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ずっと友だち

未央みおは、近所の公園で友だち数人と遊んでいた。

みんなで鬼ごっこをしている時だった。


女の子が1人近付いてきて、

『入れて』と小さな声で言った。


未央は「いいよ!」と言って、その子を交ぜてやった。


その子の名前は『リカ』

未央達は、毎日の様に、その公園でリカと一緒に遊んだ。


未央とリカは特に仲良くなり、他の子が公園に行かない日も

二人で遊んだ。


砂場でお山を作りながら、

『ずっと友だちでいようね!』

と二人は笑顔で指切りをした。


やがて未央は小学校に入った。

未央は、リカの姿を探したが、見当たらない。


他の子にも聞いてみた。

『誰、それ?』

『そんな子居たっけ?』


不思議な事に、誰一人、リカの事を覚えていないのだ。

『リカちゃん、大人しいからみんな忘れちゃったのかな』

未央はそう思った。

寂しかったが、仕方がない。


時間は容赦なく流れ、学年も上がり、塾や習い事で

忙しい日々を送る中で、未央の中の『リカ』の存在も

次第に薄れていった。


***


中学生になった未央は、偶然、昔よく遊んだ公園の前を

通りかかった。


みんなで遊んだ事を懐かしく思い返していた。

1人だけ、どうしても顔を思い出せない子がいる。

『誰だっけ?』


未央は公園を眺めながら、暫し考え込んでいた。

『遊ぼう』


突然、誰かに声を掛けられ、未央は身体をビクッと震わせた。

足元に小さな女の子が立っていた。

未央の顔を見上げて、もう一度言った。

『遊ぼう』


「あ、うん。少しだけならいいよ!」

未央は素直に応じた。


『未央ちゃん、ブランコに乗ろうよ』

女の子は言った。


「何で、私の名前知ってるの?」

未央は驚いた。


『だって私達、ずっと友だちでしょ?』


未央は思い出そうとしていた。

顔の思い出せない、もう1人の友だち……


『ねえ、砂場でお山作ろうよ』

女の子に手を引っ張られ、半ば強引に砂場へ

連れてこられた未央……


仕方なく、一緒に砂山を作り、トンネルを掘る。


『私、こっちから掘るから、未央ちゃんはそっちから掘って』

「……」


無言のままトンネルを掘り進める2人……

『さっき掴まれた手、冷たかった……』

未央がそんな事を考えていると、トンネルが開通した。


『未央ちゃん、捕まえた!』

掴まれた力があまりに強くて、未央は恐ろしくなった。


「痛いよっ、離してっ‼︎」

未央は女の子の手を振りほどこうとしたが、

その手の締め付けはきつくなるばかり……


やがて女の子はモヤモヤと大きな黒い影になって、

未央を取り込もうとしているかの様に広がった。


影は未央の手から腕、肩の方まであっという間に飲み込んでいった。

未央の身体の自由を奪いながら、とうとう全身を覆ってしまった。


「やだ……」未央は影に飲み込まれながら意識を失った。

『ずっと一緒だよ……』どこかで女の子の声がこだました。


***


目を覚ました未央は、1人砂場に倒れていた。

先程の恐怖が蘇り、一目散に家へ帰った。


「ただいまっ‼︎」力一杯玄関のドアを開ける未央。

玄関まで迎えに出た母が、ポカンと口を開けて未央を見ている。


「え?何……?」

『どちら様?』

「お母さん、何言ってんの!私よ!未央‼︎」

『未央はまだ帰ってませんけど。未央のお友だち?』

「もう、いいっ‼︎」


居たたまれなくなった未央は家を飛び出した。


気がつくと、あの公園に戻ってきていた。


『お母さん、何で私が分からなかったんだろう……?』


未央は公園のトイレで鏡を見た。


「「キャーーーー‼︎‼︎」」


鏡に写った自分の顔は、さっきの女の子の顔にそっくりだった。

思い出した。

この顔。

この顔は、リカちゃん……


再び声が聞こえる。


『ずっと友だちだよ……』








奇妙というタイトルにはまっているのか?

と思いつつ、書いてみました。

読んでくださってありがとうございます!

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