ」
「そんな事分かってるわよ。迷子にならないように手を引いてあげてるの」
何歳だと思っている、そう言おうとしたが言い合いになり面倒くさくなると思い僕は口を閉じた。それにしても、暑い。
「あれ、夏海お姉ちゃん?」
僕が子供のように手を引かれている時、木の影からひょっこり顔を現した10歳くらいの子供が彼女の名前を呼んだ。彼女はその子を見るなり僕の手を振り払い、その子の方へと走っていった。
「明!!久しぶりやね、元気にしとったん?」
「元気にしとったよ。夏海お姉ちゃんはなんで島にいると?」
「お父さんが明たちと遊んでやれ言うけん遊びに来たとよ!」
僕の存在を無視しながら楽しそうに話す2人の事を僕は暑い日差しを浴びながらしばらく見ていた。すると彼女に明と呼ばれた子供が僕の方をちらりと見て彼女に「あの人は誰」と言った。彼女は忘れてたという顔をして僕に向かって手招きをした。




