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戦慄のアカツキ ~AKATUKI of Horrible.  作者: 神楽坂ヒバリ
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第5話 モンスターハンター



 「ハアァァァァァッ!!!!!」


 それはボーアッシュに向かって大きく踏み込んできた。


 自らの奥義を受けて尚、動き出すそれにボーアッシュは驚愕した。


 立ち上がった深緑のゴブリンは、その健脚で距離を詰めてくる。

 慌てたボーアッシュが地魔法術LV1の「地弾クレイ」を放つ。


 そこに向かってゴブリンが「火弾フレイ」を放ち相殺される。


 砕け散った土の塊で視覚を失ったボーアッシュは、先程目眩ましをされた時と同じ状況になったことに気がついた。シメた、と言わんばかりに後ろを振り向く。


 その瞬間、後ろ足に鋭い痛烈を感じ取った。


「フゴォッ!!?」


 その叫びには痛みに対する苦痛と、なぜ背後を取られたのかという疑問が織り混ざっていた。


 土煙が晴れる。


 目の前には逆手に持った短刀を大上段に振り上げたゴブリンの姿。


 木々の隙間から照らした陽の光が、奴の顔を写し出す。


 格下に負けるのがこれほど悔しいこととは。

 格上に負けるのがこれほど光栄なこととは。


 降り下ろされた石の刃は、寸分違わずボーアッシュの脳天を貫いた。


 そこがボーアッシュの弱点。

 強靭な筋肉の鎧の、最も柔らかい部分。

 眉間のど真ん中である。


 ボーアッシュは、ゆっくりと意識を失っていった。






 た、倒したー!!

 アイツのステータスが物攻特化の尖り性能じゃなかったら無理だったわ。


 まあ。

 なにはともあれ、初めての戦闘は苦しかったけどちゃんと勝てたぞい。

 よし、とりあえず解体して持って帰り―――――


『個体名「アキラ・ミカヅキ」のLVが3に上昇しました』

『個体名「アキラ・ミカヅキ」のLVが4に上昇しました』

『個体名「アキラ・ミカヅキ」のLVが5に上昇しました』

『個体LVが5に到達しました。これ以降のレベルアップ時には、新たにスキルが2つずつ取得できます』


 うえあッ!?

 び、ビックリしたあ……。

 

 やったねタエちゃん、レベルアップしたよ。

 LVが一気に三つも上がったってことはイノシシかなり格上だったのか。

 にしては簡単に勝てたような………?

 考えないでおこう。

 これ以上は死んだボーアッシュさんが不憫です。


 やめて、ボーアッシュのライフはもうゼロよッ!!


 とにかくステータスの確認でもしとくかー。

 アカシ先生お願いしまーすッ。


『マスターのステータスを表示しますか?』


 うむ。

 よろしく頼ンます。


『了。マスターのステータスを表示します。


 種族「ゴブリン」

 名前「アキラ・ミカヅキ(三日月暁)」(♀)

 LV 5/10


 物攻 1200(「豪腕」効果:物攻×10「鬼神ノ血脈」効果:全ステ×2)

 魔攻 120(「鬼神ノ血脈」効果:全ステ×2)

 物防 120(「鬼神ノ血脈」効果:全ステ×2)

 魔防 120(「鬼神ノ血脈」効果:全ステ×2)

 敏捷 120(「鬼神ノ血脈」効果:全ステ×2)


 スキル…「暗視LV3」「剣術LV2」「隠密LV4」「逃げ足LV1」

     「穴堀LV1」「彫刻LV3」「器用LV3」「理解力LV3」

     「武装破壊LV2」「宝探しLV2」「空腹耐性LV1」

     「美食家LV1」「刀術LV1」


 ユニークスキル…「豪腕」「起死回生」「鬼神ノ血脈」「共鳴」

         「万象ノ記憶(アカシックレコード)


 魔法術…「火魔法術LV2」「回復魔法術LV2」


 称号…「転生者」「鬼ノ血」「名前持ち(ネームド)」「下剋上ジャイアントキリング


 ―――――以上です』


 おお~ッ。

 スキル補助有りだけど物攻が1000オーバーしたぜ。

 刀術とかも手に入ったな。

 なんだか新しい称号も増えてるね…「下剋上ジャイアントキリング」?


 魔法術も着々とレベルが――――――――――ん?

 ごめん先生、もっかいスキル欄だけ見して。


『スキル…「暗視LV3」「剣術LV2」「隠密LV4」「逃げ足LV1」

     「穴堀LV1」「彫刻LV3」「器用LV3」「理解力LV3」

     「武装破壊LV2」「宝探しLV2」「空腹耐性LV1」

     「美食家LV1」「刀術LV1」


 ―――――以上です』


 えーと………。

 「武装破壊LV2」ィ?

 なんでや。


 ―――――ボロッ……。


 え?

 

 ふと、不吉な音がした俺の右手を見る。

 怪我が悪化してしまったのか。いや、回復魔法術は掛けている。大丈夫なはずだ。不安な気持ちを視線にのせて手のひらを見やると、そこには刀身だけが綺麗に無くなった、短刀の柄が握られていた。


 あるェ?

 まさか、まさかまさかまさかッ!!


 ―――――折れたアァァァァァァ!!?


 嘘だろマジかよそりゃ無ェよ!!

 今度こそちゃんとした俺の相棒だったのにィ………(泣)。


 うっ、うっ、ぐすん。

 ……新しいの作ろ。



 うーん。

 とりあえず明日から格上を狙おうかな…?

 そっちのほうが効率良さげだしなあ。

 あ、そうだ。

 「下剋上ジャイアントキリング」ってなんなんだろ。

 そもそも称号ってなんなんだろ。


『【称号】とは、その保有者の就く職業や成し遂げた偉業、或いは身元を表すもであり、身分証明の一環でもある。また、保有する称号によっては、その称号の獲得時に新たなスキルを取得することが出来るものや、称号自体にスキルのような効果を持っているものもある』


『称号【下剋上ジャイアントキリング

  概要…自らよりも実力が上回る強者を打ち倒した者だけに与えられる称号。

  効果…個体LVが自分よりも高い敵と戦闘になった際、全ステータス数値に現在の数値の50%がプラスされる』


 お、おう……。

 一気に説明ありがとうございます。

 何気にこの能力強いな。

 これなら奥地……高レベル帯でパワーレベリングも出来るかも、知れないな。

 5LVを越えてからは総じてレベルが上がり難くなるみたいだし。

 急ぎ足でも、生き残るために進化はしといておきたいしな………。


「明日カラ、頑張ルカナ………」


 まだやることもあるし、もう少しここらで食糧ごはん調達でもするか。


 そう思って、寝床を探しに森を歩き始めた。

 ゴブリンの1日は、まだ長い。


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